約2/3の子供持ちの母親は仕事あり、2001年比で13%ポイントの増加
子供の成長に連れて有職女性率も上昇
ライフスタイルの変化や可処分所得の減退などに伴い、夫婦世帯における兼業主婦数は増加中。仕事を持つ母親の現状と増加状況を、厚生労働省の定点観測的調査「国民生活基礎調査」の公開値から確認していく。
一般世帯では世帯主は男性=夫、そして女性=妻は配偶者となる。昨今では逆のパターンもありうるが、比率的には「あまり」深く考慮しなくてよい。
世帯主の収入のみでは経済的に不安を覚える世帯では、子供が居る場合でも妻がパートなどで家計を補助する必要が生じてくる。いわゆる「共働き」「兼業」状態になるわけだが、その実情を類推できるのが、次に示す「末子の年齢階級別に見た、仕事を持つ母親の割合」。
これは児童(18歳未満の未婚の者)である子供が居る世帯において、母親が仕事をしているか否かの比率を示したもの。例えば2014年の総数は約2/3なので、「末子が児童の世帯のうち、約2/3では母親が(も)働いている」ことになる。
今世紀初頭の2001年と比較すると、大体8から19%ポイントの増加が見られる。増加原因についてはさまざまな事柄が推測できるが、あえて主要なものを列挙するとすれば、まずは支出の増加と収入の減少、そして生活意識の向上によるものと考えられる。また核家族率が増加する(三世帯家族が減る)ことで、子供を持つ夫婦の生活が厳しさ(金銭面・育児面)を増しているのも一因。加えて、女性の社会進出に対する意識の変化が進み、女性が仕事をすることへの抵抗感が薄れたのも理由の一つだろう。
子供の年齢が上がると共に母親の有職率も増加していく。末子が高校生にもなると(児童を持つ世帯のうち)8割近い母親が仕事を得て働いている計算になる。一方で0歳児でも4割近くの母親が働きに出ているが、これは父親、保育所や保育施設、そして祖父母が育児をサポート・手伝っていることになる。
「今世紀初頭からの『仕事ありの母親の割合』」の増加傾向を見ると、末子の年齢が小さいほど伸び率・増加ポイント数が大きい。例えばゼロ歳児では66%の増加(66%ポイントでは無い)、15~17歳児では16%の増加となっている。元々の値が小さかったのも一因だが、同時に「子供が小さくても働きに出なければならない(経済上)」「出たい(女性の意識上)」が増加している結果といえる。
正社員・非正規社員比率は?
次に示すのは子供が居る世帯において、就労している主婦の正社員・非正社員率。これらのどれにも該当しない女性が、専業主婦となる。非正社員は概してパート・アルバイト。また出産前に正社員として勤めていた会社に、嘱託として勤務する場合もありうる。
子供が大きくなるにつれてかかる手間も少なくなり、正社員としてフルタイムで働ける条件も整ってくる…との想像をする人も少なくないが、現実には子供の年齢と正社員率には関連性は見られない。子供が成長しても、正社員率は(児童あり世帯比で)2割前後でしかなく、非正社員率の上昇が主婦の就労率を押し上げていることになる。
子供がいる女性の正社員率が上がらないのは、子供に何かトラブルが生じた時の対応のしやすさ、時間拘束の問題がネックになっているのだろう。さらには就労が難しい正社員としてよりは、就労しやすいパートなどの非正規社員として雇われることで、ともかく金銭的な家計の補完が最優先されると考えれば道理は通る。いわゆる「主婦の就労事情」が透けて見えてくるというものだ。
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