税金・ガソリン代・保険料・車検費、一番大きな負担だと思うのは? 自動車所有者に聞いてみました
自動車は便利な道具ではあるが、維持には様々な費用が必要。自動車所有者はどのような経費を一番負担だと思っているのだろうか。ソニー損害保険が2017年11月に発表した、カーライフの実態に関する定点観測的調査(※)の2017年分における調査結果から確認する。
自家用車を所有して定期的に利用運転をするのに必要な費用は多種多様に及ぶ。ガソリン代はもちろん、駐車場代、修理代やメンテナンス代。そして保険料や自動車税などの税金に、さらには車検代。
そこで自動車所有者の調査対象母集団に、どのような経費が負担に感じるかを尋ねたところ、もっとも重い負担を覚えたのは「車検・点検費」だった。7割近くの人が負担だと答えている。
トップの「車検・点検費」は燃料代や駐車場代、修理代などと異なり、毎月一定額が出費として計上されるものではない。しかし多くは2年毎に、10万円前後の費用が一度に必要となるため、重い負担がかかるとの認識が強い。賃貸住宅における更新料と同じようなものと考えれば、自動車を保有していない人にも理解はできるだろう。
「自動車税・軽自動車税」を負担だと思っている人は68.7%、「自動車保険料」は56.1%。これらは双方とも半数を超えており、自動車保有者の2人に1人以上が負担だと感じていることになる。「修理代」「駐車場代」は2割近くと少なめだが、これは地域によって大きな違いがあるため。後述するが、駐車場代の高い都心部のみに限定すれば、もう少し高い値を示す。
そして第4位には「ガソリン代・燃料代」。運転のスタイルにもよるが、定期的、例えば月一単位で財布の中身を減らしていく。場合によっては週単位で給油が必要な人もいるだろう。負担を感じるのも当然の話。
ここ数年の変化を見ると、「車検・点検費」は高い値で安定、「自動車税・軽自動車税」が漸増、「自動車保険料」「駐車場代」「修理代」が漸減(直近年では増加しているが)、そして「ガソリン代・燃料代」が2014年をピークとしてそれ以降は大よそ減少を示している。これは2014年夏以降の原油価格の下落に伴い、ガソリン価格が大幅に引き下げられ、その状況が継続していることが大きな要因だと考えられる。
「ガソリン代・燃料代」は年々心理的・実額的な負担増となっており、2014年では「車検・点検費」すら抜いてトップの負担項目だった。それが2015年からは回答率が大きく減り、現在では第4位にまで落ちており、いかに値下がりでプレッシャーが軽減されたか、その実情がうかがいしれる。2017年で前年比ではわずかに増加したのも、ガソリン価格がいくぶん上昇したことによるものだろう。
ガソリン価格の下落が自家用車の利用者に与えた実質的、そして心理的影響の大きさを改めて実感できよう。
他方、自動車の利用コストの観点では、居住地域によって違いが生じるとの意見もある。今回調査分では回答者の居住地域、具体的には都市部(市・区における人口ランキングの上位都市(1位~8位)である、北海道札幌市・東京都23区・神奈川県横浜市・愛知県名古屋市・京都府京都市・大阪府大阪市・兵庫県神戸市・福岡県福岡市を「都市部」とし、それ以外を「地方」と定義)と地方に区分した上で集計した回答値も収録されている。
都市部ではトップが「自動車税・軽自動車税」、次いで「車検・点検費」「自動車保険料」「ガソリン代・燃料代」「駐車場代」、そして「修理代」。地方ではトップが「車検・点検費」で「自動車税・軽自動車税」が続き、「自動車保険料」「ガソリン代・燃料代」「修理代」、そして具体的項目としては最後に「駐車場代」がついている。「駐車場代」の回答率が都市部では地方の2倍以上に達しており、都市部での駐車場の確保が困難、コスト的に割高であることが改めて確認できる。
とはいえ、自動車利用者の視点では「修理代」と順位が入れ替わる程度。「ガソリン代・燃料代」など上位陣には及ばない、相対的に見れば大きな問題では無いと考えられているのもまた事実ではある。もっとも都市部では「ガソリン代・燃料代」と「駐車場代」の差異は1.1%ポイントでしかなく、来年は相対的にもより大きな問題と認識される可能性もあるのだが。
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※カーライフの実態に関する定点観測的調査
今調査の直近分は2017年9月22日から25日にかけて自家用車を所有し月1回以上運転する18歳から59歳の男女を対象に、携帯電話を用いたインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比、18歳と19歳・20代、30代、40代、50代の年齢階層別構成比は均等割り当て。調査機関はネットエイジア。過去の調査もほぼ同じ条件で実施されている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。