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「シェアしたい」思わせる情報の出元はどこだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「これステキだよ」お薦めしたくなる情報はどこ発信のものだろうか

インターネットの普及に伴い、自分が持つ情報を第三者へ伝達することが容易にできるようになった。人は良い情報、経験、知識を他人に知らせ、共感者を増やしたい、想いを共にしたいとの感情があるため、好感触の情報は積極的に広めたくなる。しかし怪しい情報を他人に伝え、それがのちほど偽りと判明したり、迷惑がかかるような内容だった場合、自身にも悪影響が及ぶため、他人への情報シェアには単に広めたいだけでなく、信頼できる情報を発する情報源によるものであることが必要となる。今回はアドビが2015年12月に発表した、消費者のコンテンツに関する意識調査「The State of Content : Rules of Engagement」の結果を元に、世界各国の消費者における、インターネット上の情報に係わる「シェアしたい情報の発信元」の相違を見ていくことにする。

次に示すのは、取得した情報を他人に広めたい、シェアしたいと思うのは、どのような情報源からの情報なのかについて尋ねた結果。例えば「友達や家族」は65%なので、全世界平均で2/3近くの人は、友達や家族から得た情報は(他人に周知できると判断したら)積極的に知ら示していきたいと考えている。

↑ どの情報源によるコンテンツを他の人と積極的に共有したくなるか(2015年9月)
↑ どの情報源によるコンテンツを他の人と積極的に共有したくなるか(2015年9月)

今問いではコンテンツの中身は一切説明触されていない。多分に「情報の真偽性」の観点で判断されていることになる。さらに副次的な要素として「第三者に知らしめるだけの価値がある情報を提供しているか否か」も含まれるだろう。友達や家族からの情報は、情報を発信する対象を良く知っているだけに確からしさの上でも問題は無く(ウソならウソとすぐにわかる)、さらに第三者が知り得ない特異な情報を知っている可能性は高い。インターネット上で「親が昨日聞いた話だけど」「友達が以前遭遇した出来事なのだけど」的な話が多いのも納得がいく。だからこそそれらを枕詞にした作り話も多分にあるのだろう。よく考え直してみれば裏付けにはならないのだが、一見すると信ぴょう性を付加できるからだ。

次いで多いのは「仕事の仲間や同僚」で36%。友達や家族ほどでは無いが当事者をリアルで知っており、ウソと本当の区別がし易い。

そして次にようやく、回答者とは直に面する事が無い人物として「プロの評論家」が登場する。具体的には新聞やオンライン上、テレビなどに出演する評論家、専門家の類。肩書主義的なところもあり、昨今ではその肩書自身への信ぴょう性も問われる時代となっているが、まだ相応の信頼性の担保として認められている。

続いて「ニュースキャスター等」「ウェブ上に掲載されるお薦め(自分がカスタマイズした結果や過去の履歴から算出される結果)」「YouTubeの有名人」「いわゆる有名人(映画スターやミュージシャンなど)」が続く。普通の有名人の語りよりYouTube上の有名人の方が、ネット上でシェアしたい人が多いのは、色々と考えさせられるものがある。原文ではそれぞれ「YouTube celebrity」「entertainment celebrity」であり、回答者にとっては普通のエンタメよりYouTubeの方が、シェアをするのに価値ある情報を提供すると認識しているのかもしれない。

トップの「友達や家族」を国別に確認したのが次のグラフ。

↑ どの情報源によるコンテンツを他の人と積極的に共有したくなるか(「友達や家族」、国別、2015年9月)
↑ どの情報源によるコンテンツを他の人と積極的に共有したくなるか(「友達や家族」、国別、2015年9月)

アメリカ合衆国では特に友達や家族を心服している感はある。その他の国は大よそ6割後半。しかしながら唯一日本は5割を切り、他国とは異なる状況。これは日本だけが家族や友達を信頼していないわけでは無く、日本は今回調査対象となった他国と比べ、情報に対して多分に醒めた感が強い結果によるもの。

↑ 信頼できる情報発信元(「できる」「ややできる」の合計、2015年9月)
↑ 信頼できる情報発信元(「できる」「ややできる」の合計、2015年9月)

公開資料では今件における他項目の国別動向は取得できないが、恐らく他の項目においても似たように、日本のみ低い結果が出ているに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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