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高校生の87.9%はスマホによるチャットなどでコミュニケーションをしている

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ いつでもどこでもスマートフォンでやりとり。子供達の利用実情は。(写真:アフロ)

不特定多数と容易にやり取りができるインフラとなるインターネットと、そのインターネットにいつでもどこからでもアクセス可能な携帯電話、中でも機能が充実したスマートフォンの浸透により、未成年者の間でもインターネットを用いたコミュニケーションは急速に普及しつつある。その利用状況について、今回は内閣府が2021年3月に報告書を発表した、「令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の公開値から、現状を確認する。

次に示すのは小中高校生が主に使っている、インターネットへのアクセス機器となるデスクトップパソコン、ノートパソコン、従来型携帯電話、スマートフォンそれぞれでインターネットを利用している人における、コミュニケーションツール(電子メールやメッセンジャー、チャット、ソーシャルメディアなどを合わせた意思疎通サービスすべて)を利用している人の割合。例えば全体でデスクトップパソコンの値は14.5%とあるので、小中高校生あわせデスクトップパソコンでインターネットを使っている人のうち14.5%は、その端末でメールやソーシャルメディアなどを使っていると回答したことになる。頻度は問われておらず、回答者の認識で「使っている」と判断したものであることに注意。

なお従来型携帯電話を用いてインターネットを利用している人はごく少数で、統計の上でぶれが生じやすくなっているので注意が必要。例えば高校生ならば男子が7人、女子は6人でしかない。

↑ コミュニケーションツールの利用状況(該当端末でインターネット利用者限定、機種別)(2020年)
↑ コミュニケーションツールの利用状況(該当端末でインターネット利用者限定、機種別)(2020年)

該当端末でインターネットを利用している人におけるツール利用率であることから、端末そのものの利用率は影響を与えないものの、パソコンではおおよそ高学年の方が高い値を示している。パソコンは保護者の監視の下で使われているか、保護者と共有のものを利用しており、コミュニケーション系のツールは使いにくい実態が表れている。年上になると自前で調達している場合や、子供のプライバシーに配慮する保護者の事例が出てくると考えると道理は通る。

携帯電話では従来型携帯電話は男子は5割内外と低めなのに対し、女子は高学年ほど高い値が出ている。女子高校生の100%は統計上のぶれの可能性もあるが、回答者全員が利用していると回答。これは元々従来型携帯電話がスマートフォンと比べて機能が限られており、コミュニケーションツール利用の専用機的な使われ方をされているのに加え、防犯用として保護者との連絡ツールとして用いられ、電子メールなどを使っているからだと考えられる。女子の値が特に高いのは、その防犯用の使われ方をしているであろうことを想起させるものではある。

他方スマートフォンは小学生では保護者からコミュニケーションツールの利用を差し止められている場合もあってか、利用率は低めで、従来型携帯電話よりも低い。しかし中学生となると8割強に跳ね上がり、高校生では9割強となる。具体的にどのようなツールが使われているか確認したいところだが、電子メール、ソーシャルメディア、チャット系サービスのような区分は無く、確認は不可能。

これについて各端末そのものの利用率を考慮し、各属性全体に占める比率を算出したのが次のグラフ。例えば小学生全体のスマートフォンは16.9%とあるので、小学生全体において16.9%はスマートフォンでコミュニケーションツールを利用していることになる。

↑ コミュニケーションツールの利用状況(各属性全体比、機種別)(2020年)
↑ コミュニケーションツールの利用状況(各属性全体比、機種別)(2020年)

元々パソコンはインターネット利用者内でも利用率が低かったが、加えて端末そのものの利用率が低いので、全体に占める利用状況はさらに低いものとなる。高校生でもノートパソコンでコミュニケーションをしている人は1割に満たない。

一方携帯電話となると、従来型携帯電話は学校種類を問わず1%内外にとどまってしまう。端末そのものの利用が少ないのが大きな要因。他方スマートフォンは中学生ですでに5割台、高校生になると9割近くに達する。スマートフォン利用者限定ではなく、高校生全体で87.9%、女子高生に限れば89.4%が、スマートフォンでコミュニケーションをしている現状は、ほんの2、3年前まではとても考えられなかった図式に違いない。無論、従来型携帯電話による電子メールからのシフトとの形になるのだが。

またインターネットにおける各種サービスの中でも、コミュニケーションツールは利用頻度が高い。そのツールにおいて利用端末のほとんどがスマートフォンであり、パソコンがほぼ使われていない実情は、「若年層のパソコン、キーボード離れ」を印象付けさせる一つの結果ともいえよう。

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※令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査

2020年11月5日から12月13日にかけて2020年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(困難な場合は訪問配布訪問回収法も併用。保護者は訪問配布訪問回収法が原則)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法を併用している。有効回答数は青少年が3605人(うちウェブ経由は388人)、保護者は3633人(うちウェブ経由は421人、郵送回収法は180人)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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