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【武蔵小杉の素敵な人】川崎市議選に最年少候補として初出馬 見事に幸区トップ当選した那須野純花さん

Ash俳優・吟遊詩人(川崎市)

こんにちは!

武蔵小杉・新丸子を中心に川崎市内のトレンド&カルチャー情報をほぼ毎日更新しています、俳優のAshです。人情のまち・川崎の楽しいイベントやおいしいお店の情報が気になる方は、ぜひフォロー&チェックして下さいね。

さて、統一地方選挙の開票も終わり、新しい県知事、県会議員、市議会議員の顔ぶれが決まりました。みなさまのお住まいの地区では、どのような結果だったでしょうか。

今回は前回に比べると、投票率が上がったということも報道されており、市民のみなさんにとって、身近な問題を話し合ってくれる代表を選ぶ選挙への関心が高まっていたのかな、とうれしく思いました。

川崎市議会は、15人の新人候補が選ばれたということで、ぜひ、フレッシュな議員の皆さんが、精力的に地域課題に取り組むことができるアクティブな議会であることを期待しています。

幸区でトップ当選した那須野純花さん

さて、その新人議員の中に、以前私が東急スクエアさんの「コスギーズ!」という媒体でご紹介した25歳の那須野純花(なすの・あやか)さんがいます。以前から、地域の問題に積極的に取り組み、いつかは政治の世界へ、という思いも個人的にはうかがっていました。

持ち前の明るさで選挙を行い、最年少の初出馬にもかかわらず見事に地元の幸区でトップ当選を果たしたということなので、彼女のパーソナリティがわかる記事をぜひみなさまにも読んでいただければと思います。

コスギーズ!も武蔵小杉を中心に川崎で活躍する素敵な人たちの生き方にフォーカスした、面白い媒体なので、ぜひ、そちらもチェックしていただけると嬉しいです。

那須野純花さん(撮影:岩田耕平、トップ画像も)
那須野純花さん(撮影:岩田耕平、トップ画像も)

原動力は弱さと緩いつながり

ゴミ拾いで見つけたコミュニケーションの鍵

那須野さんは、幸区で育ちました。「一人っ子だったので、中学、高校時代は、人との付き合い方がよくわからなかったんです。みんなと同じにしている方がいいかな、と合わせていたら、いつの間にか自分の意見がない人のように思われて、身の置き場がなくなってしまいました」と振り返ります。

那須野純花さん(撮影:岩田耕平)
那須野純花さん(撮影:岩田耕平)

同世代だけで構成される狭いコミュニティの中で息苦しさを感じ、環境を変えたいと思いました。部活をやめ、もっと多様な人たちに出会うにはどうしたらいいかを考え、高校生ができそうなボランティアを探し始めました。その時に見つけたのがグリーンバードという活動です。

グリーンバードというのは、まちづくりの観点を持って清掃活動を行っているNPOで、日本内外のさまざまな地域にチームがあります。那須野さんはその活動に何度か参加するうちに、その頃始まったばかりで盛り上がっていた川崎駅チームのリーダーと出会いました。主体的にやってみたいなら、自分の好きな街でチームを作ればいい、と後押しをしてもらい、通学で毎日通っていた武蔵小杉でゴミ拾いをしたい、と申し出ました。18歳の那須野さんは、若いリーダーとしてグリーンバード武蔵小杉チームを新たに創設することになりました。

初めて、武蔵小杉でゴミを拾ったのは2015年の9月

「見えないところにたくさんゴミがあるんだな」と感じたと言います。2015年頃の武蔵小杉は、その前年にグランツリー武蔵小杉が開業し、いよいよ再開発によって描かれた新しい街がその輪郭をはっきりと表し、街に引っ越してくる人たちの数もますます増加している時でした。古くからの街並みと、新しい街区の間にできていたちょっとした隙間に、ゴミがたくさん隠れていました。那須野さんはそれらをひとつひとつ丁寧に拾い上げては、参加者と交流をするきっかけにしていきました。

「こんなゴミが落ちていたよ」なんてお互いに見せ合って話すだけでも、距離が近づくんです。」美化活動も大切だけれど、それをきっかけに人の心が開いていくことの方が重要だと思ったと言います。

グリーンバード武蔵小杉チーム
グリーンバード武蔵小杉チーム

私も何度か子どもと一緒にグリーンバード武蔵小杉チームの活動に参加しましたが、那須野さんが「ゴミはあんまり一生懸命拾わないでください!それよりおしゃべりをたくさんしましょう!」と呼びかけていたのが、とても印象的でした(コロナ禍になる前のことです)。

武蔵小杉は交通のアクセスがいいため、年齢も目的も異なる人たちがいつもゴミ拾いに参加していました。那須野さんの親世代の参加者も多く、地元の商店主や、企業の経営者などに加え、武蔵小杉チームの活躍を聞きつけた市長が急遽参加したことも。ミス・ユニバースの日本代表ファイナリストたちが参加した回もありました。

「面白い大人がいっぱいいました。どの人もみんな、何かを聞くと、聞いていないことまで熱心に答えてくれました。」

もともと、親世代とのコミュニケーションは得意だった那須野さんですが、グリーンバードという軸ができたおかげで、自分の立ち位置を明確にして話をすることができました。興味は尽きず、自分の気づきや新しい経験を積極的に自分から発信するようになりました。

武蔵小杉でイベントがあるたびに「グリーンバードに来て欲しいんだけど」という依頼も増えるようになりました。コアパークで行われたフードフェスや、等々力緑地でのイベント、はては扇島でのロックフェスでも、那須野さんと緑色のビブスのボランティアの姿を見かけました。あちこちのメディアにも取り上げられるようになり、いつの間にか川崎の「プチ有名人」になりました。2018年の「成人の日を祝う集い」では、晴れ着姿で新成人代表としての豊富を堂々と話す那須野さんの姿がありました。

ワカモノ会議を立ち上げる

その後、無事に大学を卒業し、PR会社に就職した那須野さんですが、地元での活動は卒業するどころか、ますます精力的に行っていました。地域活動の中で成長していくうちに芽生えた想いは「自分の経験を同じような思いをしている子たちに伝えたい」ということでした。かつては、出ていきたいと思った地元・川崎にが好きになり、地域でやりたいことを見つけることができた。この経験は、今同じような悩みを持っている中高生や、大学生にとって助けになるかもしれない、と思ったのです。ここからが本当にすごいところなのですが、那須野さんはグリーンバードの活動を通じて出会った多くの「リーダー」から学んだことを、自分流にアレンジしていきます。

グリーンバードを始めた頃は、他のチームのリーダーのように、強く周りを引っ張らなければいけないと思っていた那須野さん。でも、だんだんと、それでは仲間ができないことがわかりました。若者は、自分のやりたいことを叶えたいけれど、そのやり方がわからない。それなら、彼らの願いを一緒になって叶えるコミュニティを作り出すことが先決ではないか。若者が入ってきてくれないと、川崎のコミュニティはどんどん高齢化してしまう、そんな危機感があったとも言います。

「地域では、年配の方が元気に頑張っているから、若者は相対的に『弱い』んです。お金もなければ、つながりも、経験もない。でも、パワーは秘めています。もったいない。そういう力は集まれば大きな動きを作る可能性がある。」

そう気がついた那須野さんは、グリーンバードを通じで出会った同世代や、年下の若者たちと「ゆるいつながり」を作って話し合う機会を持ちたいと考え、2021年の4月に「川崎ワカモノ会議」を立ち上げました。溝の口のお寺で開催したキックオフミーティングの参加者は23人。やりたいことや、地域に関して知りたいことなどをざっくばらんに語り合いました。

かわさき若者会議 第一回
かわさき若者会議 第一回

現在その活動に参加する若者は中学生から社会人まで120人を超えています。コロナ禍もあり、地域に目を向ける学生が増えたことも一因かもしれません。普通なら大学でできたはずの友人ができず、ワカモノ会議に参加したことで、地域に友達ができた若者も多かったのでしょう。

ワカモノ会議の参加資格は25歳以下であること。中学生から社会人まで男女さまざまな若者がいます。やりたいことがある人が「これがやりたい」と提案し、共感する人が「わたしも」と手を挙げてプロジェクトが始まるのだそうです。特にやりたいことがなくてもメンバーになれ、誰かを手伝うことで、自分の目指すところを見つけることもあるんだとか。

選挙啓発、農業支援、防災

2021年の市長選の時には、日本若者協議会関東支部との共催で、市長選の候補者への提言を若者たちが行うワークショップを行いました。それだけではなく、市議補選などトリプル選挙となった幸区では、飲食店を巻き込んで投票証明書を見せると「選挙割」が受けられるキャンペーンを呼び掛けるなど、積極的に若者層への政治への関心を啓発する活動も

「学校で学ばない政治のことについても、地域の議員や市長を選ぶ観点から、関心を持つことができると考えました。まずは身近なところから、と自分が通っていた学校があったエリアを周って、3週間で16の店舗に参加してもらうことができました」

一番新しい活動では、今年の3月に「旅する道の駅」というマルシェイベントを溝の口緑地で行いました。川崎の農家とつながって、「野菜の声を伝える」をコンセプトに地場野菜のお祭りを行ったのです。

那須野純花さん(撮影:岩田耕平)
那須野純花さん(撮影:岩田耕平)

「農家の娘で若者会議に参加している子がいて、一緒に企画しました。溝の口で地産地消のレストランをしている方、川崎でコミュニティカフェをしている方にアドバイスをいただきながら、高津図書館や大山街道アクションフォーラムなどにも協力してもらいました。」

当日は1500人以上が来場するほどの盛況となりました。さすがの巻き込み力、というほかはありません。手応えを感じた那須野さんは、こういうった事業を開拓して、若者がアクションを起こしていく環境を普通のことにするために、思いのある若者たちにもっともっと入ってきて欲しい、と呼び掛けます。

自分が弱者であった過去を持つからこそ、助けを求め、人の手を借りることの大切さを知っているのでしょう。

「大人に手伝ってもらってばかりじゃないんですよ。こういう活動を通じて出会った商店さんなどで、アルバイトやイベントの人員が足りない時など、若者会議のラインに流すとかなりの確率で『やりたい』という子が出てきて、適材を紹介できることも多く、喜んでもらっています」と笑顔を見せます。

若者会議が自走できるようになって、今那須野さんが個人的に興味を持っているのは、「防災」のことです。2019年の台風19号の被害でボランティアをしたことをきっかけに、地元の消防団に参加するようになり、幸消防団の第3分団に所属しています。まず思い立ったら行動!という、那須野さんらしい決断です。女性で消防団の活動をしている人はまだ珍しいので、再び多くのメディアに注目されるきっかけになりました。

消防団の活動も積極的に
消防団の活動も積極的に

「自分で自分の地域を守るためにできることがあるのだ、と知りました。直接声を掛け合って、顔の見える関係を築いていくことで、ご近所間の距離も縮まり、いざというときに役に立つんです。」

言葉で見ると、その通りだと思います。けれどもそれを実践できる人がどれほどいるでしょうか? 行動することによって自分の人生を切り開いてきた那須野さんの口から聞くからこそ、これらの言葉は真実味をもって胸に響いてきました。

25歳になる那須野さん。若者会議への参加はあと1年となりましたが、すでにその先にやりたいことが山のようにあり、眼差しは未来を向いています。

那須野純花さん(撮影:岩田耕平)
那須野純花さん(撮影:岩田耕平)

もしも、那須野さんの活動に興味を持った方は、若者会議でも、グリーンバードでも、消防団でも、自分に合っていると思うものに向かって一歩踏み出し、那須野さんに会いに行ってみてはいかがでしょうか。きっと那須野さんは満面の笑顔でその一歩を受け入れ、川崎のまちを一緒に歩き出してくれることでしょう!

(2022.11.25 コスギーズ!「地域で花を咲かせる若者たち 原動力は「弱さとゆるいつながり」By :Ash 初出)

俳優・吟遊詩人(川崎市)

琵琶を弾き歌う俳優です。世界80都市を旅した結果、日本文化を愛しています。旅と出会いと美味しいお酒がインスピレーションの源。MCアマビエちゃんはアマエビちゃんにメタモルフォーゼ。フラットで差別のない目線で記事をお届けしたいと思っています。Stay tuned!

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