世界各国の石炭の輸出入量の実情をさぐる
・石炭の輸出量トップはインドネシア。年間約3.9億トンを輸出している。次いでオーストラリア、ロシアの順。
・石炭の輸入量トップはインド。年間約2.1億トンを輸入している。次いで中国。
・日本は石炭の輸入大国。年間約1.9億トンを輸入し、世界第3位の輸入量。
環境に与える負荷は大きいものの、採掘できる場所の偏りがさほど無いことから、エネルギー源として重要視されている石炭。その石炭の国単位での輸出入量の実情を、アメリカ合衆国のエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)の公開データベースの最新値を基に確認する。
同データベースの値によれば、石炭の消費量トップは中国。年間約39.7億トンを消費している。
中国の消費量はひときわ大きく、2位以降の14か国分全部を合わせても、中国の消費量の方がまだ多い(2位から15位までの計14か国の合計は30.611億トン)。また日本や台湾のように、石炭を輸入に頼る国の名前が上位陣に入っている。
この石炭を消費するにあたり、自国内で採掘できなければ、他国から調達しなければならない。逆に国内消費量以上の採掘がおこなえる国では、無理に採掘しなくてもよいし、余った分を貯蔵したり輸出する事も可能となる(無論、自国内で採掘できる石炭の品質、種類により、全体量としては充足していても、不足している種類の石炭を輸入しなければならない場合もある)。そこで輸出・輸入量についてまとめたのが次のグラフ。
輸出量は日本における大量の輸入元であるインドネシアがトップ。次いで同じく日本がお世話になっているオーストラリア、そしてロシアの順。採掘量の上位の国でも、自国消費量の方が多い国はほとんど輸出まで回せないことが分かる。また、北朝鮮が上位陣に入っているのも注目に値する。
一方輸入量ではインドがトップ。次いで中国、日本と続く。中国は単純な石炭の採掘・消費量ではほぼ同量だが、それをもってしてもなお世界で2番目の輸入量を誇ることになる。
石炭は製鉄の原料として使われるだけで無く、発電用エネルギー源としてもいまだに重要な役割を担っている。2007年の乱高下相場をきっかけにした資源の価格上昇以降、採掘技術や環境対策の進歩を受けて石炭が見直されつつある。昨今においても同様の状況が見られる。また日本に限れば、LNG同様に火力発電所の燃料としても注目を集めているのが実情。
今後も石炭の動向には大いに留意したいところだ。
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