平日は男性1時間30分、女性は…? 通勤の実情をさぐる
雇用されている人の通勤率と通勤時間
仕事環境が自宅にある人は話が別だが、多くの就業者は自宅から職場まで通勤をしなければならない。他人の事情を推し量ることが難しい通勤の実情に関して、総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用いて確認する。
最初に示すのは、雇用されている人における通勤行動率と、通勤をした人の通勤時間。1日あたりの時間なので、往復の時間が示されていることに注意。例えば平日の男性は1時間30分なので、平均的な片道の通勤時間は45分となる。
平日でも通勤行動者率が100%にならないのは、毎日出勤を必要としない就業者がいること、就業形態が特殊な人(平日(の特定曜日)が休み)がいること、たまたま調査日が休みだったことなどが挙げられる。逆に土曜や日曜でもそれなりに通勤をしている人がいるのは、その曜日が(・も)出勤の必要がある就業形態であったり、土曜や日曜のみの就業の場合があるため。また、休日出勤のケースもあり得る。ともあれ、雇用されている人の2割強は日曜でも出勤していることになる。2021年の時点では新型コロナウイルスの流行による在宅勤務が広範囲で実施されていたことも、平日の通勤行動者率が低く見える一因だろう。
通勤時間は曜日で大きな違いはなく1時間強。女性よりも男性の方が長く、土曜や日曜より平日の方が長い。これは土曜や日曜では、近場で働く≒通勤時間が短い非正規の就業者が多いのが原因。
正規より非正規の方が通勤時間は短い
続いていくつかの切り口から、通勤の実情を確認する。まずは正規か非正規か。非正規職員・従業員にはパート、アルバイト、契約社員、嘱託、労働者派遣事業所の派遣社員などが該当する。
男女とも正規の方が非正規より通勤時間が長い。これは非正規の中でもパートやアルバイトでよくあるパターンだが、自宅から距離的に離れていない、通勤時間が短い場所で働く傾向があるため。子供がいる主婦では特に、不測の事態が生じた際にすぐに自宅に戻れる・保育園などに駆け付けられる場所で働きたいと考えて就業先を選ぶのは、理にかなった選択ではある。
続いて休日出勤としての土日出勤の実情がかいま見られる、雇用形態別の通勤行動者率。
正規・非正規間では平日は正規、日曜は非正規の方が通勤をする人(≒就業する人)が多い傾向がある。非正規の方が雇用形態の上で柔軟性が高いのも一因だが、日曜だからこそ就業が求められるような場では、非正規の方が職の枠が多いのも要因だろう。
他方、土曜では3割台、日曜でも正規は1割台、非正規は2割強が通勤している計算になる。一部職種にあるように、水曜や木曜を定休日として土日も営業しているケースもあるが、それにしては少々多いような感も否めない。
なお今件は雇用されている人を対象としている。役員や自営業・自由業の人は対象外。しかしそれらの「(あまり)通勤しない・する必要が無い」人について、通勤の精査の際に含めるのは不毛に他ならない。ともあれ就業者全体としてではなく、雇用されている人に限った全体像であることを記しておく。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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