金正日・正恩親子の「暗殺計画」説と「幹部粛清」の新情報
やはりと言うべきか、2004年に北朝鮮で発生した龍川(リョンチョン)駅爆発事故の後に、大規模な粛清が行われていたことが明らかになった。
同事故は、中国を訪問した故金正日総書記が特別列車で帰る帰路上で、謎の大爆発が起きたものだ。この出来事はいまもって、「暗殺計画」の可能性をはらむミステリーとして語られている。
(参考記事:なぜ最高指導者の近くに大量の爆発物が…北朝鮮「暗殺未遂説」のミステリー)
正恩氏の視察直前にも
昨年7月に韓国へ亡命したテ・ヨンホ元駐英北朝鮮公使は12日、韓国紙・ソウル新聞とのインタビューで、次のように明かした。
「事故の後、金正日は鉄道省の総参謀長ら数人を逮捕させ、銃殺した。彼は『鉄道省の連中が仕組んで私を殺そうとした』としながら、処刑した幹部らの家族たちもすべて捕らえ、連れ去った」
捕らえられた家族らはまず間違いなく、政治犯収容所に送られたのだろう。
国民に対する監視・統制の厳しい北朝鮮では、体制への不満を口にすることすら簡単ではない。それがどんなに正当な主張であっても、独裁者の権威に挑戦すれば死を免れることはできない。
(参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」)
それでも過去には、反体制の動きが出たことがあった。1993年、ソ連のフルンゼ軍事大学留学組の同窓会が「血の粛清」に遭った事件や、1995年の6軍団クーデター未遂がそうだ。
(参考記事:同窓会を襲った「血の粛清」…北朝鮮の「フルンゼ軍事大学留学組」事件)
また、真相はわからないまでも、龍川での事故のようなことが発生しており、それは金正恩党委員長の周辺でも起きている。
2015年10月初め、北朝鮮の葛麻(カルマ)飛行場で、金正恩氏の視察前日に大量の爆薬が見つかったと米政府系のラジオ・フリー・アジアが報じている。建物の天井裏から発見されたのは、TNT火薬20キロ。手榴弾なら130個分以上になり、「暗殺計画」の存在を疑いたくなる量だ。
北朝鮮において、最高指導者が水も漏らさぬ警護体制に守られているのは周知の通りだ。テ氏も、北朝鮮では何らかの組織的な意図が働かない限り、大規模な爆発事故など起こり得ないと語っている。
そんなことが一度ならず二度までも起きるとは、金正恩体制に近い将来、何らかの異変があり得ることを示唆しているようでならない。