高校2年生の6.8%は「よく寝坊して学校に遅刻する」…子供の夜更かし・寝坊事情をさぐる
5割強の高校生は「よく夜更かしをする」
寝起きのよし悪しは人それぞれ。夜更かしをしてしまって寝坊し、遅刻した経験を持つ人もいるはず。子供達の夜更かしや寝坊の実情を国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書の内容から確認する。
次に示すのは直近調査となる2016年度における夜更かし状況。「夜更かし」そのものは特に定義せず、その言葉自身から回答者が頭に思い浮かべた、知っている意味合いで答えてもらっている。
小学6年生でも6割強が時々以上の高い頻度で夜更かしして夜遅くまで起きていると実感している。まったく無い人は11.5%しかいない。中学になると約8割、高校生となると9割近くに達する。高校生では実に50.4%もの人が、よく夜更かしして遅くまで起きていると答えている。
夜遅くまで起きていれば、当然朝目覚めるのがつらくなる。いつも通りの起床時間では睡眠時間が削れてしまうからだ。目覚まし時計をセットしたり、保護者に起こしてもらっても、つい寝坊し、さらには起床時間の遅れから学校に遅刻してしまうこともありうる。いくら眠くても学校側では始業時間をずらしてくれはしない。
そこで寝坊して、さらには学校に遅刻するような状況に陥るような状況があるか否かを聞いたところ、小学4年生でも2.8%が「よくある」と回答した。
小学生はほぼ一定率でさほど違いは無いが、それでも1割前後は寝坊を原因とする遅刻があると回答している。世間一般的には学年が上になるほど寝坊による遅刻は減るようにも思えるが、少なくとも今調査対象母集団では逆で、小学生よりも中学生、中学生よりも高校生の方が、寝坊による遅刻率は高い。高校生では2割強がよくある、あるいは時々あると回答している。「よくある」に限っても高校生は6.8%と高い値を示しているのが分かる。
夜更かしは減る傾向にあるらしい
それでは経年変化では子供の夜更かし、寝坊の遅刻率はどのような変化を示しているのか。まずは夜更かしだが、回答率の限りでは減少の傾向にある。
「よくある」と「時々ある」を合わせた夜更かしある派は2006年度では73.3%だったのに対し、2016年度では68.3%にまで低下している。「よくある」に限れば6.7%ポイントの低下。一方寝坊して遅刻の方はグラフ化は略するが経年変化はほとんど無い。要は夜更かしをしているか否かの自己判断の限りでは、子供の睡眠環境は年々健全化していることになる。しかし、寝坊による遅刻の動向に変わりは無いことから、それには疑問符がつく。
また就寝時間に関する調査項目は2012年度以降のもののみ、しかも当方で概算した結果しか無いが、その限りでは就寝時間に変化は無い、むしろ小学生では就寝時間は早まっているように見える。中高生ではやや遅くなっているようにも見えるが、この動きでは調査3回分限りだと判断は難しい。
つまり子供達の間で「夜更かし」の概念そのものが遅くなっている可能性がある。最初に「『夜更かし』そのものは特に定義せず、その言葉自身から回答者が頭に思い浮かべた、知っている意味合い」とわざわざ表記したのは、その点があるからに他ならない。
例えば2006年度も2016年度も同じ午後10時に寝た同じ年齢の子供において、2006年度は午後9時半、2016年度は午後10時半が「普通の就寝時間」との意識があれば、前者は夜更かし、後者は早寝となってしまう。スマートフォンの浸透、そしてそれを夜遅くまで起きて利用している子供の実情を考えると、「夜更かし」の概念がずれこんでいると見た方が正しい可能性は否定できない。
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※青少年の体験活動等に関する実態調査
直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。
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