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米国の人に聞いた「日常生活での現金の必要性」

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 日常生活でカード払いが常用化する昨今。現金の必要性を米国で尋ねると

クレジットカードやプリペイドカード、おサイフケータイ、各種会員制のポイントカード。さまざまな疑似通貨や別払い方式の仕組みで、日常生活での現金の必要性は確実に減少しつつある。それでは日々の生活の中で現金の必要性はどのような認識を受けているのだろうか。今回はアメリカ合衆国における「日々の生活の中での現金の必要性」に関して、同国の民間調査会社PewResearchCenterが2016年12月に発表した調査報告書「Online Shopping and E-Commerce」※を元に確認していくことにする。

次に示すのは通常の生活の中における一週間の中で、現金による支払いの頻度はどの程度かを示したもの。インフラの利用料金や食事代、インターネット経由による通販の支払いなどまで含めた、支払いの一切合切が含まれる。

↑ 普通の一週間の生活の中で現金支払いの頻度はどの程度か(インフラや食事への支払いも含む)(2015年冬、アメリカ合衆国)
↑ 普通の一週間の生活の中で現金支払いの頻度はどの程度か(インフラや食事への支払いも含む)(2015年冬、アメリカ合衆国)

現金支払いがほとんどすべての人は1/4足らず。半数は現金だけでなくカードをはじめとした各種非リアルマネーを用いている。さらに24%は「(ほとんど)無い」と回答している。この「無い」が何を意味するのかは多様な解釈ができるが、買い物そのものをしないで生活を続けることは不可能に近いので、言葉通りキャッシュレスな生活をしていると考えた方が無難だろう。

詳細な統計データは公開されてないが、一部属性に関わる値が報告書の本文では記されている。それによると世帯年収3万ドル未満の世帯では「無い」が15%でしかないのに対し、7.5万ドル以上では34%に達している。逆に「ほとんど現金支払い」は3万ドル未満世帯では38%だが、7.5万ドル以上では10%に満たない。年齢階層ではそれほど大きな差異は出ておらず、18~49歳では「無い」が28%なのに対し、50歳以上では20%とのことである。

それでは現金の支払い、持ち歩きにはどのような印象を持っているだろうか。二択で選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 普段の現金持ち歩きについて(2015年冬、アメリカ合衆国)
↑ 普段の現金持ち歩きについて(2015年冬、アメリカ合衆国)

実際に持ち歩いているか否かは別として、持ち歩かなくても特にかまわないのではと考えている人は4割近くに登っている。犯罪リスクの問題や、小銭がたまるウザったさ、支払い時の便宜性などを考えれば、むしろ4割近くの値ですら少ないかもしれない。

報告書には一部の属性別の結果も記されている。それによると18~49歳では「現金持ち歩きは必要ない」との考えが45%居るのに対し、50歳以上では31%に留まっている。現金に対する信奉的な想いの他に、現金を使わずに済む買い物のルートを使っている度合いも、年齢階層別の想いの違いとして表れているようだ。

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※Online Shopping and E-Commerce

2015年11月24日から12月21日かけてウェブかメール電子メールで調査用母体に対して行われたもので、有効回答数は4787人。ただし調査用母体はRDD方式で固定電話及び携帯電話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者を対象に選出され、インターネット環境を持たない人には利用が可能になるツールを提供されており、その上での調査となるため、調査の回答母体は実質的にインターネット利用者限定では無く、すべての大人対象となる。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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