「川遊びにはライフジャケット」を連呼し激押しする岐阜県HP読みました?そこから見えてくる熱い水害対策
岐阜県公式HPの水難事故に関するQ&Aのライフジャケット押しの連呼がすごいとTwitter上でも話題になっていました。みなさん、読みましたか?
まだの方のために、まずはその連呼するライフジャケット押しの一部をお読みください。
これは一部であるにもかかわらず、「ライフジャケットを着用せずに川に入るのは自殺行為」と述べる押しのすごさがわかるかと思います。そして、いくつか出てくる、Qの内容が妙にリアルなこともバズった理由ではないかと思います。
孫や彼女や高校の仲間が季節を変えて登場します。そして、Aにも水難事故の恐ろしさが小説ばりに淡々と書かれています。長いですが、壮大なストーリーになっているので、引用します。
仲間の一人の姿が見当たらないのに、川は「ただ静かに流れているだけ」とか、「記憶が途切れがち」になる描写も研ぎ澄まされています。そして、今回何よりも注目したいのは、最後の行です。
実際に、災害時の救助の場面でもライフジャケットを着用してボートで救出にあたっている映像もご覧になったことがあると思います。ライフジャケットは水害対策にもなるので一石二鳥です。今年は、もう泳がないという方も日常の水害対策&来年の川遊び用に準備していただくこともありだと思います。
ただ、注意していただきたいのは、水害時、膝より上の水位であったり、足首程度の深さでも流れがあれば、そもそも外に避難するには遅いといえるので、垂直避難という上層階に逃げる方がよい場合が多いです。ライフジャケットは水害時にこれがあれば大丈夫というものではもちろんありません。しかし、川であっても、ライフジャケットを着用しないことは「自殺行為」なのですから、水害時、浸水した場合、川のように流れがあれば、どれほど危険になるのか、この岐阜県HP記載からも推測していただければと思います。
このように、ライフジャケット押しの中に水害対策も盛り込んでいる岐阜県は、川の事故と同様に水害にも悩まされてきた地域でもあります。そのため、水害を含めた災害対策に熱いひと工夫があるのです。
同じ公式HPの清流の国ぎふ防災・減災センターのページに飛んでいただくと「げんさい楽座」と書かれた箇所があります。
「げんさい楽座」は、「専門家と一般参加者が防災・減災について語り合い、防災・減災への関心を深め、知識を得るとともに、参加者同士が意見交換を行う交流の場」です。お互いに顔の見えるネットワークづくりと災害に強い地域社会を創りだすことを目指しています。
コロナ禍で、各地の防災講座がストップする中、この「げんさい楽座」は、すばやくオンライン対応をして、毎月開催されています。そして、7月に報告された大垣市の新型コロナウイルス対応避難所の写真を見ていただきたいと思います。
入り口にはサーモグラフィが導入されスムーズに避難所(避難場所)の受付ができるようになっています。体温計測定では受付に時間がかかってしまいますが、だからといってサーモグラフィ導入は、災害が起こる前に準備をしておかないと対応できません。すばやく訓練に取り入れる姿勢が熱いです。
受付ではフェイスシールドも着用します。
コロナ禍での避難所は、岐阜大学准教授の小山真紀氏の示された考え方、岐阜県の避難所コロナ対策ガイドラインを参考に設営されています。三密にならない工夫を事前にされています。
コロナ禍にあっても、出水期といわれる水害の多い時期に防災・減災の取り組みを止めるわけにはいきません。岐阜県のライフジャケット押しから見えてくることは、日常から川に対し、恵みもリスクもしっかり受け止めている真摯な姿勢です。ライフジャケットなしの悲劇をあれだけリアルに描写できるのは、そこにある川に対しての深い理解が根底にあると思うのです。その理解を行政、大学、地域の方がひとつになって災害対策に生かそうとする岐阜県と地域の方の取り組みを、ライフジャケット押しと同様に注目していただければと思います。