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Pokemon GO が、米国の夕方の公園の風景を一変させていた

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
近所の広場がある公園の夜7時ごろの風景。ジムと多数あるPokestopを求めて。

アメリカで大フィーバーを巻き起こしているスマートフォン向けゲーム、Pokemon GO。ナイアンテック、ポケモンカンパニー、任天堂のコラボレーションで世に送り出されたこのゲームは、タイムラインで大きな話題として占有率を高めるばかりです。日本への導入が待たれますね。

Pokemon GOの影響力の大きさを感じるのは、SNSの画面上だけの話ではありません。カリフォルニア州サンフランシスコ郊外の都市、バークレーの私の家の回りでも、その勢いを目の当たりにする日々です。

7月13日の夕方、ジムがある公園に出かけてみると、あたりにはスマホの画面を見ながら回遊している人々だらけ。私も同じスタイルで歩き回りながら、話を聞いてみました。風景と合わせて、お伝えします。

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ちなみに冒頭の写真は、実際の風景とその場所でのPokemon GO上の画面を並べています。そして、普段の、Pokemon GO以前の同じ場所、同時刻の写真はこちら。人影が見当たらないのが日常なのです。

毎日仲良し3人組でポケモン探しをする、親切に攻略法を教えてくれた小学生

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日本ではさほど珍しくないかもしれませんが、暗くなりつつある時間帯に小学生が出歩くというのは、アメリカでは誘拐のリスクが非常が高いこともあり、親が許可しないことの方が多いです。

「絶対1人ではダメ」と言われた男子3人は、Pokemon GOリリース後、毎日集まって、公園とその周辺に来ているそうです。すでにレベル9に到達し、レアなポケモンもゲットしているという緑色の髪の毛の男の子は、「家でスマホゲームばかりする夏休みよりも断然良い」と、スマホを握りしめていました。

「ダイエットにも良いしね」って小学生の発言なのか…。

犬の散歩がてら、親子でポケモンゲット

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このパターンは2時間のうちに4組ほど見かけました。犬の散歩をしているお父さんもしくはお母さんと、その子供。前述の通り、1人で出歩くのはご法度ですが、普段は面倒でいかない犬の散歩についていく、というのは良い作戦です。2人ともスマホを見ながら散歩していた親子は、子供が始めて面白そうだったから、と親も始めたそうです。

ポケモン世代を自負するサンフランシスコ勤めのレベル20

私は残念ながら、ポケモン世代というよりはドラゴンボール世代なのですが、ポケモン世代にとっては熱狂しないはずがないのが、拡張現実の世界で展開されるポケモンゲーム。サンフランシスコに勤めているポケモン世代を自負する男性は、サンフランシスコの職場の周りでプレーして、イーストベイの自宅の近くでもプレーしているそうです。

ナイアンテックの前作、Ingressは1週間でやめてしまったけど、Pokemon GOは見事にハマり、すでに初日にレベル11。現在レベル20。サンフランシスコ市内の方が、「メジャーなポケモンがゴロゴロいる」という情報をもらいました。

中学生は、自転車で機動力を生かして

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アメリカでは自転車に乗るとき、必ずヘルメットを装着するのですが、目の前を通りかかった中学生はヘルメットを自転車のハンドルにぶら下げて、しきりにその中を見ていました。もちろん、ヘルメットの中にはPokemon GOが起動しているスマホが。

これはアイディア賞。でもヘルメットなしは危ないので、そのうち、ハンドルにスマホを装着するホルダーを親にねだろうと思う、と言ってました。

老夫婦も、夕暮れの散歩のお供に

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Pokemon GOの人気は、若者に限りません。老夫婦の夕暮れの散歩のお供にも、Pokemon GOが使われていたのには驚きました。Ingressもそうでしたが、散歩との相性が非常に良いのがこのゲーム。果たして、どこまで操作方法を理解しているかはわかりませんが、現実世界を歩いてスマホを通して見るゲームの世界は、もしかしたら一般的なゲームよりも理解しやすいのかもしれません。

1人でプレーする女性も目につきました。出会いがあるかも…

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意外と、20代の女性は1人でプレーしている人がほとんどでした。もちろん社会人になれば、そう毎日友人とつるむわけにもいかないのかもしれません。でも、出会いもありそうですね。

実際に、目の前で、男女がスマホを見ながら歩いていてぶつかるという、古典的な出会い方が起きていました。また、ずっと公園の広場をフラフラしていた男女は、Pokemon GOの良い解説ビデオの情報を交換しておりました。

データが物語る、Pokemon GOのすごさ

公開から1週間あまり過ぎましたが、めざましい成果を上げています。SurveyMonkey Intelligenceによると、1日のアクティブユーザー数のピークは2100万人に上り、モバイルゲームの大ヒット作であるCandy Cruch Sagaをの2000万人を上回るようになりました。

また、SensorTowerによると、ユーザーの1日あたりの利用時間は33分25秒を記録しており、Facebookの22分、Snapchatの18分、Twitterの17分、Instagramの15分を上回るとしています。

また、iOS、Androidともに、ダウンロードやアプリ内課金による収益はトップ。上記の写真をみると、米国以外の国でも伸び続けることが予測しやすく、2016年を代表する大成功したモバイルゲームとしてすでに存在感を大きくしている状況です。

ナイアンテックは地図の普遍性を手に入れている

私は前述の公園へ行ったとき、駆け出しのトレーナーの状態でした。そのため、前述の公園で、10歳ほどの3人組の男の子たちに、遊び方の手ほどきを受けることになったのでした。夕方こどもだけで出歩くなんて、アメリカの治安からすればあり得ない出来事なんですが…。

ナイアンテックの前作、Ingressを経験していた私は、要領が分かっているため、ポータル改めPokestopを巡りながら、遭遇するポケモンを捕まえていく、という基本的な始め方を心得ていました。

その上で、再びレベル1からスタートできることがうれしかったのです。バークレーの家の周辺で、私が登録したイングレスのポータルが、Pokemon GOのPokestopになっていて、それもまたうれしい出来事でした。Ingress経験がある人は、おそらくハイレベルのトレーナーになりやすいのではないでしょうか。

Ingressは、拡張現実のゲームとして、実空間にゲームのレイヤーをかぶせて、自分の行動によってプレーをするゲームでした。ゲームマップは現実世界ですが、レイヤーを変えて、ポケモンという世界観を採用すると、同じマップでも非常に新鮮な遊び方で楽しむ事ができる点は、私にとって発見でした。

例えば3年後、ポケモンの次のゲームを、新たなコラボ相手とともにナイアンテックが作っても、おそらくヒットするし、ユーザーは熱狂するのではないでしょうか。ナイアンテックは、それくらい、普遍的なプラットホームである「現実世界の地図」の本質を理解していると考えています。

有機的なプレイヤー同士のつながりと風景の変化

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夕方6時から8時ごろまでの2時間、前述の公園に滞在していましたが、小学生や中学生のグループ、犬の散歩がてらの親子、老夫婦、一匹狼の女性プレイヤーなど、様々な人々が、公園でのポケモンハントを行なっていました。

郊外よりも、サンフランシスコ市内の方が良いポケモンがたくさん見つかる、という仕事帰りのプレイヤーの情報もありましたが、それでも、Pokestopが4つ集まっている公園は、ひっきりなしに、スマホを眺めながら歩く人々が訪れていました。そして、老若男女がスマホを見せ合いながら、情報交換をし、自然に会話が生まれている風景がそこにありました。

小学生たちは、検索しながら方法を見つけてプレーしているといいます。一人でプレーしていた大人はYouTubeなどのビデオ解説を探してプレーしていて、そのビデオを教えてくれたりしました。

スマホを眺めながら街を歩いていると、友達ができる。そんな風景が、郊外の都市に広がっていたことに驚き、また、Pokemon GOがこれからさらに大きな変化をもたらしてくれることに、期待を寄せずにいられませんでした。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

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