投開票は3月9日、韓国大統領選挙の主要日程と特徴
韓国の次期大統領を決める第20代大統領選挙の投票日まであと25日。候補者登録や選挙運動の開始を含めた主要日程を整理した。
●供託金は3000万円
選挙日程はまず、2月13日から14日にかけて候補者登録期間を迎える。この期間に立候補者は選挙管理委員会に登録することになる。登録者は40歳以上に限られ、寄託金(供託金)として3億ウォン(約3000万円)が必要となる。
寄託金は有効投票の15%以上を獲得する場合には全額返還、同10%以上〜15%未満の場合には半額返還、同10%未満では全額没収となる。
そして2月15日から、選挙運動が公式に始まる。この日を境に選挙カーを使うことや、候補者の名刺配布、タスキをかけての街頭アピールならびに懸垂幕の掲示、公共の場でのマイクを使った演説などが可能になる。選挙運動は投票日前日の3月8日23時59分まで行われる。
また、3月8日までの間に選挙放送討論委員会主催による、最低3度の公開討論会が義務付けられる。討論はテレビ・ラジオ・ネットで中継される。
2月20日からは、街中に候補者のポスターが貼り出される。なお、前回2017年5月の選挙ポスターには15人の顔があった。
2月23日から28日にかけては、在外投票所での投票が行われる。
日本の場合は東京の韓国大使館や大阪総領事館など、全国に10か所ある韓国公館ならびに9か所の投票所で投票できる。前回の大統領選よりも3か所増えている。
2月25日には選挙人名簿が確定され、韓国内外の有権者数が確定する。直近の国政選挙となった20年4月15日の総選挙(国会議員選挙)では、合わせて4399万4247人だった。18歳以上が投票権を持つ。
当時、有権者が最も多い地域は京畿道(キョンギド)で1106万人、ソウル847万人、釜山(プサン)296万人、慶尚南道(キョンサンナムド)282万人、仁川(インチョン)広域市250万人の順だった。最も少ない世宗(セジョン)特別自治市は22万人、済州(チェジュ)特別自治道は55万人だった。
2月27日には投票用紙が郵送される。ここには候補者の宣伝用パンフレットや投票案内用紙が同封される。
●2日間の期日前投票
そして3月4日から5日にかけて2日間の期日前投票が行われる。時間は午前6時から午後6時までとなる。金曜日、土曜日である事に加え、新型コロナを避け分散投票が進むと見られ、たくさんの人出が予想される。
17年の前回大統領選の期日前投票率は26.06%と1000万人を超えていた。さらに、20年4月の前回総選挙でも26.69%と高い参加率を見せた。このように選挙を経るごとに、期日前投票が増える傾向にある。
さらに3月9日に投票が行われる。この日が正式な投票日だ。04年以降、公職選挙法により国政選挙の投票日は水曜日と定められ、全国で休日となる。
水曜日である理由は、前後の週末から最も遠いためだ。週末に近い日を投票日かつ休日にする場合、長期連休となり投票率が下がる可能性がある。なお、04年以前は木曜日だったが、週休二日制の定着により水曜日に変わっている。
5年間の国の舵取り役を選ぶため、韓国大統領選の投票率は高い傾向がある。前回17年5月は77.2%、前々回12年12月は75.8%だった。
なお、87年の民主化以降、投票率が最も高かったのは、87年12月の第13代大統領選で89.2%、最も低かったのは07年12月の第17代大統領選で63.0%だった。
【参考記事】
新型コロナで厳戒? 韓国総選挙「史上最多」期日前投票ルポ(20年4月12日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20200412-00172891
●新型コロナで投票時間延長
3月9日の投票時間は期日前投票と同様に午前6時から午後6時までとなるが、今回の大統領選では新型コロナ感染者の投票権を考慮し、投票時間が延長される見通しだ。
具体的には9日の午後6時から午後7時半まで、新型コロナ感染者が別途投票できるようにするもので、今月14日に選挙法が改正されると韓国メディアは報じている(14日に同法は改正された。15日追記)。
開票は即日行われる。従来は午後6時ちょうどに主要メディアが出口調査に基づく結果を公表し趨勢が判明していたが、上記の事情もあり今回は出口調査の結果は午後7時半以降に発表されるものと予測される。
当選した候補者は「大統領当選人」という法的な地位を得て、「大統領職引受委員会」を設置する。最大24人で構成される同委員会は文字通り政権発足の準備をするもので、ここに参加する人物が次政権の中枢を担うことになる。
「大統領当選人」は22年5月10日0時をもって正式に第20代大統領に就任する。就任式は5月10日に行われる予定で、任期は5年となる。