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国連、新型コロナウィルスに関する「インフォデミック」に注意喚起:フェイクニュースや虚偽情報流布に懸念

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナに関する虚偽情報やフェイクニュース拡散防止に向けて

 国連、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(ユニセフ)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、国連開発計画(UNDP)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国際電気通信連合(ITU)、国連グローバル・パルス・イニシアチブ、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)とインドネシア政府、タイ政府、ウルグアイ政府は2020年9月に新型コロナウィルス関連の虚偽情報、フェイクニュースの拡散による被害に対して注意喚起を行う共同声明を発表した。新型コロナウィルス関連の情報拡散について表現の自由を尊重しつつも、科学的根拠に基づく正確な情報のタイムリーな発信を行い、誤った情報、フェイクニュースの拡散を防止するための行動計画を策定するように訴えた。

 WHOのテドロス事務局長は「新型コロナウィルスに関する虚偽情報やフェイクニュースは人々の健康と命を危険に曝しかねないです。科学、制度、保健や医療システムへの信頼を損ないます。パンデミックと闘うためには信頼と連帯が必要です。虚偽情報やフェイクニュースが新型コロナウィルスのパンデミックへの対応を妨げています。力を合わせてフェイクニュースや虚偽情報、誤報と闘っていく必要があります。科学的根拠に基づいた公衆衛生情報の提供と促進が求められます」と語っていた。ユニセフの事務局長は「フェイクニュースや誤報は現在、世界中の子供たちが直面している課題の1つです。そのような情報が流布し社会制度や信頼を亀裂させ、科学や医療への信頼を損なわせています。例えば、子供にワクチンを接種させなくても良いと親に思い込ませるような誤報やフェイクニュースは致命的にもつながる最悪なケースの1つです」とコメントしていた。

あらゆる情報があっという間にスマホで拡散

 フェイクニュースや虚偽情報がSNSやネットで拡散されることは「インフォデミック」と呼ばれており、新型コロナウィルス拡散の「パンデミック」とともに世界中でも使われるようになってきた。あらゆる誤報やフェイクニュース、さらには噂やデマがSNSであっという間に拡散されてしまう。

 現在では新興国の子供たちでも多くがスマホを所有して、ネットにアクセスしてインスタグラム、Facebook、Twitter、WhatsAppといったSNSであらゆる情報を発信、拡散しており、新型コロナウィルスに関する虚偽情報やフェイクニュースも多い。新興国では家にはテレビはないけどスマホはチェックしていたり、新聞は読んだことがないけどスマホのSNSで情報は得ている人はとても多い。特にロックダウンに伴って学校が閉鎖されていたため、子供たち同士での情報交換がほぼスマホのSNSでのやりとりになっており、新型コロナウィルスに関する正確なニュースだけでなく、「◎◎を食べると新型コロナにかからない」といったフェイクニュースや虚偽情報、さらに地域コミュニティレベルでの噂やデマなどあらゆる情報が特定の地域だけでなく全国、さらに世界中にあっという間に流布している。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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