米国の3月の消費者物価指数の大幅な伸びを受けても米国債は売り手控え
13日に発表された米国の3月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%の上昇となり、上昇率は同じく0.6%だった2012年8月以来、8年7か月ぶりの大きさとなった。エネルギー価格が前月比で5.0%と大きく値上がりして全体を押し上げた。前年同月比では2.6%上昇となった。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.3%の上昇とこちらは7か月ぶりの大幅な伸びとなり、前年同月比では1.6%の上昇となった。
米消費者物価指数が予想も上回るのではとの観測もあり、12日の東京時間では米10年債利回りは1.69%あたりまで上昇していた。
しかし、13日の米10年債利回りは結果として、1.61%に低下していた。すでに消費者物価指数の上昇は織り込んでいた面もあったのかもしれない。また、FRBの長期的な金融緩和姿勢を変えるほどの数字ではないとの見方もあったようである。
この日に行われた米30年債入札が順調な結果となったこともフォローとなったようだが、あらたな材料も出ていた。
米食品医薬品局(FDA)は13日、米国企業のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスのワクチン接種を中断するよう勧告したのである。これを受けて、ワクチン普及による経済正常化の期待が後退し、相対的に安全資産とされる米国債は買われた側面もあった。
米10年債利回りのチャートをみても、1.7%を超えたあたりでいったんブレーキが掛かった格好となっている。これによって売りは手控えられ、押し目買いが入りやすい地合となっていた可能性もある。
ここ最近では、米長期金利に連動しやすいドル円についても、上値が重くなり、3月末に111円近くまで上昇後は、下値を探るような展開となり、109円を割り込んできた。
消費者物価指数がきっかけとなり、再度、米長期金利は上昇するかなとみていたが、そうはならず、目先は下値を探る展開となる可能性も出てきた。
当面は物価の上昇圧力は掛かり続け、米国景気そのものも回復基調となろう。しかし、新型コロナウイルスのワクチン接種の状況如何では、その回復度合いが変わってくる可能性もある。目先は、米長期金利はどのあたりまで低下し、ドル円もどのあたりが下値となるのかを見極める展開となりそうである。