LINEの『同意』スルーは、正しい判断。まずは疑ってかかることが大事
KNNポール神田です。
これは、LINEヤフーが合併した事による、2023年11月1日以降の『プライバシーポリシー変更』への『同意』を求めるもので同意をしなかった場合の対応についてだ。
これは、下記の5つの条件に対してLINEヤフー社が、ユーザーに同意を求めるもので、いわば事業者側の『個人情報』の取り扱いに関する説明責任のようなものだ。
『LINE』が、新たな事業会社『LINEヤフー』の管理下になったので必要となった『同意』なのだ。
LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内
1.広告主などのパートナーからの広告配信などに利用する情報の取得・利用
2.解析情報や統計情報の作成・提供
3.越境移転先の国・地域の明確化
4.識別子などの第三者提供
5.識別子の紐づけ
https://guide.line.me/privacy-policy_update/2023/ja/
しかし、この文面を読んで、はい、納得がいったので『同意』ができる人は、そう多くはない。誰に提供するのかという方向性は『広告主』を向いているからだ。
ユーザーにとっての利便性の向上などは、どこにもない。
無料ネットサービスのメインの事業は『広告』なので、『広告主』にとって最大限に魅力のある接点を考えるのは事業者としては当然のことだ。
そこで、このポリシーに同意いただけないと、順次LINEのサービスが利用できなくなる可能性があることを示唆している。
しかし、重要なユーザーをいきなりシャットアウトするとは考えられないので、『順次』という言葉が使われている。
https://guide.line.me/privacy-policy_update/2023/ja/
LINEヤフーのプライバシーポリシーの『取得するパーソナルデータ』にも、
『当該情報をご提供いただけない場合には、当社サービスの全部または一部をご利用いただけないことがございます。』とある。
https://line.me/ja/terms/policy/
■安易に『同意』を選ばない選択は正しいといえる
現在のネットリテラシーで考えると、理解できないものは『拒絶』するという姿勢は正しい姿勢だと筆者は考えている。言葉巧みな詐欺や、事業者を装ったフィッシングサイトなども多いからだ。LINEなどによる悪質な勧誘も多い。QRコードひとつで『友だち登録』できてしまう便利さが仇となる。
今回の場合、本当の事業者であれば、万一利用できなくなってからでも、『同意』をすれば利用できるはずなので、最悪、利用できなくなってからの対応でも遅くないと判断することもできる。むしろ、サービスが停止してから考えても良いくらいだ。そのときにどうリカバリーできるのかを知っていれば良いのだ。
むしろ、安易になんでも『同意』してしまうことのほうがトラブルの原因となる。なんでも疑ってかかる。特にネット上のサービスは安易に信用しないということのほうが重要だ。
事業者側も、LINEとヤフーの統合に対して3年近くもの間、無策に近かったことが、突然、新会社として実施するのは、少し無謀すぎるのではないだろうか?
■万一、LINEのサービスが11月に止められてしまった場合は…
現在の『同意』の方法は、下記のような方法で可能だ。
1.『LINE』アプリの右上の『歯車マーク(設定)』をタップ
2.『プロフィール』の文字の下の
『account center(アカウントセンター)』
([ホーム>設定>account center])
3.すべての文面の下の『同意する』を選べる。
万一、LINEのサービスが止められたとしても、『同意』さえすれば利用ができるはずだ。
■『ヤフー』との『アカウント連携』は『任意』?
『ヤフー』との『アカウント連携』は『任意』とあるが、『任意』の文言どおり、『どちらでも良い』のニュアンスで言われると、迷ってしまう。
LINEヤフー側も、『アカウント連携は推奨』とすればよかったと思う。
ユーザー側にとって、双方のアカウントを持つ人にとっては、アカウント連携で重複しているデータがなくなることを意味する。
■ユーザーは、『ポリシー』や『利用規約』は読まない
ネットのサービス利用時に、長い利用規約を読まされることが多々あるが、ほとんどのユーザーは読まずに、それらの利用規約に同意していることが多い。
本来は、共通の利用規約を、政府などがとりまとめて、それに準拠していますが、大丈夫ですか?と同意を促すほうが望ましい。
3つのレイヤーくらいで『個人情報』の管理をするという雛形があればもっと、ネットユーザーの時間をうばわなくてすむことだろう。
今まで、みんながそうだから、同様にではなく、ユーザーにとっての不都合や不具合は取り除く努力をしたほうが、社会全体の損失をなくすことができる。
18歳以上向けのコンテンツでも、『いいえ』を押す『未成年』がいないのと同じ構造だ。無意味なゲートを作ったところで、まかりとおってしまう。
利用規約を読んでいないのに、読んで理解しましたと押してしまう『同意』も同様だ。
総務省あたりは、ネットサービス統一利用規約の検討委員会などを作って利用規約の雛形を、検討してみてはいかがだろうか?
一度、目をじっくりと目をとおして、リスクがわかれば、それと同等の利用規約ならば安全と判断ができるようになる。