往年のスターがきっかけ!?年末年始ハワイ取材のルーツとは?
「芸能人はハワイが好き!」とよく言うが、その原点は故・石原裕次郎さんだとボクは思っている。高級別荘街として知られるカハラ地区に別荘を購入し、ヨットも所有していた。裕次郎さんは時間ができるとハワイに行き、ゴルフやヨットを楽しみ、スターならではの休暇を堪能していた。
そんな裕次郎さんが“石原軍団”のメンバーを引き連れ、交友のある有名人と共に正月のバカンスを過ごすのが徐々に恒例になり、その様子が、テレビの正月特番でも放送された。いわば、これが「正月をハワイで過ごす芸能人」の先駆けだった。
それに加え、ボクの記憶では、1970年代にスポーツニッポンが正月のハワイにやって来る芸能人を次々にインタビューしたのが、「芸能人の正月ハワイ取材」のきっかけだったと思う。記事を書いたのは、当時、石原プロダクション担当だったN記者。“石原軍団”の正月のバカンスに同行取材したのだが、その余暇を使ってホノルル空港(当時)で張り込みした成果だった。
なぜ、そこまでして取材する?
これに刺激された他のスポーツ紙、週刊誌、そしてワイドショーは、徐々に年末年始のハワイ取材をするようになった。ワイドショー全盛時は、番組制作費も多く、民放各局の朝と昼のワイドショーがリポーターとディレクターを派遣。これに、現地のコーディネーター、カメラマン、照明マン、音声マンが加わり、総勢40人を超える取材陣だった。
なぜ、そこまでして取材するのか?疑問を感じる向きもあるだろうが、この時期のハワイだからこそ撮影できる映像が数多くあるのだ。ボクは30年以上、この取材をしてきたが、ここでしか出合わない“瞬間”をいくつも体験してきた。
故・美空ひばりさん、故・森光子さん、故・勝新太郎さん、松田聖子さん、「とんねるず」、「ダウンタウン」松本人志さん、浜崎あゆみさん、五木ひろしさん、森進一さん、「少年隊」東山紀之さん、稲垣吾郎さん…など、日頃はなかなかインタビューできないスターの生の声を取ることができた。
インタビューは断られたが、矢沢永吉さんに「頑張ってよ!」と声をかけられたのも、未だに印象に残っている。
中継車をバラバラにして…
また、日本ではあり得ないことも数多く起きた。
交際中のカップルが2ショットでやってきて、大騒ぎになることもあった。親族や友人の都合でこの時期に挙式した芸能人(最近では、小栗旬さん&山田優さん)も多く、各局の取材合戦はかなりヒートアップしていた。
特に、ある大物歌手と大物女優のマウイ島挙式の際は、取材した映像をマウイ島から日本に送る手段がなく、ボクらはヘリコプターをチャーターして、オアフ島に運び、現地の放送局から衛星回線を使って日本に送った。
ところが、他局の番組は、船にそのままでは載せられない中継車を一度、バラバラにしてオアフ島からマウイ島に運び、改めて組み立てて、現場から生中継。結果、この番組だけが、他の番組より早く挙式の模様をお茶の間に届けたのだ。
まるで“特番”のメンバー!
最近は予算が減ったため、取材に行く媒体が少なくなったが、未だに“季節の風物詩”であることは間違いない。「ダウンタウン」浜田雅功さん&小川菜摘さん夫妻、ヒロミさん&松本伊代さん夫妻のインタビューなど、まず日本では難しい。この時期のハワイだからこそ、応えてくれる。
一昨年、和田アキ子さんが久しぶりに来た時は、「とんねるず」木梨憲武さん、ヒロミさん、勝俣州和さん、長嶋一茂さんが全員で空港に出迎え、みんなでインタビューに応じてくれた。日常だったら、特番が組めるメンバーだ。
今回は12月29日からダニエル・K・イノウエ空港(前ホノルル空港)で、取材を始めた。改めて、どんな“場面”に出合えるかワクワクしている。
写真:KOZOクリエイターズ