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台風4号、まもなく北朝鮮に上陸か

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
台風4号の衛星画像 (4日22時、出典: 気象庁)

台風4号が、4日(火)中国・浙江省に上陸しました。中国では今年2つ目の台風の上陸です。

24時間で324ミリの雨が降り、河川が氾濫、多数の道路が冠水したもようです。また樹齢600年の大木が倒れるなど、風の被害も報告されています。

さらに台風が接近した台湾では、ポンプ場で作業中の従業員1人が転落し、命を落としました。

(↑台風が直撃した浙江省の様子)

朝鮮半島直撃コースか

この台風4号は、東向きに進路を変え、朝鮮半島に上陸する可能性が高まっています。

日本の気象庁の予想によると、4号は5日(木)未明に平壌付近に上陸する見込みです。その後、陸上で温帯低気圧となり、同日午前中にかけて北朝鮮を横断する予想となっています。

なお北朝鮮に台風が上陸するのは、2019年の台風13号以来のことです。

予想される雨量は、北朝鮮で400ミリ(~5日)、韓国では300ミリ(~6日)となっています。

気象庁の予想進路図に筆者加筆
気象庁の予想進路図に筆者加筆

朝鮮半島の梅雨の大雨

現在朝鮮半島は「梅雨」を迎えています。日本の梅雨同様、今年は記録的な大雨が降っています。

たとえば韓国北部の江原道では、8月1日から5日までの間に625ミリ、首都ソウルでは225ミリの雨が観測されています。これは8月の月間降水量を大きく上回る雨量です。

韓国では、6月下旬から40日以上連続で雨が降っており、2013年以降で最長となったということです。8月に入ってからは特に雨が激しく降り、洪水や土砂崩れなどで14人が死亡、12人が行方不明となっているもようです。ソウル市内では、ハンガンがあふれ道路が冠水し、ムン・ジェイン大統領は、急きょ夏季休暇をキャンセルして、大雨の対策に追われています。

一方、北朝鮮北部の安州では、大雨の影響で7月炭鉱事故が起きました。坑道が浸水し崩落したため、労働者12人が閉じ込められたと伝えられました。

韓国の聯合ニュースによると、先日北朝鮮は韓国に流れ込むイムジン川の上流の黄江ダムの水を、予告なしに放流したとのことです。今のところ韓国側で被害が出ていないようですが、2009年には北朝鮮による黄江ダムの放流で、韓国人6人が亡くなっています。

すでに大雨が降り、災害が起きている中での台風の襲来です。一層の被害が心配されます。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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