【JAZZ】J-Yorkers@赤坂B flat
“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、日本のジャズ・シーンを牽引する渡米組3人によるユニット。
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野瀬栄進(1971年生)は1992年からニューヨークを拠点に活動するピアニスト。ベースの井上陽介(1964年生)は1991年から2004年まで、ドラムの小山太郎(1965年生)は1999年から2004年まで、それぞれニューヨークを拠点に活動していた経歴をもつ。つまり、ジャズの最前線で切磋琢磨した共通経験をもつ3人が結集したのが、このJ-Yorkersなのである。
すでに2001年ごろからレコーディングを行なったり野瀬栄進の日本ツアーに同行するなど、ニューヨークでも通用する日本人メンバーでのリズムセクションとして実績を重ね、2003年にはJ-Yorkers名義でアルバム『Home Sweet Home〜望郷』もリリースしている。
サムライ・ジャズの概念を変える本流のサウンド
J-Yorkersとは、New Yorker(ニューヨーカー)を意識した名前だろう。Yankee(ヤンキー)よりもさらに狭い地域で生まれ育った者に与えられる“特権”とも言うべき名称を流用した命名は、すなわち彼らがジャズを演奏することにおいて国境や人種といったカベを超えようという気概あるいは矜持を表現しようとしたものに違いない。
ジャズの求心力がいつまでニューヨークにあったのかは定かではない。しかし、この3人が“異邦人”ながらもシーンの最前線で活躍するまでに成長していた1990年代末は、すでにNew Yorkerと呼べる人種だけに“ホンモノのジャズを語る資格”が許されるような状況ではなかったということだ。
日本人にしか出せないサウンドに固執しても、ジャズへのアンチテーゼしか示すことができない。ジャズのど真ん中に飛び込み、New Yorkerに匹敵するセンスと技量を身につけてはじめて、日本人が物まねではないジャズを演奏するためのスタート地点に立つことができる。彼らはすでにそのスタート地点を後にして、走り続けているのだ。
本場でも見ることのできない本場のジャズを具現してくれる貴重なライヴになるだろう。
では、行ってきます!