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コロナ禍で浸透するウェブ会議などインターネットを用いた映像交流の実情

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
コロナ禍で多くの企業に求められるようになったウェブ会議だが(写真:アフロ)

コロナ禍では感染リスクを少しでも抑えるため、他人との接触機会を減らすように、在宅勤務や自宅就学が求められることとなった。その結果、仕事場や学校と距離が離れていても意思疎通ができるようにと、ビデオ通話やウェブ会議、オンラインを用いた授業の必要性が高まり、急速に普及する形となった。その実情を文部科学省が2021年9月に発表した国語に関する世論調査(※)の結果から確認する。

コロナ禍で必要性が増したビデオ通話やウェブ会議、オンラインを用いた授業のようなインターネットを用いた映像交流だが、今調査の限りでは46.2%が経験ありと答えている。

↑ パソコンやスマートフォンなどを使ってビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業に参加したことがあるか(2021年)
↑ パソコンやスマートフォンなどを使ってビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業に参加したことがあるか(2021年)

後述の付随設問を見る限りでは、音声のみのやり取りではなく、映像(実写がメインだがアバターを用いたものも想定される)込みでの交流と考えられるが、その経験者は5割近く。現在もなお続けている人もいるだろうし、あるいはコロナ禍の初期に一時的に利用され現在は実対面での業務・授業に戻っている人もいるだろう。いずれにせよ、半数近くはインターネットを用いた映像交流を体験している。

年齢階層別に見ると、当然ながら若年層の方が高い値を示している。

↑ パソコンやスマートフォンなどを使ってビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業に参加したことがあるか(年齢階層別)(2021年)
↑ パソコンやスマートフォンなどを使ってビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業に参加したことがあるか(年齢階層別)(2021年)

16~19歳では学校でオンライン授業が導入された事例が多々あったのが高い値を示した原因だろう。20代以降で若年層ほど高い値が出るのは、パソコンやスマートフォンの活用率・新しいデジタル技術への適応性に加え、ビデオ通話やウェブ会議の必要性も影響しているものと思われる。60代以降、70歳以上で特に大きな下がり方が生じているのは、仕事での必要性が無いからだろう。

それではビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業を利用する際に、気を付けていることは何だろうか。実際に利用・参加した経験がある人に複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。

↑ ビデオ通話やウェブ会議などで気を付けていること(複数回答、パソコンやスマートフォンなどを使ってビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業に参加したことがある人限定)(2021年)
↑ ビデオ通話やウェブ会議などで気を付けていること(複数回答、パソコンやスマートフォンなどを使ってビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業に参加したことがある人限定)(2021年)

もっとも多くの人が気を付けている事柄は「自分が話すタイミングに気を付ける」で58.4%。多人数が同時に利用している場面でのやり取りとなると、他人が話している時には口を挟まない・さえぎらないのが最低限のマナーだが、ウェブ会議などではそれすら怠ってしまいがち。当事者は画面で見えていても実体は目の前にいないからなのだろうが、リアルタイムでやり取りしていることに変わりはない。注意をしたいものではある。

次いで「はっきりとした発音で話すように」。マスク着用時の会話における注意事項でも同じ問題が生じているが、マイクの性能や通信回線の安定性・速度、そして利用しているアプリの性能などにより、自分の声がそのままの形で相手に伝わるとは限らない。こもった音になってしまうかもしれないし、ボリュームが小さく聞きづらいものとなっている可能性もある。対面でのやり取り以上に、はっきりとした発音での発声が求められる。

続いて「映り具合や音量の設定に気を付ける」。実のところ、自分の声の大きさが相手にとって適切なものか、カメラに映した自分の姿が相手にちゃんと見えているのかは、分かりにくいのが実情。カメラの調整が思った通りにいかず、顔がまったく映っていなかったり、他人に見せたくない場所まで映り込んでいたりするかもしれない。また回線業者のコマーシャルで上司の回線が遅いからいつも止まって見えてしまう的な描写があったが、そのような事態も生じうる。続く「声の大きさに気を付ける」も似たようなものだろう。

新型コロナウイルスの感染を防ぐための対処法によって、コミュニケーションの上でフィルターが必要となり、注意しなければならないことが増えてしまうのは、今回のビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業での話も、普段の対面会話で求められているマスクの着用も本質的には同じこと。新しい時代の社会様式に、上手く対応していきたいものではある。

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※国語に関する世論調査

2021年3月4日から29日にかけて全国16歳以上の個人を対象に郵送法によって行われたもので、有効回答数は3794人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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