単焦点レンズの魅力〜SIGMA 24mm F1.4 DG HSM Art〜
SIGMA 24mm F1.4 DG HSM Artは、光学性能をとことん追究し、高画質、高性能、描写力に優れたArtラインと呼ばれるシリーズの最新モデルです。
24mmという広角レンズながら、F1.4という明るい開放F値を実現しているのが特徴です。
通常、24mmという画角は標準ズーム、広角ズームがカバーする領域ですが、これをF1.4という明るいレンズとすることでズームでは得ることのできない描写力を味わうことができるのです。
その魅力の一番はなんといっても、ボケでしょう。広角レンズはもともと標準や望遠レンズに比べるとボケにくく、ボケを活かした写真を撮りにくい焦点域です。ですが、F1.4の開放を使えば、至近距離から中距離くらいまでは背景や前景のボケを活かしながらフレーミングを考えることができます。
1本の菜の花にグッと近寄って、その前後をぼかしました。
決して広い菜の花畑ではありませんでしがた、広角レンズのおかげで奥行き感のある写真にすることができました。
また、F1.4という開放F値での撮影でも遠景まで非常にシャープなのが特徴です。
広角レンズでは遠景はとても小さく写りますので、それをしっかりとシャープに写すというのはよほどの高性能レンズでなければできないものです。ですので、普通は広角レンズで遠景を撮るときには少し絞りを絞って撮影するものです。
ですが、SIGMA 24mm F1.4 DG HSM ArtではF1.4の開放撮影でもビックリするほどシャープに写ります。
遠景の橋桁にピントを合わせて、F1.4の開放で撮影しています。
その一部を100%表示したものです。
遙か遠景となる橋の丸い電球が変形したり、にじんだりすることなく、正確に再現されています。
絞り開放でこの描写とは、正直驚きました。
もちろん、絞り込めばさらにキッチリと光源を写しきることができます。
また、SIGMA 24mm F1.4 DG HSM Artは、広角レンズにありがちな直線の歪みがほとんど感じられません。
ズームレンズの広角端などはたいてい、周辺部の歪みが大きく、直線で構成された被写体を撮るとその歪みが気になってしまうものです。
真っ直ぐな線を真っ直ぐに描写してくれる気持ちよさは、こういうレンズを使ってみると実感できるものです。
縦横の線に歪みはなく、真っ直ぐ伸びる階段の奥行きと広がりをしっかりと再現してくれています。
開放F値の明るい広角レンズですから、注意すべき点もあります。
それは周辺光量落ちと呼ばれるものです。
これは画面の四隅が中央付近に比べると少し暗くなる現象のことです。
SIGMA 24mm F1.4 DG HSM Artでは、F1.4での撮影では少し周辺の光量落ちが目立ちます。
このクラスのレンズでしたら、ある意味当然の現象なのですが、一応、公平を期すためにお知らせしておきます。
また、私は個人的には周辺光量落ちは写真に味が出るのでむしろ好ましい描写だと思っています。
↑F1.4で撮影したもの
↑F2.8で撮影したもの
上下二つの写真を見比べてもらえば、F1.4の写真(上)の四隅が少し暗くなっているのが分かると思います。(特に右上、左上が分かりやすいです)
この周辺光量落ちはF2.0でもだいぶ目立たなくなり、F2.8ではほとんど分からないくらいです。
周辺部まで明るく写したい場合にはF2.8かそれ以上に絞って撮るようにすればよいでしょう。
このように、SIGMA 24mm F1.4 DG HSM Artはとても特徴的で魅力的なレンズです。
ズームレンズとはまったく違った印象の写真を撮ることができます。
このレンズに限らず、単焦点レンズは写真を撮る楽しみを広げてくれます。
ボケをどう活かすかで写真表現が変わってきます。
ズームレンズしか使ったことのない方は、ぜひ単焦点レンズを使ってみることをオススメします。
レンズ交換式カメラをお使いの方は、どうぞレンズ交換をお楽しみください!
広角レンズで寄って撮るとピントの合っている部分が浮き立つように表現できます。
ボケを活かすことで、見たままというよりはそれ以上に印象的な風景を切り撮ることができます。
咲き始めた桜を思い切り明るめに撮ってみました。
最短撮影距離(撮像面から25cm)付近での開放絞り撮影。さすがにちょっと大げさにぼかしすぎたかもしれません。でも、ここまでぼかせることがこのレンズの楽しさの一つなのです。
※掲載の写真はすべて、SIGMA 24mm F1.4 DG HSM Artをキヤノン EOS 5D MarkIIIに装着して撮影したものです。