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道内屈指の人気!多彩な演出で魅せた勝毎花火大会(2024年8月13日開催)レポート

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

北海道屈指の人気の花火大会「勝毎花火大会」が2024年8月13日(火)に開催されました。開催日前後に台風5号が東北を横断したため、天候が不安視されていましたが、無事、当初予定どおりに開催。その様子をレポートします!

勝毎花火大会とは?

「勝毎(かちまい)花火大会」とは、北海道帯広市で開催される花火大会で、初回開催が1929年といわれ、100年近い歴史を誇ります。開催日は曜日にかかわらず、原則8月13日に固定。

花火と音楽とのコラボレーションに、レーザーやライティングによる演出が加わり、エンタメ性の高い花火ショーとして人気を集めています。帯広駅から徒歩約30分(当日はシャトルバスの運行あり)とアクセスしやすいことも特徴で、遠方からでも比較的行きやすい花火大会です。

会場となるのは十勝大橋下流の十勝川河川敷。有料観覧席は十勝川の南側河川敷に設けられていました。観覧席は全席有料となっており(一部の十勝管内在住者限定無料席を除く)、私はゴールドシートの堤防斜面階段部分にて観覧しました。

打ち上げ時間は19:30~21:00までと、最近の花火大会が短めになる傾向のあるなかで、やや長めです。

2024年のプログラムは第1部~第7部までの7部構成、それぞれにテーマを設けてプログラムが披露されました。

いよいよ開催、花火は定刻にスタート!

オープニングはMrs. GREEN APPLEの「Magic」で元気に始まりました。

昼間には晴れ間も出たものの、夜が近づくにつれやや厚い雲に覆われていたのと、風が弱かったため、一気に花火を打ち上げると、煙が滞留するちょっと厳しいコンディション。ですがライティングやレーザー光線などを多用した、変化に富んだ演出で魅了します!

第2部では思わぬゲストが。元千葉ロッテマリーンズのスタジアムアナウンサー・谷保恵美さんが登場しました!

プロ野球をあまりご覧にならない方には馴染みがないかもしれませんが、谷保さんは、ウィットに富んだアナウンスで人気を博しておられた千葉マリンスタジアムのアナウンサー(いわゆるウグイス嬢)で、惜しまれつつも昨年引退されました。それほど野球に詳しくない私でも存じていましたが、帯広市出身の方だったんですね。

人気の柔らかい声で、スタジアムアナウンス調でプログラムを読み上げてくださいました。

引き続き煙が溜りがちな状況ながらも、プログラムは順調に進行。写真で見るとかなり煙に飲まれていますが、肉眼だともう少ししっかり見えているのですけどね。

それでも、型物花火がたくさん上がったり、光がキラキラと点滅して長く残る花火や、光がイルミネーションのように移動する時差式花火など、多彩な花火を取り入れたプログラムを楽しめました。

小さめの花火ですが、ブルーの色合いと中心の金色の輝きがとて印象に残りました
小さめの花火ですが、ブルーの色合いと中心の金色の輝きがとて印象に残りました

大きめのプログラムが上がるとどうしても煙が溜りますが、プログラム間のMCが比較的長めに取られていたので(煙待ちの意味でわざと長めにしていたのかもしれません)、各プログラムの開始直前には少し回復していました。

和火(昔からある、炭火色の花火)のみでしっとりと魅せるプログラムも
和火(昔からある、炭火色の花火)のみでしっとりと魅せるプログラムも

人気の「花火ファンタジア」は「唱」と「We are」で

第5部の人気のプログラム「花火ファンタジア in 十勝」は、Adoの「唱」でスタート。花火大会ではたびたび使用される人気曲で、力強いボーカルと緩急のついたメロディが花火と相性が良く、盛り上がります。

地上から吹きあがるトラの尾で畳みかけ、サビで炸裂する花火! そして抑えた曲調のパートではレーザーやライティングが曲とシンクロして繊細に変化する、「花火ファンタジア」を演出する日本橋丸玉屋の真骨頂。

花火がたくさん上がるとやはり煙が滞留してしまうのですが、そこはかなりレーザー演出が効果を発揮していました。

そして、音響もかなり良かったように思います。花火大会では結構スピーカーのよって音がずれたり、反響音が聞こえたりすることがあるのですが、今回はそういった音のストレスを全く感じませんでした。たまたま、自分の席の位置が良かった可能性もありますが、音楽が体に響いてくるような感覚を味わいました。

2曲目はONE OK ROCKの「We are」。この曲も花火大会ではよく使われる曲で、ある意味鉄板。

眩しいライティングと目まぐるしく変化するレーザー、そして高揚する音楽に同調して駆け上がるような花火に、会場のボルテージは最高潮!

プログラムは終盤へ

第6部は全国の有名煙火店の7号芸術玉を打ち上げるコーナーで、野村花火工業の「幻想イルミネーション」、丸玉屋小勝煙火店の「市松文様花」、伊那火工堀内煙火店の「幻想花」など、各社を代表するような作品が上がっていたのに、ほとんどが雲や煙に飲まれてしまい…残念。

コンディションがよくないときの花火大会に対しては、「こんな状態でやらなくても」とか「延期すればいいのに」という声が出てくることがあるのですが、延期の判断というのは難しいです。延期日に天気が良くなるという保証があるわけでもなく、たとえ快晴の日でも強風で打上げができなくなることもあります。また、湿気が多く無風で煙が溜まる状況でも、一転して神風か?というような風が吹き始めて改善することもあり。要は、天候のピンポイントな予測を、数日前に正確に行うのは難しいのです。

実際、今回もフィナーレ前には少し煙が流れて見やすくなっていました。

第7部・グランドフィナーレはLa La Landの「アナザー・デイ・オブ・サン」でスタート。軽妙でお洒落な音楽に、小刻みに空間を染めるライティングやレーザーがマッチします。

少し風が早くなり煙が流れやすくなっていたため、花火タワー(地上高い位置から風車のように花火を噴出する日本橋丸玉屋独自の花火演出)もここで真価を発揮。

音楽は再びのONE OK ROCK「Gravity」、そして最後はMISIAの「愛をありがとう」へ。フィナーレにふさわしい壮大な曲調とあたたかくて優しい歌詞が響く中、この日一番のワイド幅で打ち上げ! 十勝大橋よりも西側でも花火が開き、会場からも驚きの声が上がりました。カメラの画角からは完全にアウト。

真っ白に会場を照らす花火は圧巻でした。

そして勝毎花火大会名物といわれる、錦冠(金一色の花火で長く尾を引いて開く)が上空をいっぱいに開きます!

コンディションが厳しい中でしたが、眼前に広がる花火は迫力とスピード感があり、楽しかったです。階段状の席は全体が見やすかったし、平坦な河原の席は花火が近いので迫力があったのではないかと思います。観覧会場に一般に無料開放されているエリアはなく、チケットを持たない人が周辺で観覧することは控えるように呼びかけられており、その分、youtube でのライブ配信やCSでの放送などが行われていました。

伝統的な花火大会としては珍しいショー要素の高い花火大会でありながら、モニターで地元スポンサー企業のCMが流れたり音楽が流れたりと、ご当地色もあり。

新しさと、昔ながらのお夏り的な懐かしさの混在する楽しい花火大会でした。

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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