好きなことを我慢しないでお金を貯める方法
■インフレは「明るい兆し」でもある
今、日本で数十年ぶりに「インフレ」が起こっています。
以前と同じように生活をしているのに、早くお金が減っていく。そう感じている人も多いのではないでしょうか。
日本は20年以上にわたって物価が上がらない「デフレ」という経済状況にありました。デフレ経済では、物価が上がらない代わりにお給料も上がりません。経済が発展せず、他の先進国との格差も生まれました。
今、そのデフレからようやく脱して、物価が上がる→企業が儲かる→お給料が上がる、というインフレ経済に移行する兆しが見えてきました。物価高というと少し嫌なイメージがありますが、お金の循環が良くなる「明るい兆し」でもあるのです。
ただ、物価が上がるということは、お金の価値が下がる、ということでもあります。仮に、物価が毎年3%ずつ上昇していくと、現在の1000円は10年後には実質約744円の価値になってしまいます。
もちろん、今後金利が上がる可能性もあります。銀行の預貯金に預けておいても、ある程度の利息が得られるでしょう。しかし、預貯金の金利よりも物価高のスピードの方が高ければ、購買力は落ちてしまいます(実際2024年現在はそのような状況ですね)。
そこで検討したいのが、貯金だけでなく、利回りの良い運用をすることです。具体的には株式などへの投資が挙げられます。
■使う時期によって3つに分けて運用する
ただし、焦って投資を始める必要は全くありません。投資を始める前に、なぜ自分が資産を確保する必要があるのか、ざっくりで構いませんので書き出してみましょう。
マイホームを購入したい、子どもの教育費を貯めたい、退職後の費用を貯めたい、資産を増やして早期退職したい…人それぞれさまざまな理由があると思います。
お金の使い道を書き出したら、以下の区分に大きく振り分けてみましょう。
・「今から2年以内くらいに使う短期資金」
・「10年以内くらいに使う中期資金」
・「10 年以上先に使う長期資金」
■短期資金と中期資金は安全商品中心で
短期資金は、日々の生活費に加えて、冠婚葬祭費、入院費などの突然の出費にも備えるものです。いつでも引き出せて、元本保証のある銀行の普通預金などが良いでしょう。
中期資金は3年から10年くらいの間に使う予定の費用です。たとえば、結婚資金、マイホーム購入の頭金などでしょうか。すぐに必要な資金ではないため、ある程度利回りの高い商品で運用したいところです。
ただ、3年後に必ず使うお金であれば、元本割れになる可能性がある運用はできません。ちょうど相場の悪い時期にあたると損失を確定することになってしまいます。こうした場合は、1年以上保有すれば元本割れのない個人向け国債や、比較的利率の高いネット銀行などの定期預金を検討してください。
運用期間が5年以上先であるならば、株式や債券に投資するバランス型の投資信託での運用などを考えても良いでしょう。
■長期資金は新NISAとiDeCoで
長期資金は、10年以上先に使う予定のお金です。今20代であれば、30〜40歳以降に使う予定のお金ですね。子どもの教育費、将来独立するかもしれないときの資金、退職後の費用などが挙げられるでしょう。
長い時間をかけて投資ができるため、リスクを取って株式での運用を検討しても良いでしょう。これまでの世界の株価の推移を見ると、リーマンショックやコロナ禍の時のように一時的に下落する場面はあっても、基本的には株価は上昇を続けてきました。今後も上昇することが予想されます。
投資先を分散させ、余裕資金で毎月一定額ずつ購入し、できるだけ長く運用する。これがもっとも無難な投資の方法です。1つの商品で運用したい場合は、世界全体の株式に投資できる投資信託がお薦めです。
運用する際は、運用益が非課税となるNISAや、税制優遇のあるiDeCo(積み立てたお金は60歳まで引き出せないことに注意してください)から始めましょう。
拙著「好きなことを我慢しないで100万円貯める方法」では、日々の具体的なお金の貯め方や、投資の方法、活用したい公的な制度などをご紹介しています。ぜひご参照ください。