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初代Amazon Echoと、第8世代のKindleにWi-Fi傍受の脆弱性。数百万台に影響。

大元隆志CISOアドバイザー
Wi-Fiの脆弱性が確認された数百万台のAmazon EchoおよびKindle(写真:ロイター/アフロ)

 ESETスマーホームリサーチチームは、初代Amazon Echoと、第8世代のKindleに、Wi-Fiの通信を傍受可能にする脆弱性「KRACK」が存在することを発表した。

 この脆弱性を含むデバイスの数は数百万台規模に達したという。

■KRACKとは?

 今回発見されたKRACK(Key Reinstallation AttaCK)とは、Wi-Fi ネットワークの保護に利用される暗号化プロトコル WPA2に存在する脆弱性で有り、2017年にセキュリティ研究者、Mathy Vanhoef 氏によって発見された。殆どのWi-Fiデバイスに影響を与える本脆弱性は、当時大きな話題を集めた。

 KRACKの脆弱性を利用されると、攻撃者はWi-Fi通信を傍受することが可能になるため、Wi-Fiネットワークを通じて送信されるクレジットカード番号やパスワード、電子メールといった情報を盗難することが可能になる。

■EchoとKindleへの影響

 ESETの報告によれば、初代Amazon Echoと第8世代Kindleには、CVE-2017-13077(鍵の再インストール)およびCVE-2017-13078(鍵ペアの再利用)の脆弱性が存在する。

 また、ESETは該当するEchoとKindleに対して、この脆弱性が利用されると、攻撃者は以下のような操作を実行可能になると警告している。

・古いパケットをリプレイしてDoS攻撃を実行したり、ネットワーク通信を中断したり、リプレイ攻撃を実行する。

・被害者が送信したデータ、または様々な情報を解読する。

・ネットワーク設定に応じて、データパケットを偽造したり、デバイスにパケットを廃棄させたり、新しいパケットを挿入する。

・パスワードやCookieなどの機密情報を傍受する。

 本脆弱性はAmazonに報告され、既に対策パッチがリリースされている。該当するデバイスの数は数百万台に達したという。

■KRACKを悪用されるには、近接する必要有り

 Amazonデバイスは、Amazonのショッピングにも利用可能なため、悪用されると金銭的な被害が発生するリスクもゼロでは無い。しかし、このKRACKを悪用するめたには、攻撃者は対象となる機械と物理的に近接する必要が有る。具体的には攻撃者はWi-Fiの電波が届く範囲内にいる必要がある。

 そのため、EchoやKindleを家庭の中で利用している場合には、攻撃されるリスクは低い。しかし、公共施設等、不特定多数の人がWi-Fiの到達範囲に存在する状況でEchoやKindleを利用している場合には、注意が必要だ。

■対策

 Echo、Kindle共に最新のファームウェアにバージョンアップすることで、Krackの脆弱性は対策済みとなる。

 ・Amazon Echo ファームウェアアップグレード手順

 ・Kindle ファームウェアアップグレード手順

 通常Echo、Kindle共にインターネットに接続されており、自動アップデートが有効になっていれば、自動的にファームウェアがバージョンアップされる。暫く利用していなかった、EchoやKindleはファームウェアがバージョンアップされていない可能性が有る。

 念の為、初代Echoおよび第8世代Kindleを利用しているユーザは上記リンクの内容に従い、最新のファームウェアになっていることを確認することを推奨する。

CISOアドバイザー

通信事業者用スパムメール対策、VoIP脆弱性診断等の経験を経て、現在は企業セキュリティの現状課題分析から対策ソリューションの検討、セキュリティトレーニング等企業経営におけるセキュリティ業務を幅広く支援。 ITやセキュリティの知識が無い人にセキュリティのリスクを解りやすく伝えます。 受賞歴:アカマイ社 ゼロトラストセキュリティアワード、マカフィー社 CASBパートナーオブ・ザ・イヤー等。所有資格:CISM、CISA、CDPSE、AWS SA Pro、CCSK、個人情報保護監査人、シニアモバイルシステムコンサルタント。書籍:『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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