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“双子のママ”アン・ソンジュが日本ツアー復帰に複雑な心境を吐露「日本に行くのが正しいことなのか…」

金明昱スポーツライター
日本ツアー復帰を悩んでいることを明かしたアン・ソンジュ(写真・KLPGA)

 日本女子ツアー28勝で、賞金女王に4度も輝いているアン・ソンジュ。昨年4月下旬に双子の男児と女子を出産し、産休制度を利用して一旦、韓国へ帰国。来年から日本ツアー復帰に向けて準備を進めている。

 今季は4月から永久シードの資格を持つ韓国女子ツアーに出場中で、コンスタントに予選を通過するなど、徐々に実戦感覚を取り戻し始めていた。そんな矢先、今週開催されている「ハイワンリゾート女子オープン」(8月18~21日)の3日目を終え、2位に3打差の通算10アンダーで単独トップに立ち、今日(21日)最終日を迎えた。

 韓国ツアーで優勝すれば13年ぶりのこと。日本ツアーで最後に優勝したのは2018年のNOBUTA GROUPマスターズGCレディースとあって、アンにとっては緊張の一日となっている。

 20日のホールアウト後の会見では「子どもを産んで復帰して優勝することだけでも、私にとっては大きな名誉。優勝できたらいいですが、いい成績じゃなくても自分がやりたいゴルフをすれば、神様も私に優勝をくれるのではないか」と笑顔で語っていた。

「子どもがいるから今も悩んでいる」

 また、会見では育児とゴルフの両立による「練習不足」について何度も語っていたが、それよりも驚いたのは来年から予定している日本ツアー復帰について聞かれ、気持ちがかなり揺れていることだった。

「実際は日本ツアーに復帰すべきかどうか、今もすごく悩んでいます。今年の初めには来年には(日本ツアーに)復帰すると話しましたが、子どもたちがいますから…。実際に今も4~5日離れているだけでも子どもたちの顔を見たくなるんです。なので今もずっと悩んでいるというのが正直なところです。日本に行くのが本当に正しいことなのか。子どもたちを韓国に置いていくのが正しいことなのか…。今は夫とたくさん話し合っているところです」

 確かにアン・ソンジュの主戦場は日本ツアーで、賞金女王は4度と圧倒的な強さを見せてきた選手だ。慣れたコースや環境でやりたい気持ちは強いが、双子の育児に忙殺され、「練習に行きたくても育児に疲れて体力的に難しいことが多かった」と話している。

 今年初めにも韓国メディアに向けて、「来年から日本ツアーに復帰するために準備している」と公言していたが、ここに来て、気持ちが揺れ動き始めているのは、やはり子どもを近くで見られない心配があるからだろう。

 双子を連れて、毎週日本ツアーを転戦するには、協力してくれる人がいなければ難しい側面があるが、母国の韓国ならそうした労力が軽減されるのは想像に難くない。それに永久シードを持つ韓国ツアーには体力が続く限り出続けられること、実際に戦ってみて勝てるチャンスが出てきたことも、日本行きを悩む要因になっているかもしれない。

 かつては無類の強さを見せてきたアン・ソンジュが、若手の勢いが勝る今の日本ツアーでどれだけできるのかを見てみたいものだが、日本行きを悩む日々はまだ続きそうだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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