「お年寄りがいる家」の1/4は本人一人身、その数552万世帯
高齢化社会の到来と共に問題の焦点の一つとして挙げられるのが、高齢者が一人だけの世帯。病気や室内事故発生時に、周囲の人が気が付かずに対応が遅れ、悲劇が生じることも十分想定される。この「高齢者一人身世帯」の現状を、総務省統計局が定期的に調査発表している住宅・土地統計調査の結果を基に確認していくことにする。
1戸の住宅に1世帯が住んでいる場合はその世帯を、複数の世帯が住んでいる場合は、その複数世帯のうち居住住宅の持ち主や借主の世帯である主な世帯を「主世帯」と呼んでいる(例えば祖父母の家に同居している子供世帯がいる二世帯世帯では、その祖父母世帯が「主世帯」となる)。その主世帯で2013年では、65歳以上の高齢者が要る世帯は2085万7000世帯となり、過去最高を更新した。また、高齢者一人だけの「高齢単身主世帯」は552万4000世帯。こちらも過去最高。
高齢者のいない主世帯の増加状況と比べて、高齢者がいる世帯、赤と緑の増え方がきわめて大きいのが分かる。この値について切り口を変え、「全世帯に占める高齢者のいる世帯の割合推移」と「高齢者のいる世帯に占める高齢単身世帯の割合推移」をそれぞれ算出の上、グラフにしたのが次の図。
直近の2013年では「全世帯では5戸に2戸には高齢者がいる」「高齢者のいる世帯のうち4戸に1戸強は高齢者の単身世帯」となる。1983年当時はそれぞれ「4戸に1戸」「10戸に1戸強」だったことと比較すると、いかに高齢化が進んでいることが再確認できる。
なお、可能性として「主世帯は高齢者一人かもしれない。しかし子供夫婦が同居世帯として生活して、一人ぼっちでは無い」場合も想定される。いわゆる二世代同居世帯というものである(住宅の構造によっては、各世帯別々の出入り口すら用意しているのもある)。しかし同資料中にある「1世帯あたりの人員」と「同居世帯がある世帯の割合推移」を見ると、そのような事例は例外的存在であり、検証の際には誤差のレベルでしかないことが分かる。
同居世帯がある世帯の割合が0.4%、つまり逆に考えれば99.6%が核家族化していることになる。また、核家族化は1960年後半から1970年代にかけて急速に進んだことも把握できる。今後さらに増加することが確実な「高齢者の一人暮らし」について、さまざまな面からの対策が求められよう。
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