【高原町】「映え」じゃない。素材選びと手間を惜しまない「本物」を食べてみて
時代なのでいいんです。それも文化だからいいんです。でも「映え」ってなんだろうと。テレビでも時々取り上げられる、需要と供給の双方が生み出している過度な「映え商品」。もちろん全てではないものの、本当の意味での「美味しさ」はそこにないような気がしています。そんな中にあって、丁寧に一つひとつの工程にこだわり、思いを込めて作られるお菓子をいただきませんか?
ここは高原町にあります2010年にオープンした「くるみの里」さん。最近でも地元テレビに出演されたりと、ご存知の方も多いかも知れません。事実、出演後2週間以上物凄い数の来客があったそうです。メディアの力、恐るべし…。
まずは入店してすぐ、数々の賞状に驚きます。どこを見ても賞状だらけといっても過言ではありません。
そして、あるわあるわのサイン達!地元メディアを中心に、様々な方面で出演されていらっしゃるようです。認知度は間違いなく高め。
野村健一さんと奥様のフミ代さん。去年の1月からは息子の諭史さんも一緒に、くるみの里を盛り上げていらっしゃるそうです。この日、諭史さんは宮崎市の方でイベント出店されておりお会いできませんでしたが、食べたくてもちょっと遠いなと頭を過った方にはイベント出店は朗報ですね。
数々の受賞歴をお話下さるフミ代さん。「これは本当に凄い賞なんですよ。ネーミングがちょっと優しいというかあれですけど」と笑いながら話されます。お二人から受賞のお話を伺って感じたのは、これだけの評価を得ているにも関わらず、今も謙虚にお菓子作りに向き合っておられる心意気でした。
「やっぱり『美味しい』って言ってもらえる事が一番ですよね。お客さんを裏切らないように作らんと。」そう笑顔で仰る健一さん。「お客さんを裏切らない」この言葉に詰まっている思いは、私たち消費者には計り知れないのだと感じます。
その思いをお菓子作りに注がれ、結果として日本全国から愛される商品になりました。なんとふるさと納税のチョコレート部門で1位、菓子部門で2位を獲得されたのです!ふるさと納税で検索するだけでも、相当な数が出てくるお菓子類。その中でこの結果という事実がどれほど素晴らしく大変なことか。
「ふるさと納税で食べて気に入っていただけて、『ずっと来てみたかったんです』って来店してくださる方もいるんですよ!びっくりしましたけど凄く嬉しいですよね。大分、山口、福岡…あとは県内からも、この前は日南からって言われてましたね。有難いです。」
最近では若い男性も買いに来られるそうで、認知度の高まりと共に新しい客層の獲得にもつながっているようです。手土産用の商品も充実しているラインナップです。
お菓子のおはなし
くるみの里といえば先ずはこのスティックケーキの数々。今では10種類にものぼりますが、一番最初はチーズバー。その後に生チョコバー、抹茶の生チョコバーと続いていきました。抹茶生チョコバーは、宮崎はお茶処ということもあり、ライバル商品が多い中、あちらこちらの抹茶を取り寄せ試行錯誤を重ねて完成させた苦労の末の受賞商品。この日は沢山買ったので、悩みに悩んで次の機会にしましたが、わたくし抹茶大好きなんです…
金柑スイーツは金柑特有のほろ苦さと高い香りが口に入れた瞬間広がり、最高に美味しく宮崎を感じます。この金柑のグラッセ、実は串間市産の高級ブランド「たまたま」を使用した超こだわりの逸品!金柑が肉厚でしっかり存在感があります。
生チョコバーはこだわりの2種類のチョコを配合して作られています。これはバレンタインにも物凄く喜ばれそうです。非常にリッチな味わいで、バーでありながら食べ応えがあり、チョコに煩い夫マンも「これ!これいっぱい買ってきて!」という程。お酒にも合いそうですので大人の夜のひとときにも良いですね。
チーズバーはくるみの里の看板商品。受賞歴もさることながら、その間違いのない味わいは購入必至の逸品。高原町の卵と有名なフランス産キリのクリームチーズを使用。滑らかに仕上がった濃厚なチーズと土台のしっとりしたクッキー生地とのバランスが最高です。
ラムッチョは、もちろんラムレーズンから手づくり。レーズンの軽い酸味とほのかに抜けるラムの香りが、ラムレーズン好きにはたまりません!濃厚なチーズの部分と合わさった時の美味しさは格別です。
今回は夫マンの誕生日が近かったので、お祝いも兼ねてくるみのロールケーキを購入。ノーマルとくるみと2種類あったのですが、せっかく「くるみの里」に来たのでこちらに決定。特徴はこの外側のくるみダイス!実は秘密が隠されているんですがそれは後ほど。周りに薄くクリームなどを塗っているのかと思っていたら、このたっぷりのくるみは生地を焼く時点で先に型に敷き詰めておき焼き上げるのだそうです。その香りは本当に素晴らしく、部屋中がくるみの香ばしさで包まれるそう。
スポンジはしっとりとして卵(高原町産)を感じます。口に入れるとくるみダイスが再び香りを発して、最高に香ばしいのです。もう最高。そして特筆すべきはこのクリーム!非常にミルキーで、さっぱりとしていながらも濃厚な牛乳を飲んでいるかのようなコクを感じます。恐らく脂肪分はかなり控えめなのではないでしょうか?全体的なボリュームに反して重さがないので、幾らでも食べてしまいそうです(しっかり多めに食べている)。夫マンは非常に気に入り、次はノーマルも食べたいと切望。
こちらも受賞歴を持つ銘品「甘酒プリン」。使用している甘酒の割合が多いだけでなく、甘酒から手作りされる本格甘酒プリン!甘酒の材料も厳選して作られています。私は甘酒が大好きなので一口で大ファンに!酒粕は使用していないので、お子様でも安心です。
一口で甘酒特有の甘さと香りが広がります。器がお花の形なので贈り物にも可愛らしくて良いですね。粒感はなく滑らかに仕上がっています。プリンですが、カラメルは無いタイプ。卵黄だけを使っているので、甘酒の甘さと合わさってとても濃厚な味わいです。
こちらは6種類ある大福シリーズの1つ、小倉大福です。決めきれなかったので、健一さんの一押しを購入しました。健一さんはあんこが大好きと伺ったので、間違いなく美味しいだろうと期待が高まります。
あんこは粒あん。甘みは強めです。クリームが入っているので一緒に食べると絶妙なバランスでとても美味しいです。小粒でもしっかり存在感があるので、昼下がりのお茶タイムにもってこい!抹茶や濃いめに入れた緑茶に凄く合いそうです。
よ~く見てください…可愛い子がいませんか?こちら「うさちゃんのバターサンド」。初めて見た時は「招き猫?」「ウサギ?」と夫マンと色々話し、後ほど諭史さんに伺うとうさちゃんと判明。お客様の中には、あの有名な森の大きな妖精と思ったというご意見も!確かに、高原町にはあの森の大きな妖精のフォトスポットがあるだけに、そう見えてしまいますね。
コーヒー香るバタークリームは想像の何倍も軽く、バタークリームであることを忘れてしまう程。「これは本当に作るのが難しくて、積み上げて形をキープしながらこの味わいを出すのは、絶対他ではできないと思いますよ。」と健一さん。というのも、温度管理が非常に難しいと言います。実際、冷蔵庫から出して、写真を撮っている少しの間に、あっという間にぽわぽわのクリームに変身!これはサッとだしてサッと食べるのがおすすめですね。サクサクのサブレとの相性が良く、バタークリームも美味しいです。
くるみの里の秘密
敷地内に入るとまず目に入る大きな木。これ、実は樹齢100年を超えるくるみの木。暑さに弱いくるみは、本来東北地方などの寒冷地での栽培が適しているそうですが、なぜここでこんなに育ってくれたのかわからないと健一さんは笑いながら仰います。
これがくるみの実。ここから実が割れて、よく見るくるみの殻がぽとっと落ちるそうです。私は初めてくるみの実を見たのですが、案外大きいです。しかし、今年は不作も不作。ほとんど実をつけなかったといいます。
「去年から今年の高温が影響してるのか、今年はくるみが全くならなかったんですよ。柿も小さいうちに実が落ちてしまって…」と悲しい顔のフミ代さん。というのも、実はこちらで使われるくるみは、この木から穫れたもの!まさに「くるみの里」です。そのくるみが穫れない一大事を前に、対応を検討中だそうです。ただストックは沢山あるので、しばらくは大丈夫とのお答え。それでも心配ですね。
家族で営む町のお菓子屋さん「くるみの里」。穏やかな雰囲気と、その柔らかさを形にしたように優しい味わいのお菓子は、数々の受賞歴が裏付ける「本物」の味です。おでかけの帰りに買って夜のデザートに、多めに買ってもコンパクトな形状は手土産にも抜群です。高原町に来られたら、いや、くるみの里の味わいを求めて高原町まで是非お越しください!
●DATE●
・場所
宮崎県西諸県郡高原町西麓1021
・電話番号
0984-42-1488
・定休日
毎週木曜日
・営業時間
10:00-19:00
・くるみの里 ホームページ 、 Instagram
・駐車場
店舗前敷地内(3台程度と思われます)
※許可をいただき、くるみの木の撮影を行っております。私有地のため、無断で侵入、撮影する行為はお控えください。