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平均2.70合、一人暮らしだと2.37合…自炊者のご飯を炊く量をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 自炊している人もあまり気にしないであろう、炊飯の量。その実情は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

最近では電子レンジなどを用いて一食分のみを炊飯する調理器具も登場し、重宝されている面もあるが、世帯単位で炊飯をする場合、その多くは炊飯器を用いることになる。その炊飯器の能力上限次第によるところが大きいが、世間一般では一度にどれぐらいの量のご飯が炊かれているのだろうか。今回はJC総研が2019年3月に発表した、農畜産物の消費行動に関する調査(※)の結果報告書をもとに、「一般世帯で自炊される際の、一度に炊かれるご飯の量」を確認する。

今調査対象母集団では1日平均で2食近くのご飯が食べられている。その一部はお弁当やピラフなどの中食だが、多くは自宅で炊いた炊飯によるもの。

↑ 1日の主食平均食数(種類別、回)
↑ 1日の主食平均食数(種類別、回)
↑ 1日の主食平均食数(「米が主食」の内訳、回)
↑ 1日の主食平均食数(「米が主食」の内訳、回)

それでは一般の世帯で炊飯をする人は、一度にどれほどの量を炊いているのだろうか。炊飯者に限定して聞いた結果が次のグラフ。なお米1合はおおよそ180ミリリットルで150グラム前後。ご飯として炊きあがると、大体お茶碗で大盛り2杯分ほど(400グラムぐらい)となる。

↑ 世帯で1回に炊飯する量(家庭炊飯者限定)(2018年度)
↑ 世帯で1回に炊飯する量(家庭炊飯者限定)(2018年度)

ボリュームゾーンは2合と3合でそれぞれ3割近くの回答率。冒頭でも触れている通り、炊飯器はその能力の上限までしか炊けないこと、その能力を下回る量でご飯を炊く意味が(一度に食べきるので無い限りは)あまり無いことから、おおよそこの量が各家庭にある炊飯器の大きさと判断してもよいだろう。

これを世帯人数別に区分し、さらに炊飯量の概算平均を求めたのが次のグラフ。後述する通り、一度で食べきることを前提としていないことに注意。

↑ 世帯で1回に炊飯する量(家庭炊飯者限定、概算平均、世帯人数別、合)(2018年度)
↑ 世帯で1回に炊飯する量(家庭炊飯者限定、概算平均、世帯人数別、合)(2018年度)

全体の平均では2.70合。きれいな形で大所帯ほど一度に炊く量が多くなっている。一方で、単身世帯でも一度に炊く量は平均2.37合とやや多め。上記の通りならば大体大盛りご飯で5杯分。一人で一度に食べきるのは難しい量ではある。

この疑問に答えを出してくれるのが次のグラフ。これは各炊飯世帯において、炊いたご飯をどのように食べているかを示したもの。炊く量の目安をどのようにつけているかを表しており、おおよそご飯の食べ方の指針となっている。

お弁当用としてご飯を用意する場合、普通の食事同様に食事1回分に含む。例えば朝ご飯用とお弁当に詰めるためのご飯を合わせ、タイマーなどで早朝炊きあがるようにセットして炊いている場合、「2回の食事で食べきる量」が該当する。

↑ 世帯で1回に炊飯する量の目安(家庭炊飯者限定、2回以上はお弁当用含む)(2018年度)
↑ 世帯で1回に炊飯する量の目安(家庭炊飯者限定、2回以上はお弁当用含む)(2018年度)

単身、つまり一人暮らしの場合、一度で食べきる量を炊いている人は1割強でしか無い。2回分も2割近く、3回以上は3割近く。そして4割近くは当座(特に指定は無いが炊いた直後の食事との意味だろう)分と、冷凍保存して食べる分を炊いていると答えている。これならば、単身世帯でも平均して2.37合のご飯を炊くのも納得がいく。

ちなみにご飯を冷凍保存をすると(専用の容器も多数発売されている)味は少々落ちるかもしれないが、主食をいつでも手間をかけずに準備することができるため、非常に便利。一人暮らしには重宝すべき手法である(帰宅が遅くなった時にコンビニで惣菜のみを調達して冷凍したご飯とともに食べる、などの中食による食事が容易にできる。お弁当そのものよりも柔軟性が高く、安上がりで済むのもポイント)。

世帯人数が多くなるに連れて、おおよそ一度に食べきる、あるいは2回の食事で食べ終える比率が高くなるとともに、冷凍保存の比率は減っていく。世帯人数が多くなると一度の食事分でも大量の保存が必要となり、冷凍庫の場所が足りなくなってしまう。ならばこまめに炊いた方がよいとの判断によるものだろう。

一人暮らしの自宅炊飯者は4割近くがご飯を冷凍して活用している。ご飯の利用傾向において、興味深い話には違いない。

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※農畜産物の消費行動調査に関する調査

直近年度分は2018年10月12日から17日にかけて、全国の既婚女性・既婚男性・単身女性・単身男性に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2009人。男女比はほぼ1対1、年齢階層別構成比は20代以下133人・30代261人・40代344人・50代324人・60代393人・70代以上554人。調査実施機関はインテージ。過去の調査もほぼ同様の条件下で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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