日銀は1月に24兆円近くも国債を買入して、いったい何をしたいのか
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日銀は2月1日に1月の国債購入額が23兆6902億円だったと発表した。決済日を基準とした月間購入額で22年6月の16兆2038億円を大幅に上回り、過去最大となった(1日付日本経済新聞)。
日銀は12月20日の金融政策決定会合で、国債買入額を大幅に増額しつつ、長期金利の変動幅を従来の±0.25%程度から±0.50%程度に拡大することとした。イールドカーブコントロールの調整を日銀が行ってきたのである。これは市場にとって大きなサプライズとなった。これを受けて1月の金融政策決定会合での追加修正の可能性も一部で意識された。
1月13日に本日の10年債カレントの369回債の日本相互証券(BB)で付いた利回りが、一時0.545%と0.500%を超えて上昇してきた。こういった動きに対し、日銀は防戦し12日~13日にかけて10兆円近くの国債を買い入れた。17日にまでに日銀は17兆1374億円買い入れて、月間の購入額として過去最高だった2022年6月の16兆2038億円をすでに上回っていた。
今年度の二次補正後のカレンダーベースでの国債の月別発行額は16兆9250億円となる。つまり月別の国債発行額以上の国債を日銀は買い入れているという、形式上は財政ファイナンス状態となっているのである。
それも物価が上昇し、消費者物価指数が前年同月比で4%を超える上昇をみせるなかである。無理矢理に長期金利を0.5%に押さえ付けるためだけに、日銀は巨額の国債を買い入れて債券市場の機能性を奪っていた。
日銀による国債買入とは、量的緩和ということになる。
2013年4月4日に新体制となった黒田日銀が打ち出した大胆で次元の異なる緩和策とは、CPIの2%という物価目標に対して、2年程度の期間を念頭に置いて、早期に実現するため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍程度とし、長期国債の平均残存年数を現行の2倍以上にするというものであった。長期国債の保有残高が年間50兆円に相当するペースで増加するよう買入を行うともあった。
年間どころか月額でその半分近くを買い入れたという事実はどういうことを示すのか。日銀は政策目標を量から金利に移行させたので問題ないというのであろうか。仮に2013年4月に決めた日銀の政策が本当に物価に影響を与えるというのであれば、消費者物価は4%どころではなくなる。
それとも量を増やしても物価への影響はないことが10年近くで証明されたので問題ないというのであろうか。
物価が上昇しているなかで日銀が強力な緩和策を続け、そのために債券市場を犠牲にした上で、強力な量的緩和策に移る政策は本当に正しいものといえるのであろうか。