行政書士試験の申込始まる~令和元年度の試験は当たり年!?
7月29日から、令和になって初めての行政書士試験の申込が開始しました。そこで、試験の概要と行政書士についてご紹介したいと思います。
行政書士試験はやることをやれば受かる試験です。しかも、意外と使える資格です。これを読んで「よしっ!チャレンジしてみよう!」となるかもしれません。「自分には関係ない」などと言わずにご一読ください。
行政書士試験とは
行政書士試験の概要は次のとおりです。
受験資格
・受験資格:年齢、学歴、国籍等に関係なくどなたでも受験できます。
・試験日時:令和元年11月10日(日)午後1時~午後4時
・受験手数料:7,000円
・受験申込受付期間
・郵送申込み:令和元年7月29日(月)~8月30日(金)消印有効
・インターネット申込み:令和元年7月29日(月)~8月27日(火)午後5時
試験科目
試験科目は、法令科目と一般常識の二つに分かれています。
1.行政書士の業務に関し必要な法令等(46題)
~憲法、行政法、民法、商法、基礎法学及び法令(択一式及び記述式)
2.行政書士の業務に関連する一般知識等
~政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解(択一式)
合格基準・難易度
300点満点中、6割以上が合格とされています。
受験資格~制限がない、最年長合格者は77歳
このように、受験資格に制限がないのが行政書士試験の特長の一つです。このため、平成30年度試験では、 申込者の最年長は94歳(1名)、同最年少は13歳(2名)でした。また、合格者の最年長は77歳(2名)同最年少は16歳(1名)でした。
ちなみに、他の法律系の国家資格のおもな受験資格は次のとおりです。
司法試験:法科大学院課程の修了者及び司法試験予備試験の合格者
税理士試験:大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学(※1)を1科目以上履修した者等
社会保険労務士試験:大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学若しくは高等専門学校(5年制)を卒業した者又は専門職大学の前期課程を修了した者等
なお、行政書士試験と同様に、司法書士試験も受験資格を設けていません。
受験者数、合格者数、合格率~令和元年の合格率は上がる!?
過去4年間の受験者数、合格者数、合格率は次のとおりです。
平成27年度 受験者数 44,366名 合格者数 5,820名 合格率 13.11%
平成28年度 受験者数 41,053名 合格者数 4,084名 合格率 9.95%
平成29年度 受験者数 40,449名 合格者数 6,360名 合格率 15.72%
平成30年度 受験者数 39,105名 合格者数 4,968名 合格率 12.70%
(以上、一般社団法人行政書士試験研究センター)
このように、合格率が下がると、翌年の合格率は上がる傾向にあります。昨年は15.72%から12.70%に3.02ポイントダウンしましたから、ひょっとしたら令和元年の合格率は上がるかもしれません。
行政書士とは何者か
ところで、「行政書士」と聞いても、ほとんどの方が「名前を聞いたことはあるけど、実際に何をしてくれる人なのか分からない」というのが本音ではないでしょうか。そこで、行政書士についてご紹介したいと思います。
国家資格者である
行政書士は、行政書士法(昭和二十六年法律第四号)で定められている法律系の国家資格者です。
行政書士は「2つのフィールド」で仕事をしている
行政書士には、大きく分けて2つの業務があります。一つは「官公署に提出する書類」の作成および相談に関する業務、もうひとつは「権利義務または事実証明に関する書類」の作成および相談に関する業務です。
1.「官公署に提出する書類」の作成・相談
「官公署に提出する書類」に関する業務では、書類に関する相談、書類作成、官公署(役所)への提出代理を行っています。
具体的には、建設業、運輸業、風俗営業等の許可申請があります。近年は、外国人が日本で仕事を行うために必要な在留資格を取得するための出入国在留管理庁に申請する書類の作成が急増しています。
2.「権利義務または事実証明に関する書類」の作成・相談
もう一つの「権利義務または事実証明に関する書類」に関する業務の具体例としては、契約書等の作成・相談が挙げられます。
近年急増しているのが、遺言書や相続手続に関する書類の作成・相談です。法的に完備した遺言の作成や、面倒で複雑な遺産分けを速やかに完遂するための遺産分割協議書の作成や金融機関の払戻し請求の手続きなど相続手続のサポートを行っています。超高齢化社会を迎えて、この分野の業務は益々増えると予想されます。
「官公署に提出する書類」の作成・相談」も「権利義務または事実証明に関する書類」の作成・相談も業務範囲が広範におよびます。このように、広範な業務範囲が行政書士の特徴の一つです。
「他の法律において制限されているもの」は受任できない
ただし、行政書士は「官公署に提出する書類」や「権利義務または事実証明に関する書類」であっても、「その業務を行うことが他の法律において制限されているもの」については、業務を行うことができません。
そのため、税務申告(税理士業務)や法務局への登記申請(司法書士業務)、労働及び社会保険に関するもの(社会保険労務士)、裁判所への訴状(弁護士業務)に関する書類の作成および相談などは行うことができません。
数字で見る行政書士
行政書士を数字を基にご紹介します。
行政書士は、行政書士試験に合格した者、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士となる資格を有する者、 国又は地方の公務員として事務を担当した期間が通算して20年以上(高等学校・大学等を卒業した者は17年以上)になる者が、各都道府県の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会の登録を受けることで行政書士の業務を行うことができます(行政書士法2条)。しかし、その多くは行政書士試験に合格した者です。
総数:48,279名
男:41,396名(85.74%)
女:6,883名(14.26%)
個人事務所開業:46,234名(95.76%)
行政書士法人社員:1,310名(2.71%) ※法人事業所数:522
使用人行政書士(補助者):735名(1.52%)
令和元年5月末日現在(引用:『月刊 日本行政 7月号』)
このように、男性会員数が女性会員数を大きく上回り、会員のほとんどが個人事業主であることが特徴です。もちろん、第一線で活躍している女性会員は大勢います。今後のますますの女性会員の躍進が期待されます。
「お得」な資格
司法試験や司法書士試験と違って、やるべきことをきちんとやれば、「受からない試験」ではありません。努力が報われる難易度です。仕事や子育てをしながら合格する方も大勢いらっしゃいます。
以上ご覧いただいてお分かりいただけると思いますが、行政書士は、試験の難易度に比べて、業務範囲が広く、なおかつ法で与えられた権限が強い資格です。いわば、「お得な資格」といえます。この行政書士という資格を活用して次の様な方々が行政書士試験に合格して活躍しています。
・自分のキャリアを活かしてセカンドキャリアを輝かせようとしている方
・自分のやりたいことを「国歌資格」という信用を武器に成し遂げたい方
・行政と地域の方々とのかけはしとなって地域貢献をしたい方
・マイノリティの方々の支援活動をしたい方
・国際貢献をしたい方
・遺言の普及やすみやかな相続手続で円満な相続の実現に貢献したい方 などなど
郵送申込みの締切りは8月30日(金)消印有効まで、インターネット申込みは8月27日(火)午後5時までです。
行政書士は多様な人材が活躍できる資格です。興味ある方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。やりようによっては、今からでも間に合います!
「よし!やってみよう」という方は、一般社団法人行政書士試験研究センターのホームページをご覧ください。