魚は減り、肉は増える、そして野菜は!? 食べる量の変化を探る
昨今の日本人の食生活においては、昔と比べると欧米化の傾向にあり、肉食が増えて魚を食べる量が減ったといわれている。その実態を厚生労働省が定期的に調査・発表している「国民健康・栄養調査」から確認していく。
今調査データを基に、魚介類・肉類(それぞれ加工品を含む)、そして良い機会でもあるので野菜類の一日あたりの平均摂取量を示したのが次のグラフ。最新の調査公開値となる2013年分、そしてそれからきっかり10年前の2003年分についてデータを併記する。
直近2013年分の平均値だが、世間一般の話の通り、魚介類は72.3グラム・肉類は89.6グラムと、肉類の方が魚介類よりも多い。また世代別では魚介類が60代までは歳と共に摂取量が増える一方、肉類は15歳から19歳の摂取量が最大で、あとは歳を重ねるに連れて減少していく。60代になると魚肉・肉類の関係が逆転し、魚介類の方が多く摂取している計算になる。両食品の特性、普段イメージされている好き嫌いがそのまま数字となって表れており、非常に興味深い。やはり歳をとると肉類は敬遠される傾向にあるようだ。または個々の世代の食生活の日常が、ある程度踏襲されている可能性も否定できない。つまり今後、シニア層も少しずつ肉類の摂取量が増え、魚介類が減るのかもしれない。どちらの推定が正しいかは、今後の調査結果が明らかにしてくれるはず。
野菜類は1~6歳時点でこそ少なめなものの、それ以降は40代ぐらいまではほぼ同量、50代以降はむしろ増加していく。健康志向の高まりを受けてのものだろう。
10年前の2003年当時の値と2013年との値を比較をすると、「魚介類の摂取量が大きく減る」「肉類の摂取量が増える」「野菜類は中堅層以降でやや減少」などの動きが確認できる。「食文化の欧米化」との表現はあまりにも陳腐だが、肉食に傾きつつあることは間違いあるまい。
10年間の変化を算出した結果が次のグラフ。
どの世代でも肉類は増え、魚介類は減っている。他方変化率では若年層から中堅層の魚介類の摂取量減少率が大きく、肉類では高齢層の増加率が大きい結果が出ている。10年間における重量の増加分に大きな違いは無いため、元々摂取量が少なかった高齢者ほど、比率面では大きな値が出る次第。また「個々の年齢による体質的変化に伴う魚介・肉類の好き嫌いに加え、それぞれの世代特有の食生活のスタイルが、そのまま一部は踏襲する形で影響を与える」への確からしさも、ある程度裏付けできる。
野菜類はどの世代でも変化が無いように見えるが、変化率を見ると中堅層から高齢層にかけて、幾分大きめな減少が見受けられる。
今件はグラフ・詳しい解説を省略しているが、「国民健康・栄養調査」では他にも果実類・卵類についてもデータを公開している。それによれば両者とも10年前と比べ、重量・率に違いはあれど、多くの世代で摂取量が減っている。健康的な食のバランスを保つためには、偏りなく、多彩な種類の食材を口にしたいものだ。
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