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イ・ボミやアン・シネだけじゃない!! 百花繚乱の“テグッナンジャ”たち

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
プロ3年目のパク・キョル

昨日から始まった日本女子プロゴルフツアーの今季第3戦『Tポイントレディス・ゴルフトーナンメント』。開幕戦の『ダイキン・オーキッド・レディス』ではアン・ソンジュ、第2戦の『ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ』では全美貞が優勝したこともあって、韓国メディアは韓国勢の3週連続優勝に期待を寄せている。

また、アメリカ女子ゴルフツアーでは韓国勢が3連勝中。2月にはジャン・ハナが『ISPSハンダ女子オーストラリア・オープン』を制し、翌週にはエイミー・ヤンが『ホンダLPGAタイランド』で完全優勝、先週はパク・インビが『HSBC女子チャンピオンズ』で優勝カップを手にした。

そんなこともあって『スポーツ・ソウル』などは、「テグッナンジャたち、アメリカで4連勝、日本で3連勝に挑戦」と鼻息荒い。

「テグッナンジャ」を漢字にすると、「太極娘女」。女子ゴルフや女子アーチェリーなど韓国女子アスリートたちを総称するときによく使われる言葉で、日本風で言うと「なでしこアスリート」のようなニュアンスの言葉であるが、『Tポイントレディス』でも注目の“太極娘子”アン・シネのエントリーはなかった。

一部では『Tポイントレレディス』への招待出場が有力視されていただけに、彼女の登場を待つファンからするとちょっぴり残念だろう。

韓国メディアに「韓国70、日本30の割合で」と語っていたアン・シネ日本参戦比率については以前、本欄でも紹介したが、関係者や彼女に近い韓国メディアのゴルフ記者によると、さまざまな諸事情がありそうだ。

ただ、日本挑戦への興味や意欲が落ちているわけではないらしい。アン・シネは最近も韓国メディアに「昨季よりも筋肉量が3キロ増えました」と明かしている。女性らしいや美意識へのこだわりが強い彼女が、体力トレーニングを積み、筋力増強を試みたこと自体、異例とも言える。

(参考記事:アン・シネが日本ツアーに向けてまさかの筋肉3キロ増量。その筋トレ動画も美しすぎる!!)

しかも、自身のSNSに練習動画もアップ。「バックスイングの時に以前より腕をあげなくなり、全体的にシンプルになりました。さらにランが多く出るドライバーに変えたので、役に立つはずです」とコメントして、さらなるパワーアップを予告している。

3月24日からの『アクサレディース・トーナメント』、3月30日からの『ヤマハレディースオープン葛城』にもエントリーされていないので日本初参戦はもう少し先のことになりそうだが、今はそのXデーを首を長くしながら待つしかないだろう。

ちなみにKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)ツアーも今週末から『SGF67 ワールドレディース・チャンピオンシップ with SBS』が始まったが、アン・シネはエントリーされていない。

ただ、アン・シネ不在でも大会の注目度は高い。同大会は中国の海南省の海口で行われており、KLPGAと中国女子プロゴルフ協会(CLPGA)、ヨーロッパ女子プロゴルフツアー(LET)の共同主管大会だが、KLPGA公式戦としては2017年最初の大会だけに、今季の賞金女王の行方を占う最初の大会とし注目されている。

昨季、韓国女子ゴルフツアーは、パク・ソンヒョンの独壇場だった。シーズン7勝という圧倒的な強さを誇り、『2016 KLPGAアワード』でも賞金王、最多勝、平均ストローク賞、人気賞の4冠に輝いている。

このパク・ソンヒョンが今季からアメリカ進出したため、2017年のKLPGAツアーは絶対王者が不在。メジャー1勝を含む通算3勝で年間MVPに輝いたコ・ジンヨン、昨季2勝をマークしたイ・スンョン、チャン・スヨン、“長打美女”と呼ばれるキム・ミンソンなどが賞金女王候補として名乗りを上げており、今季はかつてない大混戦になると予想されているのだ。

また、前出したアン・シネはもちろん、“奇跡の8等身美女ゴルファー”ユン・チェヨンといった人気者が日本進出したことで、彼女たちが抜けた穴を誰が埋めるかにも注目が集まっている。

その候補としては、アン・シネやユン・チェヨンらと同じ“韓国美女ゴルファー神セブン”に名を連ねるキム・ジャヨンやヤン・スジンらに期待が集まっているが、もっともブレイクが期待されているのは“フェアウェイのバービー人形”と呼ばれるパク・キョルだろう。

2014年アジア大会・金メダルの実績を引っ提げて2015年からプロ転向し、昨年はKLPGA広報モデルにも抜擢された彼女は、“KLPGA屈指のスーパールーキー”と騒がれてきた。

(参考記事:韓国女子ゴルフ界が注目!! パク・キョルに、ニューヒロイン誕生の予感)

ただ、プロ1年目は賞金ランク22位で終わり、昨季は賞金ランク31位に後退。2年間で3度準優勝になったが、優勝はまだ一度もない。それだけにプロ3年目となる今季は初優勝が期待されており、パク・キョル本人も「血が出るほどの努力と練習を続けていれば、優勝の瞬間に少しでも近づけると信じてハードな練習をしてきました」と、今季にかける意気込みを語っている。

韓国にはパク・キョル以外にも、アン・ソヒョンら“韓国美女ゴルフ・マニアック・フォー”と呼ばれる新世代の頭角も著しく、次々と新たな才能が出現している。

(参考記事:イ・ボミ、アン・シネだけじゃない!! 韓国美女ゴルフ“マニアック・フォー”たち)

まさに百花繚乱の“テグッナンジャ”たち。果たして今週末も日本、アメリカ、中国で韓国女子ゴルファーたちが優勝カップという名の花を咲かせるのだろうか。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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