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日銀は来週の決定会合で国債の買入減額を検討か。長期金利が急激に上昇する場合の対応は日銀の仕事なのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日本銀行は早ければ来週に開く金融政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい。複数の関係者への取材で分かったと、4日にブルームバーグが報じた。

 久しぶりに「複数の関係者」の登場となる。しかし、今回は「事情に詳しい複数の関係者」から表記が変わったが、今回もタイミングや内容から「事情に詳しい複数の関係者」であると予想される。

 それはさておき、ではどのような具体的な方針が出されるのであろうか。

 記事には「新たな方針の下で購入を縮小する場合でも、市場の大きな変動を回避する観点から、緩やかで段階的な減額の方向性が示される公算が大きい。」とある。

 FRBが2013年末から実施したテーパリングは、2013年12月に毎月の月額850億ドルの購入額を750億ドルに、2014年1月に毎月の債券購入額を650億ドルに減額、3月に550億ドルに、4月に450億ドル、6月に350億ドル、7月に250億ドル、9月に150億ドル10月に新規買入を停止しテーパリングを終了させた。

 日銀については、完全に買入を停止することは考えづらい。また、FRBのようなピッチでのテーパリングを行うことも考えづらい。

 しかし、方式としては同様に「毎月の債券購入額」を示すことで減額を示すことが予想される。そのために3月の決定会合の脚注に「足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている」と具体的な数値を入れていた可能性がある。

 記事にも「関係者によると、金額は保有国債の残高ではなく、引き続き月間単位などの買い入れ額で示した方が分かりやすいとの意見がある。例えば月間5兆円などが次の買い入れの目安として考慮される可能性がありそうだ」とあった。

 このため、6月13、14日の会合では、月額6兆円程度の買い入れを5兆円程度に引き下げる可能性がある。

 4月から国債の発行額は月額5千億円程度の減額となっている。このため、日銀が買入を6兆円から5兆円と1兆円の減額すると、それを超える減額とすることで、市場機能を回復させる意図もあると思われる。

 「関係者によると、日銀は減額によって金利形成を一段と市場に委ねていきたい意向だ。ただ、減額ペースは米連邦準備制度理事会(FRB)のような厳格なものにはならないとみられ、長期金利が急激に上昇する場合には機動的なオペ運営で抑制する方針は維持される可能性が大きいという」(4日付ブルームバーグ)

 FRBは会合毎に買入額を縮小させたが、日銀はそうではなく、かなり時間を掛けて買入額をある程度削減させると予想される。これにより償還によって国債保有額を徐々に減額することが可能となる。時間は掛かるが。

 長期金利が急激に上昇する場合には機動的なオペ運営で抑制する方針は維持される可能性が大きいという点については、もう少し市場を信頼してほしいと思う。果たしてそれは本当に日銀の仕事であるのかという疑問も残る。財務省も国債管理政策という役割を担っている。たとえば、国債発行計画を修正するなどした対応も可能なのではなかろうか。

 この場合の「機動的なオペ運営」とは、国債を指値オペで大量に買い入れるということになり、それは量的緩和に映りかねない。

 債券は一時的な急落が起きようと信用度が低下していない限り、買い手はいずれ現れる。このあたり、1998年末の資金運用部ショックの事例研究なども必要ではないかと思う。

 もしも国債の信用度が低下しての国債価格の急落となれば、日銀の買入は財政ファイナンスに映るため、買い手は日銀しかいなくなるという事態に陥るリスクがあろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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