「制限緩和」はどこまで進んだ&今後の見通しは?飲食・イベント・移動など気になる状況まとめ
緊急事態宣言が9月30日で全国的に終了して以来、いわゆる「制限緩和」のニュースが相次いでいます。今後、さらなる緩和に向けた「実証実験」が進んでいるという情報を目にするようにもなりました。
でも、いま飲食やスポーツイベントなどで、どのくらいまで緩和は進んでいるの?とか、今後はどうなるの?と聞かれると、ちょっと良くわかりません。
さらに気になるのが、冬にもし感染者が増えてきたら、制限の日々に戻ってしまうの?ということ。
そこでいま、制限の緩和はどんなスケジュールで進んでいるのか、今後の見通しはどうなろうとしているのかなどについて、わかる範囲の情報をまとめてみました。
【内容は、10月21日時点の情報に基づいています】
各業界の制限緩和状況は?
制限緩和に関する政府としての大方針は、内閣官房が発表しています。
ポイントは「9月30日の段階で緊急事態宣言が出ていた地域かどうか」によって緩和への方針を分けているということ。緊急事態宣言が出ていた地域は感染の状況が深刻だったわけですから緩和も慎重に、ということです。
ご自身の自治体が、9月30日の時点で緊急事態宣言が出ていた19都道府県と、それ以外の28県のどちらに入るかは、下の図で確認してください。
ここから、都道府県をまたぐ移動や飲食などに関する制限の緩和について、政府の方針をまとめていきます。
※実際に制限をどこまで緩和するのかについては各自治体(都道府県)にゆだねられています。下記とは違う方針をとっている自治体もあるので、詳しくはお住いの都道府県のホームページなどで確認してください。
都道府県をまたぐ移動について
※緊急事態宣言が出ていた自治体
・基本的な感染防止策を徹底
・ワクチン接種を完了していない場合、他の地域への移動の際に検査を受ける
・移動先の自治体の判断で移動自粛の要請があった場合はそれに従う
※それ以外の自治体
・基本的な感染防止策を徹底
・発熱などの症状がある場合は、帰省や旅行を控える
・感染拡大地域への移動を控える
大規模イベントなどの開催について
※緊急事態宣言が出ていた自治体
・上限5,000人または収容定員50%以内(ただし、10,000人を上限)のいずれか大きい方などの規模要件などに沿って開催
・都道府県知事の判断により、開催時間制限の要請があった場合には協力
※それ以外の自治体
・上限5,000人または収容定員50%以内のいずれか大きい方などの規模要件等に沿って開催
・9月30日時点でまん延防止等重点措置が出ていた8県については「緊急事態宣言が出ていた自治体」と同様の人数制限
飲食・カラオケについて
※緊急事態宣言が出ていた自治体
・当面、飲食店に対する営業時間の短縮要請は継続
・感染対策の一定の要件を満たした店舗(認証等適用店)については21時まで、それ以外の店舗については20時までを基本
・スナックやカラオケ喫茶など、飲食を主とするお店においてカラオケ設備を提供している場合は自粛。それ以外のカラオケ設備提供(カラオケボックスなど)は感染対策を徹底したうえで営業可能
※それ以外の自治体
・地域の実情に応じて、営業時間の短縮要請が行われることがある。この場合、認証等適用店については21時まで、それ以外の店舗については20時までを基本
その他の業界(学校・テーマパークなども含む)
※緊急事態宣言が出ていた自治体
事業者側に、各業界団体が定めた感染対策ガイドラインに基づいて営業するよう求める
地域の実情に合わせ 進む緩和の動き
上記まとめた政府(内閣官房)の方針では、緊急事態宣言の解除後1か月、すなわち10月末をめどに順次制限を見直していくことになっています。
一方で具体的な施策は自治体にゆだねられているので、10月末を待たずに制限を緩和しているところも出てきています。
たとえば福岡県では、9月30日まで緊急事態宣言が出ていましたが、感染者の減少などを見て10月14日をもって県独自のコロナ警報を解除。飲食店の営業時間短縮の要請などを終了し、観光キャンペーンも再開させています。
福岡県 きょうで時短要請終了 あすから観光キャンペーン再開(NHK NEWS WEB 10月14日)
東京都に関しても、25日以降、都の認証を受けた店では営業時間の短縮が撤廃され、認証を受けていないお店でも、21時までお酒を出せるようにする方針を固めたと報じられています。
東京都 10月25日以降認証受けた飲食店の時間制限なくす方針(NHK NEWS WEB 10月21日)
こうした動きは地域によって変わりますので、最新の状況についてはお住いの自治体に問い合わせるか、都道府県ホームページなどを参照してください。
今後はどうなる?「実証実験」って何のこと?
全国的に第5波が収束し、ワクチンの接種なども進む中で、制限の緩和が進んでいます。マスクや3密回避などの対策は変らず推奨されていますが、いわゆる「コロナ前の日常」に戻りつつあると言えるかもしれません。
しかしこの冬には、さらなる感染の拡大(第6波)が来るとも指摘されています。そうなればまた、制限の日々に逆戻りしてしまうのでしょうか?
政府がいま目指しているのは、再び感染が拡大して緊急事態宣言が出るようなことになっても、ワクチン接種歴や検査結果を確認することなどによって、従来より行動を制限せずに感染対策を行うことです(ワクチン・検査パッケージ)。
そこで進められているのが「実証実験」の取り組みです。
飲食店や観光業などで、お客さんのワクチン接種済証や検査証明書の確認をスムーズに行えるかどうか、その後、クラスターは発生しなかったかどうかなどを調べています。
実証実験には、このまま大規模イベントなどの人数制限の緩和を進めていっても大丈夫かを調べるというほか、次の感染拡大が起きた時にも慌てずにすむよう事前に備えておく、という意義もあります。
ワクチン接種者など行動制限緩和の実証実験公開 観光庁(NHK NEWS WEB10月15日)
行動制限緩和に向け観光庁が実証実験 秋田の温泉地にツアー客(NHK NEWS WEB10月18日)
なお現在、自分のワクチン接種歴を証明する書類として使えるのは、自治体から届いた接種券に接種済みシールが2枚張り付けられたもの(写真)や、職域接種の際に渡された「接種記録証」などです。
電子証明書も年内の提供を目指して検討されているようですが、まだ技術的な課題もあり、先行きがはっきり見えているわけではありません。
ワクチンを受けた方は、接種証明できる書類を保管した場所を確認したり、なくさないように気を付けておいたりしたほうがよさそうです。
進む「コロナに強い社会」づくり
以上、緊急事態宣言後の制限の緩和などについて、現在の状況と今後の見通しをまとめてみました。
過去最大の感染拡大が起きた第5波も収束し、ワクチンの接種率も全人口の7割を大きく超えました。新型コロナに強い社会づくりは、一歩一歩進んでいます。
マスクや3密回避など、もはや身についてきた習慣はとりあえずこのままに。ひとつひとつ「日常」を取り戻していきましょう。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】
【参考資料】
- 令和3年9月 28 日 新型コロナウイルス感染症対策本部決定 「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」