発生中の熱帯低気圧は「台風28号」になってフィリピン上陸か
フィリピンの東の海上にある熱帯低気圧が20日(火)にも台風28号となる予想が出ています。同日夜にはフィリピン中部ビサヤ諸島周辺に上陸し、週末には27号の被害を受けたばかりのベトナムへと向かうおそれもでています。
熱帯低気圧の今とこれから
日本時間19日(月)熱帯低気圧がフィリピンの東の海上で発生しています。気象庁は、20日(火)夜までに台風の勢力でフィリピン中部ビサヤ諸島周辺に上陸すると予想しています。台風となれば今年28個目で、フィリピンに上陸すれば今年4個目となります。
フィリピン気象局によると、フィリピンを抜けた後も西進を続け、週末にかけてベトナムに最接近する見込みとのことです。
ベトナム南部では、18日(日)台風27号(国際名:トラジー)の大雨により大規模な土砂崩れが発生し、少なくとも13名が死亡したと伝えられています。
フィリピン台風の統計と命名
台風の発生源に近く、広大な太平洋に囲まれたフィリピンは、中国に続いて世界第2位の台風常襲国です。ちなみに3位は日本です。
接近する熱帯低気圧や台風には、フィリピン名が付けられます。例えば今発生している熱帯低気圧は「サミュエル」と呼ばれています。フィリピンは台風のネーミングリストを作っていて、4年ごとに同じものを使用しています。
ただ、300人以上の死者が出た台風や、10億フィリピンペソ以上の経済損失を出した台風の名前は永久欠名となり、以後使用されなくなります。
さらに著名人が笑いものになるような名前も外されます。例えば2015年にはノイノイという名前が台風リストにありましたが、当時のアキノ大統領のあだ名でもあったために、ノナに変更されました。
今は「魔の季節」
ところで一般的に、晩秋から初冬は台風が落ち着く頃ですが、フィリピンにとっては「魔の季節」といえます。というのも、過去最も大きな人的被害を出した台風のほぼすべてが、11月から12月に発生しているからです。
その理由は、台風の進路に関係しています。秋になると台風はより南の経路を取るようになり、フィリピン中部のビサヤ諸島や南部のミンダナオ島がその進路となることが多くなります。
ビサヤ諸島は小さな島々から成り立っており、高潮や高波の被害が起きやすく、一方の南部ミンダナオ島は台風の上陸頻度が少なく、貧困層も多いために、台風への備えが脆弱です。このため、南を通るこの時期の台風は大きな被害を出しやすいというわけです。
フィリピン気象局は、今年11月から12月にかけて2~4個の台風が直撃するという予想を出しており、まだまだ気の抜けない状態となっています。