日本が一番の対外純資産持ちな国…世界全体で対外純資産額の実情をさぐる
・対外純資産額で世界トップは日本。2.99兆ドル。
・日本に続く対外純資産額が大きい国はドイツ、中国、香港、スイス、ノルウェー、シンガポールの順。
・マイナス額でのトップ(対外負債額トップ)は米国。マイナス8.32兆ドル。
国単位での資産額は債務と債権を相殺した、特定の国から他の国々に対する「対外純資産額」で示される。その額についてIMFの公開データベースの値を基に、世界全体での実情を確認する。
対外純資産とは対外資産と対外負債を合算したもので「対外」とは該当国が他国に保有している資産や負債のこと。大まかな説明としては「資産…海外に対して色々な形で貸し付けているもの」「負債…海外から色々な形で借り受けているもの」となる。
次に示すのはIMFのデータベースで対外純資産額(公的なものと民間のものを合算した額)を確認できる国のうち、年ベースで取得可能な最新値となる2016年分に関し、その値が確定している国、計132か国について、上位陣と下位陣を抽出したもの。米ドル換算された値を用いている。なお下位陣のグラフでは対外純負債国(対外純資産がマイナスの国)で負債額がもっとも大きい国を左にしてある。
最大の対外純負債を有するのは米国。次いでスペインだが、米国の額が大きすぎてグラフがアンバランスなものとなっている。米国とスペインとの差は8倍以上。1兆ドル以上の対外純負債を持つのは米国だけとなる。
スペインの次はオーストラリア、ブラジル、アイルランド、メキシコ、フランス、インド、トルコと続く。経済的に難儀していることもあり、やはりそうなのかという感想を抱く国もあれば、意外なところで顔を見せている国もある。
他方最大の対外純資産を有するのは日本。次いでドイツ、中国、香港が続く。この4か国が対外純資産額で1兆ドル超え。さらにスイス、ノルウェー、シンガポール、サウジアラビアなどが続く。
なおそれぞれのグラフの最下位がマイナス0.08兆ドル、プラス0.05兆ドルであることから、残りの92か国はプラス0.05兆ドルからマイナス0.08兆ドルに収まっていることになる。
この対外純資産は公的なものと民間のものを合算したもので、さらに資産部分は即時換金できるものでは無い。純資産を計算する時に行う、資産と負債の合算に、さほど深い意味合いは無い。個々の国の財政状態を概要的に知る程度のもの、状況の改善を模索するための参考資料程度のものである。
一方で、債務だけをことさらに強調して不安をあおったり、資産のみを提示して健全性をアピールするのもよい話とは言い難い。それらのような話がある際には、今件の対外純資産額の実情は、大いに役立つことだろう。
■関連記事:
日本は1990年代からデフレへ…日米中のGDP推移を詳しく見ていく
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。