直近2021年では凍死による死亡者の82.2%は65歳以上
夏に多発する熱中症による死亡者とは逆に、冬では凍死による死亡者が少なからず発生する。人口動態調査の結果を用い、凍死による死亡者数の動向を年齢階層の観点から確認する。
凍死による死亡者は、ICD-10(国際疾病分類第10版)におけるX31(自然の過度の低温への曝露)を死因とするもの。熱中症がX30(自然の過度の高温への曝露)なので、その真逆となる。なお、あくまでも低温が死因であり、漫画などの表現でよく用いられるような、全身が凍って死に至るような状況に限らない。
取得可能なデータは1999年以降。そこでまずは単純に、年単位での死亡者数の推移をまとめる。
凍死に至る原因は多様なため、その年の冬の寒さをはじめとする自然環境や経済状況など多数の環境が影響を与えると考えられ、その変化が数字にも反映されることになる。したがって大きなぶれが生じてしまっているが、次第に増加していくようすはうかがいしれる。
それでは経年における、年齢階層別の凍死による死亡リスクの変化を確認する。要は昔と比べ現在では、どれほど凍死による死亡者が増減しているかについて、年齢階層別に検証したもの。該当年を含めた3年分の平均値を用いる(イレギュラーな動きを抑える目的で、該当年とその前年と前々年、つまり都合3年分の値を足して平均値を算出し、値を均す方法)ため、一番古い値として取得可能な2001年分と、直近となる2021年における死亡者数の変化度合いを倍率で示したのが次のグラフ。
若年層は絶対数が少ないため値が跳ねやすいが、それでも1.00以下にとどまっており、近年にかけて死亡者が減少しているのが分かる。他方、高齢層では大きな増加を示しているのも確認できる。もちろん社会構造の高齢化に伴い、該当年齢階層の人数そのものが増加しているのは確かだが、20年の間に人数が2倍も3倍も増加しているはずはなく、確実に高齢層における凍死による死亡リスクが高まったことが確認できる。
その結果として、各年の凍死による死亡者全体に占める高齢者の比率は増加傾向にある。
今や凍死による死亡者の8割強は65歳以上。今後もこの値は漸増していくことだろう。
凍死リスクは実際のものとなる前に、さまざまな前兆がある。また別途詳細を精査するが、自宅内で凍死することが多い。当人はもちろん、周辺関係者もまた、くれぐれも配慮を欠かさないよう、努力をしてほしいものである。
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