【泉佐野市】売り切れ閉店。「板前」歴18年の店主が創る『にぎらないおむすび』が極上。毎日通う人も
こんな写真でごめんなさい。
「おむすび」が、どうしても崩れてしまうんです。
「ほぼ、にぎっていない」という「おむすび」。不格好でもこの写真を使いたいと思いました。
なぜなら、この雰囲気が一番この「おむすび」の美味しさと、店主 林 正啓(まさひろ)さんのお人柄を表しているような気がするから。
今回ご紹介するのは、下瓦屋に店を構える「紅さんざし」。
ここからほど近い場所で創作料理店を営んでいた林さんが、業態変更をして2023年3月にオープンさせた 「おむすび・お弁当」のテイクアウト専門店です。
実は、取材するまでは「今流行りのおむすび専門店でしょ?」という心持ちだったのですが、やはり実際に訪れてお話をうかがうと魅力たっぷりのお店であることがわかりました。
南海本線「井原里」駅から徒歩2分。見逃してしまいそうなほど小さな店舗は真っ赤な看板が目印で、創作料理店の面影がのこる上品な佇まいです。
こぢんまりとした店内は、どこかスイーツ店のような雰囲気。
狭いながらも床や照明、細部に渡りインテリアにこだわりが感じられる素敵なお店です。
そして可愛く並んでいますよ、「おむすび」が。
オープンから1時間ほどしか経っていないのに、店前で待つ人や訪れる人も多く 棚はご覧の通り(追加分もあるとのこと)。
透明ケースに入った「おむすび」が、シャンと並んでいてなんだか楽しい!
「おむすび」の展覧会のようです。
このケース、見た目にも可愛くてテイクアウトにもぴったりですよね。
「明太マヨクリームチーズ」350円、「唐あげマヨ からし入り」300円、「ヤンニョムチキン」300円。
「大葉鮭クリームチーズ」250円、「野沢菜わさび」250円、「にんにくみそチキン」250円、「梅くらげ納豆」250円、など。
*料金税別
定番おむすびや季節のおむすびなど、現在30種類ほどあるそうです。
聞くところによると「紅さんざし」は不定休(毎月 公式インスタグラムで営業日を発表)、“売り切れ次第閉店”のなにやらこだわりが強そうなお店。
店主の林さんは「板前」歴18年の生粋の料理人であり、それ故にこだわりも強い様子。穏やかな語り口調でありながら、林さんにとって当たり前なことが、実は特別な「おむすび」を生み出しているとも感じられ、食材の調達から具材の調理を一手に引き受ける林さんのこだわりポイントについてお尋ねしてみました。
「具材に使用する出汁は1時間ほどかけてとっています。予約が多く入っている日は、朝4時頃から仕込みをはじめます。付き合いのある鰹節専門店オリジナルの国産混合削り節(サバ、ウルメイワシ、ソウダガツオ)、メジマグロ、本ガツオを用途にあわせてブレンドしていますね。お米は泉州産のキヌヒカリを使用しています。地元農家さんとの繋がりもあり、季節によっておむすびに適したお米になるようにブレンドするなどしています」。
ほかにも、具材は出来るだけ多く詰め込み、ふんわり、というより「ほぼ、にぎらない」というこだわりも。
おいしそうな「おむすび」が並んでいるとつい手が伸びてしまい、「明太マヨクリームチーズ」「漬け卵黄ととりそぼろ」「漬け卵黄とちりめん」「野沢菜わさび」「高菜明太子」「豚角煮」を購入。
「紅さんざし」では、作りたてを提供していますが、持ち帰った「おむすび」はケースごとレンジで20秒ほど温めるのがおススメとのこと。
出来立てのふんわりおむすびが味わえるのでぜひ(20秒以上は×)。
直立不動が難しい『にぎらないおむすび』の中から出てくるのは、「板前」歴18年の林さんがつくる“創作料理”。絶妙な水加減で美味しく炊いた地元産のお米に辛うじて包まれている感じは「おむすび」を超えてまるで「定食」のよう。「コンビニのおにぎりの2倍ほどのボリューム」という口コミもあり、1個でもかなり食べ応えがありそうです。
ほろほろと崩れるお米の中から飛び出したのは「野沢菜わさび」。
もう、持っていられないほどのほろほろさです。お米の粒がしっかりしていて、塩味のきいたご飯だけでも十分美味しい。そこへ野沢菜わさびの風味と歯応えが加わり、これは旅に似合う「おむすび」だと感じます(なぜか新幹線のイメージが野沢菜とお茶?)。もちろん、家でまったり食べるのも◎。
もはや原形を留めていない「おむすび」は「明太マヨクリームチーズ」。
具が上にも乗っているし、中にもたっぷり入っているし、で「明太マヨクリームチーズ」まみれです 笑。これ、みんな好きなんじゃないかなぁ。美味しすぎます。
こちらは、「漬け卵黄ととりそぼろ」。卵は日興鶏卵の「旬の美食」を使用。
“黄味が濃厚”と聞いていた通り、まったりクリーミー。言わずもがなとりそぼろと相性抜群です。
ほかのおむすびも、具の美味しさはもちろん、お米の美味しさが際立ちます。
季節に合わせておむすびに合うお米を選び、水加減、むらし加減を調整し、出汁から丁寧につくった具を詰め込んだおむすびそのものが「創作料理」。タイトルで“創る”と表現したのは、そういった理由からでした。
「紅さんざし」では、「おむすび」のほか、「お弁当」や「オードブル」も人気です。
「出来たてを食べていただきたいので、なるべく予約をしてほしい」と林さん。
月によって営業日数が変わるのも、「出来るだけ美味しく食べていただきたい」という想いからだそう。
「冷え込む時期(1月、2月など)は、営業日数を少なめに設定しています。本当は営業したいところですが、中途半端なことは嫌で日数をしぼって提供させていただいています」。
”一番美味しい状態で「おむすび」や「お弁当」を食べてほしい”。
テイクアウト専門店に業態変更しても、“料理人魂”は健在です。
季節ごとの「おむすび」アイデアも楽しい。
春 ふきのとう、たけのこ味噌、菜の花など
夏 水なす漬けなど
秋 きのこ、さんま、さばの佃煮など
冬 たら白子など
思い立ったらすぐカタチにできることも、食材の目利きや料理の腕に長けた林さんだからこそ。そこへ女性スタッフの意見も取り入れメニューは完成していくのだそう。
「今後は、地元食材を使った『おむすび』や季節感を大切にした『おむすび』をつくっていきたい。板前だった頃には体験できなかった地域の方との触れ合いも楽しい」とも話してくださいました。
近頃、巷で流行っている「おむすび専門店」。その理由とも思える若い人の声を聞く機会がありました。
どうやら、次々に魅力的なお店がオープンしていく中、ランチは軽く済ませてスイーツなどを目的に何店舗か巡りたいという人が増えているのだとか。
なんだか、パリジェンヌのようなご意見に「おむすび」の未来を見たようで、「おむすび」片手に街を歩く人々の姿を想像してしまいました。
“軽く”とは言え、欲張ってしまうのが人間の心理。より美味しい、アイデアにあふれた、なんならランチ(定食)にも引けをとらない「おむすび」が人気、というわけのようです。
忙しくてもちゃんと食べたい人にもありがたい「おむすび」。
「板前」歴18年の生粋の料理人が創る「おむすび」をぜひご賞味あれ。
【基本情報】
店名:「紅さんざし」
公式インスタグラム(外部リンク)
住所:泉佐野市下瓦屋4-1-11(Googleマップ参照)
Tel:072-462-6619
営業時間:10:00~14:00 / 16:00~18:30(日曜 18:00まで)
*売り切れ次第閉店あり
定休日:月曜・不定休(インスタグラム参照)
駐車場:あり(店前 2台)
取材協力「紅さんざし」店主 林 正啓 様
*記事内料金はすべて税抜価格です。
*記事内容は取材当時のものです。詳細はインスタグラムをご確認ください。
*お弁当はなるべく出来たてを食べていただきたいのでお電話でのご予約をおすすめします(おむすびも予約可)。
*おむすびの配達は20個以上から