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アップル・Google二強が崩れる?大きな転機を迎えるデジタルゲームストア #専門家のまとめ

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

箱に入ったゲームソフトが店頭に並ぶパッケージ販売は過去となりつつあり、スマートフォンのみならずゲーム専用機でもデジタルストア(ダウンロード販売)が大きなウェイトを占めているのが現状です。プラットフォーム側にとっては安定した収益を確保でき、ユーザー側からはレビューやコミュニティが貴重な手引きとなっています。

その一方、ゲーム開発者にとっては交渉の余地なく手数料が「天引き」される不満も募っており、デジタルゲームストアも曲がり角に差し掛かった感があります。そうした状況を象徴する記事をピックアップしてみました。

ココがポイント

▼中国ゲーム大手テンセントがApp Storeアプリ内課金を提供する方法を模索中と認める。現在「ミニゲーム」は対象外

中国テンセント、ゲームのアプリ内課金の収益共有でアップルと協議(Bloomberg)

▼Epic Gameが「Fortnite」を提供するモバイルアプリストアを開設。EUではiPhone版、全世界向けにAndroid版

・Epic Gamesが独自アプリストア「Epic Games Store」モバイル版を開設、日本でもAndroid版がオープン(ケータイWatch)

▼PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」がレビューの表示順を切り替え可能に。新規プレイヤーも使いやすく

・「Steam」,ネットミームやAAなどの“おもしろレビュー”よりも,購入時の参考になるレビューを上位に表示する新システムを導入(4Gamer.net)

▼Valveが自社製のSteam Deckのみに提供する「SteamOS」を他社製の携帯ゲーミングPC対応に向けた動き

Valve、Steamの利用に特化した「SteamOS」の他社製デバイスへの提供に向け開発進める。ASUS ROG Ally対応は一歩前進か(AUTOMATION)

エキスパートの補足・見解

アップルとGoogleは長年にわたり自社製アプリストアを優遇し、他社製ストアをシステム的に冷遇してきました。特にアップルのiPhoneは他社ストアをインストールするためには「脱獄」というセキュリティ的にも危険で保証対象外となる操作を要し、事実上封じていたと言えます。

昨年末にEUではデジタル市場法(DMA)が施行されたもと、アップルは他社製アプリストアをしぶしぶ許可。かたや中国ではWeChat上で動くミニゲームがApp Storeの手数料を逃れていたものの黙認、ようやく圧力を強めた……というか他の市場と同じ対応を始めたという流れです。

かたやSteamの動きは、いろいろな意味でPCゲームのハードルを低くする取り組みです。任天堂やソニー、マイクロソフトなどゲーム専用機プラットフォームと並び立つ存在となり、健全な競争を促すことを期待したいところです。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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