10代の24%は「自宅にあるけど使ってない」・パソコンの所有や利用の現状を探る
多種多様な情報処理能力を持ち、ソフトウェアを用いることでビジネスからホビーに至るまで多彩な実力を発揮するパソコン。しかし最近では機動力や廉価性の点で優れたスマートフォンに利用をシフトする人が増えているとの話がある。そのパソコンの利用実情を、総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値から探る。
次に示すのはパソコンの所有及び利用状況。自宅にある・無しを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、無い場合には自宅に欲しいか、欲しくないかを答えてもらっている。なお今件はあくまでもパソコンとしか問われておらず、デスクトップ、ノートの別は区別されていない。またインターネット接続の是非も問われていない。
全体では85.2%の人が自宅にパソコンがあると回答している。そしてそのうち回答者自身が使っているのは2/3強。残りは家族の他の誰かが使っているか、何らかの理由でほこりをかぶっていることになる。男女別では男性の方が所有率も利用率も高い。所有率はあまり差が無いが、女性の非利用率が高いため、利用率には10%ポイント強の差が出ている。
世代別の所有状況だが、回答者自身では無く回答者が居る世帯における状況であることから、10代はむしろ所有率は高く、50代までは横ばい、60代でやや下がる程度。一方で利用率を見ると10代は低めで50代と同程度の約2/3に留まってしまう。10代の1/4近くは「自宅にパソコンはあるが使っていない」とする層。あるいは使っていないのではなく、使わせてもらえないのかもしれない。いずれにせよ、10代のパソコン利用率は2/3足らずにとどまり、1/4近くは「自宅にあるが使っていない」。
パソコンは高価な端末であることから、低年収ほどパソコンを取得する機会が少なくなる、それが若年層のパソコン離れ的な話の要因では無いかとの説もあるが、今件調査値からも理由はともあれ結果としては同じ、低年収(世帯年収)ほどパソコンの所有率・利用率が低い傾向にあることが確認できる。もっとも年収による差異が生じるのは600万円までで、それ以上は年収が増えても変化は生じない。
一方、非所有者の動向を見ると、パソコンに関する属性によるスタンスの違いが見えてくる。
10代は無い人の大部分が欲しいと思っているが、全体としては1割にも満たない。20代を超えると無い・要らないとの人が増え、60代では2割強が自宅にパソコンは無く、欲しくもないと答えている。学生・生徒(中学生から大学生)は自宅にパソコンが無い人の大部分は欲しいと思っているが、無職でほしい人はゼロ(%算出時の誤差では無く人数でもゼロ)。専業主婦・主婦も自宅に無い人の大部分は要らないと考えている。
年収別動向だが、低年収ほどパソコン所有率は低い=非保有率は高いものの、その多くは「無いが欲しい」では無く、「無いし要らない」の回答。200万円未満では1/4強がパソコンは無いし欲しくないと答えている。
今件は世帯全体での利用状況を尋ねたわけではないので、家庭にあるパソコンの詳細状況は把握しきれたとはいえない。とはいえ、各家庭におけるパソコンのポジション、そして若年層におけるパソコンとの距離関係は、ある程度つかめる内容には違いあるまい。
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