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【東御市】知らなかった!牛に引かれて行ったのはここからだった・・・・

もりのりこ地域移住系ライター(上田市)

『牛に引かれて善光寺まいり』ということわざがあります。

思いがけないことで良い方向に導かれるという意味ですが、牛に引かれて歩きはじめたのは、東御(とうみ)市布下から善光寺までだという説があるのをご存知でしたか?

今回はことわざの元となった民話の舞台をご紹介します。

・布岩の魅力

東御市布下にある布岩(ぬのいわ)。

布引観音温泉の駐車場から見る布岩
布引観音温泉の駐車場から見る布岩

県道40号を小諸に向かう途中、布引観音温泉の背後に一筋の白い層が斜めに走る特徴的な岸壁。この布岩こそが牛に引かれて善光寺まいり伝説の舞台とされています。

・伝説の背景

布岩の案内板には次のように説明されています。

県道沿いに設置された看板 このさりげなさがイイ! 
県道沿いに設置された看板 このさりげなさがイイ! 

まるで白い布を掛けたように見えることから布岩と呼ばれています。
布岩にまつわる伝説「牛に引かれて善光寺まいり」では、無信心な老婆が牛に持っていかれた布を追って善光寺に行き、信仰心が目覚めました。
持ち帰った布は風に吹かれ岸壁に舞い、白い化石になったということです。

・牛を追いかけた距離は約50キロメートル

民話を読むと、布を奪われたお婆さんは「着物のすそをけりあげ、髪をふり乱し、金切り声で叫びながら」善光寺まで牛を追いかけたとあります。

東御市内から善光寺まで電車とバスを乗り継いで2時間弱 昔懐かしい切符がうれしい! 撮影日:2023年1月
東御市内から善光寺まで電車とバスを乗り継いで2時間弱 昔懐かしい切符がうれしい! 撮影日:2023年1月

強欲なお婆さんが布を洗濯していた千曲川の河原
強欲なお婆さんが布を洗濯していた千曲川の河原

この距離は約50キロメートルとフルマラソンより長い道のりで、車でも約1時間半かかります。

・布岩と天然温泉

白い布のように見えなくもない 布岩
白い布のように見えなくもない 布岩

布岩の白い部分は、新生代第四紀更新世前期に火山灰が固まってできた灰白色の凝灰岩と推測されています。この布岩の元から湧き出る天然温泉が布引観音温泉湯質が良いと評判で、地下から汲み上げるミネラル成分が豊富な深層水を求め、地元や遠方から水を汲みに人が訪れます。

飲用水は無料 布引観音温泉にある
飲用水は無料 布引観音温泉にある

布引観音温泉の唐澤さんは「この水でコーヒーを淹れるとおいしいですよ」と教えてくれました。

・布岩周辺の散策

布引観音の看板猫 とても人懐こい
布引観音の看板猫 とても人懐こい

布岩から約1.7キロメートルの距離にある布引観音釈尊寺(小諸市)。断崖に立つ観音堂が有名なこの寺を通る浅間八ヶ岳パノラマトレイル「布引観音コース」が整備されている。

浅間八ヶ岳パノラマトレイル上の小ピーク「八ヶ岳」 何とも言えない標識が密かに人気! 画像提供:たつ様
浅間八ヶ岳パノラマトレイル上の小ピーク「八ヶ岳」 何とも言えない標識が密かに人気! 画像提供:たつ様

善光寺までの道のりは厳しくても、5キロメートルほどの散策コースを楽しんでみてはいかがでしょうか。

・いかがでしたか

牛に引かれてのんびりと詣でる印象のあった善光寺参り。実は、髪をふり乱して叫びながらフルマラソンを完走するほどの情熱的なストーリーでした。

そうした民話逸話がそこかしこに残る東御市。歴史ある土地ならではの発見がたくさんあります。県道沿いにある布岩。ドライブついでに寄ってみてはいかがでしょうか。風情ある天然温泉で疲れを癒すのもおすすめです。

布岩
住所:長野県東御市布下

布引観音温泉
住所:長野県東御市布下498-1
電話:0268-67-3434

アクセス
(電車)しなの鉄道「滋野駅」から車で約7分
(車)上信越自動車道「小諸IC」または「東部湯の丸IC」から約10分

地域移住系ライター(上田市)

東京から長野に拠点を移してあちこち巡るヒト。 豊かな自然、伝統とあたらしさ、独特の上田カルチャーに惹かれ、日々過ごしています。 ヨソから来たからこそ発見できる上田の魅力。 ほんとうに伝えたいことだけをていねいに記事にします。

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