Yahoo!ニュース

ベイスターズはホーム用こそ「YOKOHAMA」を

豊浦彰太郎Baseball Writer
「横浜」を背負っていると訴求すべきは他都市よりも地元でやるべきだろう(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

朝、ワンコの散歩をしているとバスの停留所のロールアップ式広告がグルっと回り、矢沢永吉のビールからベイスターズに変わった。例の「YOKOHAMA」ロゴのビジターユニを告知するものだった。その停留所前のコンビニでスポーツ紙を買ったら、そこにもページ1枚を使った同様の広告が掲載されていた。自称「ハマで一番ゆるいベイスターズファン」のぼくも、ちょっとうれしくなった。

昨季、大きく観客動員を伸ばしたベイスターズは、マーケティング戦略に積極的だ。とても良いことだと思う。でも今回のユニ変更は、最初は感心したのだけれど、ちょっと考えると疑問も沸き出た。

「どうしてYOKOHAMAロゴはビジター用なのだろう」

もっと、ストレートに言えば、YOKOHAMAを訴求するなら、ビジター用よりもホーム用のユニでやったほうがマーケティング的観点では効果的だと思う。「われわれはヨコハマを背負って(ロゴは背中ではないが)戦っていますよ」というメッセージを発信するのは、関西や広島よりも、横浜でやるべきだと思うのだ。

野球界では昔から(メジャーの流れを受けているのだが)ユニフォームの胸のロゴは、ホームでは球団のニックネームを、アウェイでは都市名を、というのが常識だった。企業主導のNPBでは、ほとんどの球団が都市名ではなく企業名を名乗ってきたため、アウェイの都市名が企業名に入れ替わった。

しかし、これはルールではない。国土の広いアメリカではプロ野球は都市対抗式なので、ビジターは「どこから来たチームか」をロゴで示すことが必要だと思う。しかし、国土が狭く企業名を名乗るNPBでは特にそんなことはないと思う。実際、横浜大洋ホエールズ時代はホームがYOKOHAMAで、ビジターがTAIYOだった。

ホーム球団が一塁側、ビジターが三塁側という慣習もずーっと律儀に(正しくは何も考えず)守って来たが、それも今や崩壊した。もっと柔軟に考えた方が良いと思う。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

豊浦彰太郎の最近の記事