日本からLA〜世界へ。マルチ・インストゥルメンタル・アーティストMASA TAKUMIが凱旋ライヴ
●細かいジャンルは関係ない。自分にとっては“メロディ”が大事
ミュージシャンでありコンポーザー、プロデューサーとして、 世界のエンタテインメントの中心であるアメリカ西海岸で活動するアーティストがMASA TAKUMIだ。
1978年に大阪で生まれ、現在はロサンゼルスを拠点とするMASAはピアノ、ドラムス、ギターなどをこなす“マルチ・インストゥルメンタル・アーティスト”だが、驚かされるのはその多様な音楽性だ。彼が楽曲を提供、あるいはプロデュース/アレンジしてきたアーティストを挙げると、EXILE、DA PUMP、AAA、KARA、モーニング娘。、DIR EN GREY、渡辺麻友、相川七瀬、DAIGO、BREAKERZ、私立恵比寿中学 など、錚々たる、そしてまったく異なったスタイルの顔ぶれが並ぶ。
海外アーティストではスライ&ロビー&ザ・ジャム・マスターズの『REGGAE CONNECTION』(2014)への参加でグラミー賞“ベスト・レゲエ・アルバム”部門にノミネート。2016年に行われたライヴ・イベント“ヒストリー・オブ・テリー・ボジオ”で音楽監督を務め、Mr. BIGのシンガー、エリック・マーティンのソロ・アルバム『Mr. Rock Vocalist』(2012)のサウンド・プロデュースなど、幅広い音楽スタイルを網羅している。
「細かいジャンルは関係ない。自分にとっては“メロディ”が大事なんです」とMASAは語る。
「元々X JAPANのYOSHIKIさんに憧れていて、ヘヴィ・メタルが好きになりました。2バスの連打をやりたかった。でも学校の吹奏楽部にはドラムスがなくて、トランペットの担当になったんです。でもそれがメロディにこだわるようになったきっかけとなりました。譜面も読めるようになりましたね」
2000年にロック・バンドSirenを結成、メジャー・デビューをしたMASAだが、アルバム『ストリッパー』(2002)発表後に脱退。それからソングライター/プレイヤーとして主に活動してきた彼の人生観を変えたのが、初の渡米だった。
「自分がギターとオルガンで関わったスライ&ロビーのアルバム(『One Pop Reggae』/2010年)がグラミー賞にノミネートされたことで、とある知人から授賞式のチケットをもらいました。“こんなエンタテインメントがあるのか!”と衝撃を受けて、いつかまたこの場所に戻ってきたいと考えました。アメリカは十代の頃に旅行で一度来た程度で、英語も話せなかったけど、英語のテキストを買って、学校に通ったり、語学留学もしたり...そうして2018年にロサンゼルスに来たんです」
マネージャーもコネもなく、39歳で単身アメリカに向かったMASAは、ロサンゼルスでの生活についてこう語っている。
「アメリカには最高と最低が共存している。自動販売機もないし、車社会なのに駐車場がなかったり、山火事があったり...アメリカでは音楽は“聴くもの”ではなく、“生きるもの”なんです。世界中から新鮮な音楽が集まってくるし、みんな音楽を身体で感じている。アメリカで第一線のアーティストと共演するのは、最高の喜びですよ。去年(2018年)はR&Bシンガーのトレイ・ソングズ(Trey Songz) に楽曲を提供したし、これからもいろんなアーティストと一緒にやっていきたいですね」
●日本の音楽は素晴らしいし、どの国と較べてもまったく劣っていない
現在、MASAの活動の主軸となるのはマルチ・インストゥルメンタル・アーティストとしての活動である。彼はこれまで『Stars Falling』(2016)、『Deep Down』(2017)、『On Your Side』(2018)という3枚のソロ・アルバムを発表している。
「20代・30代を通じて、歌モノもやってきたし、映像音楽も作ってきたけど、40歳に近づいたら、自分名義のインストゥルメンタル・アルバムを出したいと考えていました。『Stars Falling』では自分の音楽のあるべき場所を発見出来たと思います」
『Stars Falling』でグラミー賞エントリーを果たし、『Deep Down』は米“グローバル・ミュージック・アワーズ2018”の“コンテンポラリー・インストゥルメンタル・ミュージック”部門でブロンズ・メダル賞を獲得。『On Your Side』では「自分の音楽をピアノ1本で奏でてみたかった」と語るMASAだが、2020年の春にリリース予定のニュー・アルバム『Heritage』は彼がアメリカに渡って吸収したアーバンな要素と琴や三味線などの和楽器を合体させたコンテンポラリー・インストゥルメンタル作品となる。
『Heritage』は喜多郎らの作品で知られる“Domo Records”からワールドワイド・リリースされる予定だ。
喜多郎といえば1970年代から世界規模で活動してきたベテラン・アーティストであり、MASAも“超先輩”と呼ぶ存在だ。
「初めて会ったときは緊張したけど、すごくフランクな方なんですよ。『頑張ってね』と励ましてくれたりしました。日本で音楽をやっていると“出る杭は打たれる”みたいなこともあるけど、喜多郎さんにはそんな部分がまったくない。自然なエナジーをいただきました」
アメリカン・ドリームを掴もうと渡米を考える日本人ミュージシャンに対し、MASAはこうアドバイスしてくれた。
「日本の音楽は素晴らしいし、どの国と較べてもまったく劣っていない。言語や文化の壁を考えずに“アメリカに来たら何とかなる”とやって来る人もいますが、焦らずに、まず日本でキャリアを築いてからでも良いと思います。僕は39歳で渡米していますしね(笑)」
既にMASAはソロ・アーティストとしてのライヴ活動を始動しており、2019年9月7日にはロサンゼルスの伝統ある“ヴィレッジ・スタジオ”に併設された“モロッカン・ボールルーム”で公演が行われた。彼がピアノとギターをプレイ、女性ヴォーカリストやストリングス・セクション、パーカッション奏者などをフィーチュアしたステージは、彼のマルチな才能を露わにしながらも、唯一無二の個性に溢れるもので、観衆から大きな声援で迎えられている。
そして2019年12月13日(金)には、横浜・Motion Blue YOKOHAMAで久々の日本でのライヴも行われる。昨年(2018年)東京・ラドンナ原宿での公演はソールドアウトになったが、今回のライヴもLAから世界へと羽ばたいていく“世界のMASA TAKUMI”の奏でる調べに浸る、特別なステージになるに違いない。
【アーティスト公式サイト】
【ライヴ日程】
MASA TAKUMI
Live at Yokohama
12/13(金) Motion Blue YOKOHAMA
18:00開場 19:00開演
【アルバム紹介】
MASA『Stars Falling』
(2016)
Utanashi Records
現在発売中