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【名古屋市東区】“渋ビル”観賞にオススメ「中産連ビル本館」は改修工事終わりの今が見ごろ!

フクザワマキコ地域ニュースサイト号外NETライター(名古屋市)

東区白壁3丁目にある「中産連ビル本館」の見学に行ってきました! 「中産連ビル本館」は、日本のモダニズム建築を牽引してきた建築家・坂倉準三氏が設計を手掛けたビルです。1963年の3月に完成してから現在まで、現役のカンファレンスルームとして、研修や会議、確定申告会場などの用途で利用されています。現在、2024年1月~2024年4月にかけて行われた外壁のタイルの改修工事が完了したところで、特徴的な緑のタイルも窓枠の白い部分もピカピカです。

レトロな色合いのタイル
レトロな色合いのタイル

建築ファンに人気の「中産連ビル」ですが、建築に詳しくない人でも楽しめる「中産連ビル」の魅力に迫ってみました!

“渋ビル”という言葉をご存じでしょうか? 名古屋渋ビル研究会が発行する「名古屋渋ビル手帖」というZINEの中で定義されている言葉で、“高度経済成長期(1950~70年代)に建てられた、街中にありふれた地味なビル(味わい深い渋いビル)のこと。その中でも特に渋ビル研究会の琴線に触れたビル”というそうです。「名古屋渋ビル手帖」は現在第5号まで出版されていますが、こちらは「中産連ビル特別編集号」として丸々一冊「中産連ビル」について書かれています。

エントランスを入ってすぐのラウンジ内です。レトロでかっこ良い階段は、『いい階段の写真集』(BMC著・2012)でも紹介されています。床に描かれた曲線は真鍮でできており「テラゾ」と言い、今ではなかなかお目にかかれない仕上げ方法なんだそう。

アート作品のような階段側面
アート作品のような階段側面

「中産連ビル」には“中産連ビル愛”が随所に感じられる、公式XとInstagramがあります。各SNSで「#今日の中産連ビル」をアップしている“中の人”小寺さんに、「中産連ビル」の見どころポイントを案内してもらいながら、どのようにイイ感じの“渋ビル”写真を撮っているのか聞いてみました。

“渋ビル”撮影のポイントは「角」を意識することだそうです。また、ビル外観を撮る時は電線が映らないようにしているとのこと。個人的にも「角」部分が好きだという小寺さんにならって、庇部分と角の写真を撮ってみました。庇もピカピカなので青空によく映えます!

今回は、特別に屋上庭園にも入らせて頂きました。長丁場の会議も、屋上庭園に目を向けたらリフレッシュできそうですね。ちなみに、ピロティ・自由な平面・自由な立面・水平連続窓・屋上庭園がある建築を「近代建築五原則」と言います。この屋上庭園をふくむ5つの要素を「中産連ビル」は満たしているとのこと!

「中産連ビル」は、なんといってもこの窓が特徴的。ランダムな形と配置の「ポツ窓」がモダンな雰囲気を醸し出しています。よく見ると窓の下のタイルが一部縦になっているところがありますが、これは室内の床の位置に縦のタイルを貼っているんだそうです。

室内側から見た「ポツ窓」の様子。窓がたくさんあるので、日の光がたっぷり入ってきて明るい会議室です。天井のカーブ具合も好きな人多いそうですよ。

廊下にも「ポツ窓」が。小寺さん曰く、床に反射した窓の光もオススメ撮影スポットなんだそうです。

1番小さい部屋にもポツ窓があります。そして、ポツ窓があるのは、会議室や廊下だけではありません。

男子トイレのポツ窓
男子トイレのポツ窓

トイレにもポツ窓が!

窓があるとトイレも明るい雰囲気に
窓があるとトイレも明るい雰囲気に

別階の男子トイレは窓が1個でした。

女子トイレのポツ窓は横に3連並んでいます。

2階フロアマップ
2階フロアマップ

さらに階によって、トイレの位置が違います。

1階フロアマップ
1階フロアマップ

配管の問題から各階同じ位置にトイレを設計するビルが多い中、敢えて場所を変えているとは、トイレひとつとってもこだわりを感じますね。

古いながらもよくメンテナンスされた階段の手すり。

手すりのカーブ具合も最高ですが、手をかけた時に手のひらにしっくりなじむ感じもたまりません。

踊り場裏を「シリ」階段裏を「アシ」と呼ぶそうです。たしかに巨人の下半身に見えてきます
踊り場裏を「シリ」階段裏を「アシ」と呼ぶそうです。たしかに巨人の下半身に見えてきます

階段裏側もどことなく“近未来”を感じます。

屋上庭園に引き続き、特別に地下にある「関係者以外立入禁止」スポットも見学させて頂きました。階段の青色から一転、オレンジ色の床は小寺さんがデザインしたもの。新しくなってもレトロ感はそのまま継承しています!

倉庫として使われているこちらの扉を開くと……。

扉裏側の幾何学的デザインが、マニアの心をグッと掴んでいます。

他にもグッとくるポイントが各所にあります。まずは「中産連ビル」SNSでもおなじみの馬の置物。

エレベーターのボタンもレトロかわいいと人気です。

エレベーターの天井にも“レトロ”を発見!

エントランスにあるコンクリートの柱は、木目模様が残っています。現在の施工方法ではつかない木目跡なので貴重なものだそうです。

「消火栓」のフォントもレトロ。「中産連ビル」は、フォント好きにも刺さります。

“顔”に見える木製ルーパー仕上げの壁。

外壁部分にも“顔”を発見!
外壁部分にも“顔”を発見!

ビルの外観は自由に撮影可能。会議室内も鑑賞したい場合は、見学申し込み(無料)が必要となります。“渋ビル”鑑賞は楽しみ方もさまざま。さらに“渋ビル”への興味がわいて、建築にも詳しくなれそうです。

ビル見学を申し込むと「中産連ビル」オリジナルグッズをお土産にもらえます。写真のポストカードとしおりの他に、実はシークレットグッズもあるのですが、それは見学後のお楽しみ。

改修工事直後の美しい「中産連ビル本館」を写真に収めるのは、今が絶好のタイミングです! また、現在エントランスの向いが空き地になっており、ビル全体の引きの写真を撮りやすいそうですよ。“渋ビル”が気になった方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

中産連ビル
住所:愛知県名古屋市東区白壁3丁目12‐13
TEL:052-931-9431
URL:https://chusanrenbldg.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/chusanrenbldg/
X:https://twitter.com/chusanrenbldg
営業時間:9:00~17:00
定休日:土日祝

地域ニュースサイト号外NETライター(名古屋市)

動物と美味しいものとお酒をこよなく愛すフリーライターです。2024年2月より地域ニュースサイト号外NETにて、名古屋市北区・東区を担当しています。地域の面白いニュースを探して、自転車で走り回る日々を送っております。

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