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ダルビッシュ放出でレンジャーズが思い描く青写真

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
あくまで“短期レンタル移籍”を狙っているジョン・ダニエルズGM(右)(写真:ロイター/アフロ)

 先週末からダルビッシュ有投手のトレードに着手し始めたと報じられたレンジャーズ。現時点(日本時間31日朝)でトレード成立の速報は届いてこない。

 複数の地元メディアによると、ヤンキース、ドジャースを中心にもう1チームと交渉が続いているとしているが、一方でヤンキースに関しては、すでにツインズからヘイミー・ガルシア投手を獲得し、さらにアスレチックスからソニー・グレー投手獲得を目指しているとも報じられている。なかなか交渉の内実が確認できない状況だ。

 そんな中、地元メディアの1つ『Fort Worth Star-Telegram』紙のジェフ・ウィルソン記者が興味深い記事をまとめている。

 レンジャーズは今回のダルビッシュ投手のトレードについて、あくまで“短期レンタル移籍”のように捉え、シーズン終了後にダルビッシュ投手がFA権取得した暁には、再び彼をチームに呼び戻すというのが、彼らが目指す青写真らしいのだ。

 これは昨年ヤンキースがアロルディス・チャプマン投手に対して施した手法と、まったく同じものだ。ヤンキースはトレード期限内にカブスとの間でトレードを成立させ、チャプマン投手を放出する見返りに4人の有望若手選手を獲得している。そしてFA権を獲得したオフに、5年8600万ドルの大型契約でチャプマン投手との再契約に成功している。

 つまりレンジャーズもヤンキースと同様に、一旦ダルビッシュ投手を放出する見返りに有望若手選手を獲得し、そしてオフに大型契約でダルビッシュ投手を呼び戻すことを目論んでいるというわけだ。

 記事によると、本格的なトレード交渉に入る前、ジョン・ダニエルズGMは遠征先のフロリダ州タンパに赴き、直接ダルビッシュ投手に今回のチーム方針や意図を説明し、さらにダルビッシュ投手から今後もレンジャーズで引き続きプレーしたいという意志を確認できているということだ。ある程度チームも自信を持っての行動だといえる。

 ただ相手チームにレンジャーズの思惑が見透かされ、さらに記事にあるようなダルビッシュ投手の意志を水面下で確認できていたとすれば、レンジャーズの要求通りに交換選手を用意するのは難しくなってくるだろう。

 トレード期限は日本時間の8月1日午前5時まで。果たしてダルビッシュ投手のトレードは成立するのだろうか?

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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