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抗ヒスタミン薬の王者?フェキソフェナジン(アレグラ)の効果と副作用

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
Imagen3で作成

【アレルギー性鼻炎とじんましんの悩みを解消】

花粉症やじんましんでお悩みの方は多いのではないでしょうか。これらの症状は生活の質を大きく低下させ、学業や仕事にも影響を与えることがあります。そんな悩みを解消する薬として、フェキソフェナジン(アレグラ)が注目されています。

フェキソフェナジンは、第二世代の抗ヒスタミン薬として知られる非常に効果的な薬です。アレルギー性鼻炎やじんましんの症状を和らげる効果があり、25年以上にわたって多くの患者さんに使用されてきました。

日本でも花粉症の患者さんは年々増加傾向にあり、2020年の調査では国民の約4割が花粉症に悩まされているという結果が出ています。そのため、フェキソフェナジンのような効果的な治療薬の重要性はますます高まっています。

【フェキソフェナジンの効果と特徴】

フェキソフェナジンの最大の特徴は、眠気を引き起こしにくいことです。従来の抗ヒスタミン薬の多くは、服用すると眠くなるという副作用がありました。しかし、フェキソフェナジンは脳内に入りにくい構造を持っているため、眠気の副作用が少ないのです。

また、フェキソフェナジンは効果の発現が早いことも特徴です。服用後約1時間で効果が現れ始め、24時間持続します。そのため、1日2回の服用で症状をコントロールできます。

さらに、フェキソフェナジンは単にヒスタミンの作用を抑えるだけでなく、抗炎症作用も持っています。これにより、鼻づまりなどの症状も改善することができるのです。

【安全性と使用上の注意点】

フェキソフェナジンは、長年の使用実績から安全性の高い薬剤として知られています。心臓への影響もほとんどないことが確認されており、高齢者や子どもにも比較的安心して使用することができます。

ただし、どんな薬にも副作用はあります。フェキソフェナジンの場合、まれに頭痛や吐き気、めまいなどの症状が現れることがあります。また、妊娠中や授乳中の方は、医師に相談の上で使用を決めることが重要です。

フェキソフェナジンは、その高い効果と安全性から、アレルギー性鼻炎やじんましんの第一選択薬として適していると考えられます。特に、日中の眠気を避けたい学生や社会人の方には、非常に有用な薬剤といえるでしょう。

なお、フェキソフェナジンは皮膚疾患の一つであるじんましんの治療にも効果を発揮します。じんましんは、皮膚に赤い発疹やかゆみが現れる症状で、アレルギー反応が主な原因です。フェキソフェナジンは、このじんましんの症状を和らげ、患者さんの生活の質を向上させる効果があります。

フェキソフェナジンを含む抗ヒスタミン薬は、アレルギー性鼻炎やじんましんの症状を和らげるだけでなく、アトピー性皮膚炎などの他の皮膚疾患の補助治療としても使用されることがあります。ただし、これらの疾患の治療には、医師の指示に従い、適切な使用法を守ることが重要です。

参考文献:

1. Naclerio, R. M., et al. (2024). Twenty-five years: The fexofenadine clinical experience. World Allergy Organization Journal, 17, 100950.

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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