「スーパーセル」の正体 災害から身を守るには
22日愛知県で「スーパーセル」と見られる巨大な積乱雲が発生、さらに約7,000回もの落雷が起きたとニュースになりました。
この雲の解明は今後さらに進んでいくものと思われますが、スーパーセルは過去にもしばしば国内で発生し、激しい気象現象を引き起こしています。
スーパーセルとは
そもそも「スーパーセル」とはどのような現象をいうのでしょうか。
これは、雲の世界のキングのような存在で、巨大かつ長寿命であることが特徴です。
雲の幅数十~100km、高さ15kmにも及ぶことのある超巨大な積乱雲の塊で、寿命は数時間と、通常の積乱雲の寿命である30分をはるかに上回ります。寿命が長い理由は、スーパーセルの中では上昇気流と下降気流の場所が分かれて存在しているために、上昇気流が長く維持されるためです。
スーパーセルが発生すると、ほぼ例外なく雹・落雷・大雨といった激しい現象が起きます。
竜巻もその一つで、1999年愛知県豊橋市、2006年北海道佐呂間町、2012年茨城県つくば市など、過去日本で発生した最大級の竜巻(藤田スケール3)はすべてスーパーセルによるものだと言われています。
荒天から身を守るには
では実際、落雷や竜巻などといった現象から身を守るにはどうしたらよいのでしょう。
<落雷>
国内の落雷による被害は8月が最も多く、約30%がこの月に集中しています。
雷発生中はおそらく誰もが避難しますが、空が晴れていても落雷の危険があります。2014年夏には愛知県扶桑町で、野球をしていた高校生が亡くなるという痛ましい事故が起きましたが、落雷があったのは雨が上がってからのことでした。
アメリカには「30-30ルール」というものがあって、雷が光ってから30秒以内に雷鳴が聞こえた場合は避難をし、さらに最後に雷鳴が聞こえてからも30分は屋内に待機するよう注意がけをしています。
<竜巻>
一方、日本における竜巻の発生数は年間約25件で、特に9・10月といったこれからの時期に多くなります。竜巻の前兆は「空が急に暗くなる」「雹が降る」「物が巻き上がって回転している」「貨物列車や滝の音のような轟音が聞こえる」「急激な気圧低下に伴って耳がキーン」とするなどがあります。
竜巻の予想は難しく、残念ながらその精度は高くないので、「自分の命は自分で守る」という考え方から、目の前に起こる前兆は自分たちで発見して、防災につなげることが大事です。