Yahoo!ニュース

広島の「月間20勝」とヤクルトの「月間20敗」は相互関係!? 同じ月に同じリーグで20勝と20敗

宇根夏樹ベースボール・ライター
広島東洋カープの本拠地、マツダスタジアム February 24, 2016(写真:長田洋平/アフロ)

 先月、広島東洋カープは20勝を挙げ、東京ヤクルトスワローズは20敗を喫した。

 両チームは5月に5試合で対戦し、すべて広島東洋が勝利を収めた。広島東洋は全5球団に勝ち越したが、全勝は対東京ヤクルトだけだ。他の4球団には1敗ずつしている。一方、東京ヤクルトは、広島東洋のみならず、横浜DeNAベイスターズにも全敗(6敗)した。ただ、読売ジャイアンツに対しては、2勝1敗と勝ち越した。

筆者作成
筆者作成

 月間20勝以上は8球団目、月間20敗以上は10球団目だ。同じ月に、20勝以上の球団と20敗以上の球団が揃うのは2度目。今から65年前の1954年8月に、中日ドラゴンズが21勝4敗、大洋松竹ロビンスが5勝20敗を記録した。

筆者作成
筆者作成

 先月の広島東洋と同じように、この時も、中日は大洋松竹に全勝し、他の4球団にはそれぞれ1敗を喫した。ただ、中日と大洋松竹の対戦は3試合だけ。中日は21勝の3分の1に当たる7勝を、国鉄スワローズから挙げた。大洋松竹の黒星は、対読売の6敗(3勝)が最も多かった。

 なお、広島東洋(2019年5月)の前に月間20勝以上を記録した7球団のうち、阪急ブレーブス(1973年8月)と横浜ベイスターズ(1997年8月)は、リーグ優勝を逃している。もっとも、阪急の年間77勝(48敗)はパ・リーグで最も多く、勝率.616も最高だった。当時のパ・リーグは前期と後期に分かれていて、後期1位(前期3位)の阪急は、プレーオフで前期1位(後期3位)の南海ホークスに敗れた。1997年のセ・リーグは、83勝52敗のヤクルトスワローズがリーグを制し、72勝63敗の横浜は11ゲーム差の2位に終わった。

 東京ヤクルト(2019年5月)の前に月間20敗以上を記録した9球団は、いずれもシーズン負け越しながら、8球団が勝率.400以下だったのに対し、中日(2014年8月)は.479の「高勝率」で4位に位置した。他にリーグ最下位を免れたのは、8球団中6位の大映スターズ(1955年4月)だけだ。日本ハム・ファイターズ(1974年8月)は、前期も後期も最下位に位置した。

 現在、広島東洋はセ・リーグの首位を走り、東京ヤクルトは最下位に沈んでいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事