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今夜の「紅白」注目は23時台と21時台前半!~音楽ファン向け「紅白」直前見どころ予想

スージー鈴木音楽評論家、ラジオDJ、小説家
第73回NHK紅白歌合戦公式ウェブサイト

 いよいよ大みそかです。年末年始のピークが紅白歌合戦だという紅白ファン、元日になると「紅白まであと364日か……」と落胆する紅白ファンにとって、最高の夜がやってます。

 というわけで、今回は、紅白ファン、音楽ファンのみなさんのために、音楽評論家(56歳)の選ぶ、今夜の見どころをご紹介したいと思います。

 まず昨年の紅白を振り返っておきましょう(参考)。昨年のMVPは、もう圧倒的に藤井風でした。岡山の自宅での収録映像から入って、突如生放送に切り替わり、ピアノ1本による圧倒的な生演奏・生歌――。

 そう「生放送・生演奏・生歌」の「3生紅白」。収録映像、カラオケ、口パクが増えてきた平成紅白の揺り戻しとして、令和紅白は、昭和には当たり前だった「3生紅白」に回帰するのではないか。回帰するべきなのではないか。その起点となるのが、昨年の藤井風だったと考えるのです。

 スポーツ報知の記事(12月29日)によれば「今年はコンパクト紅白」で「基本的にはライブ感にこだわった演出を届けていきます」と関係者が語ったといいます。それを信じるとして――。

■見どころ(1):桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎『時代遅れのRock'n'Roll Band』

 まずは、この記事で書いた特別企画出演予測が当たったことを喜びつつ、それでもいきなり話の腰を自分で折れば、この曲に関しては「事前収録」だと、かなりしつこく告知されています。

 ただし今夜、桑田佳祐が開演22時の年越しコンサートを、横浜アリーナにて開催するにもかかわらず、トリの2つ前という「深い」時間帯(23時台)の出番なので、この段階で、横浜アリーナからの生中継が入ることは確定。

 ということは、横浜アリーナの大舞台で、メンバーが集結するという可能性もあり得るだろうと考えます(予測というより希望ですが)。

 具体的には、昨年の藤井風や2018年の松任谷由実のように、収録映像(18年ユーミンの場合『ひこうき雲』)から入って、途中から画面がステージへと転換、メンバーによる「生放送・生演奏・生歌」(同『やさしさに包まれたなら』)なんて展開だったら最高だなぁと思うのです。

 こういうことを期待するのは、実は(あまり語られていませんが)、今年の紅白のテーマが「LOVE & PEACE」というけれん味のないもので、ということは、歌詞の内容からして、『時代遅れのRock'n'Roll Band』は、今回のテーマをど真ん中で体現するものになるからです。

 「原由子、大友康平、ハマ・オカモトも出演する」という報道も、この予測、いえ希望に沿っているような気がします。とりわけ桑田佳祐と佐野元春という85年の『オール・トゥゲザー・ナウ』を彷彿(ほうふつ)させる共演、見てみたい。

 ちなみにこの2人、今日段階での年齢は66歳。まさに6&6(ロックンロール)。

■見どころ(2):ウタ(Ado)『新時代』

 「時代遅れ」の次は「新時代」です。ここにも書いたように、Adoは今年の音楽シーンにおけるMVPだと思います。

 「顔出し」をしないという前提から、年末の音楽番組におけるAdoの出演の仕方には、様々な工夫が見られます。

 昨日(12/30)の『輝く!日本レコード大賞』では電話出演して、かつ「録り直し」「歌い直し」した新作音源を新作映像付きで流しました。また12/23のテレビ朝日『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2022』では、映画のキャラクター=ウタを、ダンスグループ=ELEVENPLAYと一緒に踊らせたのですが。

 それでもAdoの声を聴きたい、事前録音ではなく生放送・生歌の「FIRST TAKE」で聴きたいと思います。そして、それを実現させるのが、「レコ大」「Mステ」とは違う、紅白のやるべきことではないか、とも。

 と言いたくなるのは他でもない、Adoの歌声が最高だから。私世代的に解釈すれば、安室奈美恵、吉田美和、岩崎宏美の才能を併せ持っていると言えるほどの――出番は21時、「後半」の冒頭です。ニュースの直後に注目です。

■見どころ(3):King Gnu『Stardom』

「12月のKing Gnuは外さない」のです。19年紅白における『白日』の生演奏(井口理がラジオで生演奏だったと明言)は忘れられない水準でしたし、昨日の「レコ大」でも、正直、番組全体をかっさらっていた感じがしました。

 日本音楽シーン最高水準の生演奏を聴かせてほしい。実は、演奏が生か録音かは、なかなか判別しづらいものなのですが、逆に「いかにも生!」という感じのフリーキーな演奏で、音楽ファンをあっといわせてほしい。

 出番はちょうどウタ(Ado)の直後。21時台前半が楽しみでしょうがありません。そして、その流れで三山ひろし『夢追い人~第6回けん玉世界記録への道~』へ!

■見どころ(4):?

 さすがにタイムテーブルに名前のない人なので、歌手名は書きません。でも、今日をもって音楽活動を引退する、あのレジェンドが登場するサプライズを期待しても、音楽の神様には怒られないでしょう。

 注目するのは、23時台の前半か、松任谷由実 with 荒井由実『Call me back』→KinKi Kids『25th Anniversary Medley』。この流れ、ちょっと「におう」のです。

 両者のバックバンドは分かりませんが、松任谷正隆にデビューのきっかけを与え、ユーミンの音楽監督を務める武部聡志との親交が深く、またKinKi Kidsとも長らく番組共演した「あの人」が見たい。

 『25th Anniversary Medley』の中に『全部だきしめて』が入っていたなら、ギターを持ったレジェンドが出てくる、かもです。以上、予測に加えて、希望、願望込めて、今夜の紅白は21時台前半と23時台に注目です。

  • 『時代遅れのRock'n'Roll Band』/作詞・作曲:桑田佳祐
  • (『ひこうき雲』『やさしさに包まれたなら』/作詞・作曲:荒井由実)
  • 『新時代』/作詞・作曲:中田ヤスタカ
  • 『Stardom』/作詞・作曲:Daiki Tsuneta
  • 『Call me back』/作詞:松任谷由実、作曲:呉田軽穂
  • 『全部だきしめて』/作詞:康珍化、作曲:吉田拓郎

音楽評論家、ラジオDJ、小説家

音楽評論家。ラジオDJ、小説家。1966年大阪府東大阪市生まれ。BS12『ザ・カセットテープ・ミュージック』、bayfm『9の音粋』月曜日に出演中。主な著書に『幸福な退職』『桑田佳祐論』(新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』(ともに彩流社)、『恋するラジオ』(ブックマン社)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。東洋経済オンライン、東京スポーツなどで連載中。2023年12月12日に新刊『中森明菜の音楽1982-1991』(辰巳出版)発売。

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