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個人向け国債の利率が3年固定と5年固定が2011年以来、10年変動は2012年4月以来の水準に

久保田博幸金融アナリスト
(提供:イメージマート)

 11月募集の個人向け国債の発行条件が発表された。変動10年0.60%、固定5年0.42%、固定3年0.19%となる。募集開始は11月7日。

 1日に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行は、5-10年の定期預金金利を大幅に引き上げると発表。6日から適用する。10年定期の金利は現行の0.002%から0.2%と2012年以来の高水準になるとの記事が出ていた。

 今回の個人向け国債の金利をみると、この三菱UFJ銀行の10年物定期預金の金利に対し、固定3年はやや低いが、5年は倍以上、10年変動は3倍となる。

 むろん銀行の定期預金と個人向け国債では預金と投資という面が違いはある。ただし、個人向け国債は定期預金と同様に元本は保証されている。途中換金も可能であるが、個人向け国債は1年という売却できない期間が設けられており、それが金利面に反映されている面もある。

 2年固定の0.19%というのは2011年8月の0.21%以来となり、5年固定の0.42%は2011年4月の0.52%以来、そして10年変動の0.60%は2012年4月の0.57%以来となる。

 利率の面では現行の銀行の定期預金に比べてかなり優位となっていることに加え、もしこのまま長期金利が上昇しても10年へ変動であれば、それに応じて利率が変わる仕組みとなっている。

 個人的には日本の長期金利は本格的な上昇局面入りしつつあるとみている。その意味でも個人向け国債の10年変動タイプはかなり魅力的なものと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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